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県最古といわれる温泉「恩湯」で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。~第3回 楽しみ方編~

2020.9.3 PR
県最古といわれる温泉「恩湯」で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。~第3回 楽しみ方編~

2020年3月にリニューアルオープンした、長門湯本温泉に建つ立ち寄り湯「恩湯(おんとう)」。約600年の歴史をもつ「恩湯」の魅力を紹介している本連載。第3回目は、長門湯本温泉にゆかりの深い方々に、この地域の魅力と未来についてお話いただきました。

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恩湯
住所|山口県長門市深川湯本2265
Tel|0837-25-4100
営業時間|10:00~22:00
定休日|第3火曜(祝日の場合は変更あり)
入浴料|大人700円(土・日曜・祝日800円、特定日900円)、子ども(4~12才)400円
※特定日は年末年始、お盆、ゴールデンウィークなどの繁忙期
※3歳以下の子どもは無料
※山口県長門市民は18:00〜20:00限定の割引料金(大人500円、子ども300円)が利用可能
※月額の温泉パスポートや入浴回数券も用意

恩湯を起点とした楽しみ方

「恩湯」と飲食棟の間には日陰スペースのある「恩湯広場」や、音信川の川辺に降りられる「雁木広場」がある

長門湯本温泉で生まれ育ち、この地で旅館を営む「大谷山荘」の大谷和弘さんと「玉仙閣」の伊藤就一さん。彼らが感じる「恩湯」の魅力とは?

恩湯から広がる旅の魅力

――お二人が初めて「恩湯」に入られたのは何歳頃ですか?

大谷:私は小学1年生の時ですね。いやぁ、びっくりしたし、感動しましたね。恩湯の浴槽は深いから、まだ足が届かないんですよ。もう直感的にハマりました。お風呂は楽しいんだって。

伊藤:私は逆で、足が着かなくて溺れそうになるものですから、恩湯の風呂は怖かったんです。最初に入ったのは保育園の頃だったかな。小学校へ上がると泳ぎ方を覚えたので怖さもなくなり、友達と遊んだあとはそのまま一緒に恩湯へ行っていましたね。

大谷:音信川で遊んだら恩湯へ行く、というのは定番コースでした。

伊藤:恩湯は遊び場の中心だったんです。音信川や住吉神社の境内、さらに「湯本温泉納涼盆踊り大会」では恩湯前の千代橋の上にやぐらを組み、川沿いの道路をみんなで踊りながら練り歩くんですよ。

大谷:恩湯と音信川は密接に関わっていて、ここで暮らす住民にとっては生活の一部なんです。川辺には洗濯場があり、1960年代初期までは恩湯から排出された温泉で洗濯もしていました。地元の方々の社交場だったんですね。

 

「恩湯は長門湯本温泉のシンボルなんです」と大谷山荘 代表の大谷和弘さん
「音信川沿いの温泉街と一緒に楽しんでください」と玉仙閣 専務取締役の伊藤就一さん

――恩湯はもともと公設公営の浴場でしたが、リニューアルを期に民設民営の施設として事業方式を転換されました。大谷さんと伊藤さんは恩湯の運営事業者である長門湯守の共同代表も務められています。新たな恩湯の役割についてのお考えをお聞かせください。

大谷:長門湯守のメンバーには、その昔、大寧寺の温泉管理を担っていた地侍の子孫である青村雅子さんと、グラフィックデザイナーの白石慎一さんにも加わってもらいました。長門湯守の理念は「長門湯本エリアのパブリック空間活用を通じ、生活者の暮らしのよろこびに即した固有の生活文化を創造する」こと。仕事の後は恩湯に入り、川辺で焼き鳥とビールを味わう、なんて最高じゃないですか。こういったこの地ならではの生活文化を、地元の方々や観光客の方々とともに形成してきたい。そのシンボルが恩湯だと考えています。

伊藤:温泉のある旅館にお泊まりのお客様にも、恩湯にお入りいただきたいですね。恩湯と旅館を行き来する道すがらにも、「竹林の階段」や「紅葉の階段」のライトアップを楽しんだり、アユなどの川魚が泳ぐ音信川の美しさを眺められるので、温泉街や旅そのものを一層満喫できると思います。

大谷:お風呂って一種のユートピアなんですね。年齢も立場も関係なく、地元の方と観光客の方が同じ距離感で会話できる。恩湯は新たな交流の場としての機能も有しているんです。

毎年8月に開催される「湯本温泉納涼盆踊り大会」では、大寧寺住職の読経に合わせ、精霊流しが行われる

――恩湯を起点とした生活文化こそが、この地の最大の魅力であり最大の観光資源なのですね。

伊藤:ええ、恩湯は私たち自身にとっても、温泉に触れ合うきっかけの場。恩湯の永続と温泉街の永続はリンクしており、ともに持続、発展していく必要があると思います。

大谷:地元の方がここでの暮らしを楽しむ姿は、観光客の方に淡い憧れとして映るはず。逆に観光客の方がこの地を愛してくだされば、地元の方の誇りにつながります。互いにとって、よりよい関係を築いていけたらうれしいですね。

「恩湯」の浴槽からは、岩盤から滔々と湧き出る温泉が眺められる。奥に鎮座するのは、石像の住吉大明神

心と身体がよろこぶ「恩湯食」

「長門たまご鶏飯(1000円)」。「季節野菜のマリネ(300円)」と「黒かしわスープ(200円)」がつくランチセットは1400円で提供

恩湯の温泉に身をゆだねた後は、向かいにある「恩湯食」へ。ここでは長門市名産の長州どりや手づくり豆腐を中心に用いた料理を提供。身体に染み渡る優しい味わいは、湯上りにぴったりだ。

「大切にしているのは、素材の旨みを引き出すための調理。風味がよく柔らかな肉質の長州どりや、濃厚なお豆腐、地元産の新鮮なお野菜など、長門食材の美味しさを楽しんでいただきたいです」

そう話すのは料理担当の川田りえさん。鶏の出汁で炊いたごはんに長州どりの手羽元をのせ、ふわふわの卵あんをかけた「長門たまご鶏飯」は、長門食材の美味が詰まっている。晴れた日は料理をテイクアウトして、川辺で食事を楽しむのもいいだろう。

川田りえさんは東京で料理の修行を積み、地元の長門へ帰ってきた

恩湯食
住所|山口県長門市深川湯本2270-5
Tel|0837-25-4333
営業時間|11:00~22:00(L.O.21:00)
定休日|水曜

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県最古といわれる温泉「恩湯」で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。
1|魅力編:「恩湯」が稀有である理由と成り立ち
2|建築編:「神授の湯」の伝説を体現する建築
3|楽しみかた編:「恩湯」を起点とした楽しみ方
4|巡りかた編:そぞろ歩きが楽しい“オソト天国”とは?

text=Nao Omori photo=Daisuke Abe


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