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土楽 福森道歩さん×E-girls 佐藤晴美さん対談。
伊賀焼窯元「土楽」の土鍋の魅力

2020.11.5
土楽 福森道歩さん×E-girls 佐藤晴美さん対談。<br>伊賀焼窯元「土楽」の土鍋の魅力

土鍋と聞くと、冬場の定番料理である鍋ものをイメージする人も多いのではないでしょうか。しかし伊賀焼窯元「土楽(圡楽・どらく)」の8代目当主である福森道歩さんは、土鍋を日常の料理で使うことを提案しています。そこで「土鍋料理を学びたい」と話すE-girls の佐藤晴美さんをゲストに招き、福森さんに「土楽」の土鍋の魅力を語ってもらいました。

福森道歩さん
伊賀焼窯元「圡楽」8代目当主。料理を学んだ後、大徳寺龍光院にて修行。2003年に家業の圡楽に入る。著書『小鍋でつまみ』(東京書籍)が10月29日に発売したばかり。
≫一生モノの 答えを求めて「圡楽窯」 へ。

佐藤晴美さん
1995年、山形県生まれ。ガールズ・エンタテインメント・プロジェクト「E-girls」所属。ダンサー、モデルとして活躍。料理やうつわを趣味で楽しみ、SNSでも発信中。

軽くて使いやすい圡楽の土鍋

圡楽の土鍋は、キッチンでも食卓でも映える

佐藤 土鍋料理の本を探していたとき、本屋さんで偶然手にしたのが道歩さんの著書『スゴイぞ!土鍋』だったんです。すき焼きやショウガご飯など、どれもすごく美味しくて、この本に書かれているレシピをたくさんつくりました。

福森 それは嬉しい! ありがとうございます。土鍋は冬しか使われないことが多いでしょう。でも実は土鍋って、多様な使い方ができる非常に便利な調理器具なんですね。「1年中使えるんだよ」と提案するために、料理本を出すなど料理家としての活動も行なっているんです。自分でつくった土鍋ですから、責任をもって調理法まできちんとお伝えしたくて。

佐藤 だから初心者でも挑戦しやすいレシピが多かったのですね。土楽の土鍋にはどのような特長があるのですか?

福森 土楽の工房は三重県伊賀市にあります。この地は400万年ほど前まで琵琶湖の湖底でしたので、木々の葉など自然界の有機物が土と混ざり合ってできた良質な粘土が採れるんですね。その粘土で土鍋をつくると、窯で焼いたときに粘土に含まれる有機物が燃え、たくさんの小さな穴が開きます。この穴の中は空気なので、土鍋が軽くなるんですよ。

佐藤 本当だ、軽い。土鍋って重たいイメージがあります。ゆっくり火が通るものだから、分厚くて重い方がいいのかと思っていました。

 

福森さんの著書『スゴイぞ!土鍋』(講談社)を手にする佐藤さん

耐火性の高い伊賀の土を使い、手挽きろくろで成形

福森さんは圡楽8代目当主として作陶を続けながら、土鍋の使い方、楽しみ方を伝える活動を行なっている

福森 空気が入っているからゆっくり火が通り、空気が入っているから熱が保たれる。それが「熱しにくく、冷めにくい」、「火を止めてから、余熱でじんわり火を通す」といった土鍋ならではの個性に繋がっているんです。圡楽では液状にした粘土を石膏型に流し込む鋳込み製法ではなく、私たち職人が手挽きろくろで一つひとつ形成しています。鋳込み製法にすると、流し込んだ際に空気が潰れてしまうんですよ。それによって熱伝導が高くなり、生地を厚くしなければならず、その分重たくなるんです。ろくろはふわっと持ち上げながら成形するので、空気が丸い状態のまま残る。だから薄く、軽い土鍋がつくれるんです。

佐藤 なるほど。厚さにも理由があるんですね。

福森 土鍋の口の部分も巻いて仕上げ、中を空洞にしています。その方が軽くなりますから。

佐藤 すごい、そこまで考えられているんですね! あっ、よく見ると「黒鍋」の持ち手にも、小さな穴があります。

福森 ただの空洞にしてしまうと空気爆発を起こす可能性があるので、穴を開けているんですよ。

 

佐藤さんが触れているのが土鍋の口。土鍋全体を軽くするため、口の中は空洞になっているという

焼く、蒸す、煮込む……、一器多用な使い方を楽しむ

ものづくりの背景や、土鍋の楽しみ方の話に、佐藤さんは興味津々

佐藤 土鍋の色合いも素敵です。

福森 成形して素焼きしたあと、あめ釉という鉄の釉薬をかけて本焼きしています。フライパンで調理してそのまま食卓へだすのは憚られるけれど、土鍋ならばうつわとしても並べられるでしょ。

佐藤 土鍋ならではの使い方ですね。

福森 圡楽の土鍋は耐火性に優れているので、鍋ものはもちろん、煮込む、炒める、蒸すといったさまざまな調理に対応しています。オーブンへそのまま入れることも、ステーキを焼くこともできるんですよ。

佐藤 これひとつでいろいろな料理が楽しめるんですね。しかもステーキまで焼けるなんて驚きです。炒めものや蒸しもの、オーブン料理はまだ試していないので、さっそくつくってみます!

福森 ぜひ。土鍋は使えば使うほど丈夫になり、魅力が増してくるんです。日々の料理で土鍋を活用してください。

誌面ではさまざまな土鍋レシピも紹介中!

Discover Japan最新号では、福森さんと佐藤さんの対談に加えて、さまざまな土鍋レシピも紹介しています!
≫Discover Japan2020年12月号「うつわ作家50」

 

誌面の未公開カット。レシピの詳細はぜひ誌上でチェック!

さらに、渋谷PARCOの1階にある「Discover Japan Lab.」の店頭では、圡楽の土鍋を多数取り揃えたポップアップを実施中。一点一点、丁寧に手仕事で作られている希少な圡楽窯。お気に入りを見つけて、土鍋のある暮らしを楽しみましょう!
≫公式オンラインショップでも販売中!

Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|10:00 ~ 21:00(当面の間11:00~21:00)
定休日|1月1日

text: Nao Ohmori photo: Shimpei Fukazawa


≫うつわ作家の食卓。圡楽・福森 道歩さん

≫育てたい土鍋。伊賀の土で生まれた「圡楽」

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