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県最古といわれる温泉「恩湯」で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。~第2回 建築編~

2020.9.1 PR
県最古といわれる温泉「恩湯」で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。~第2回 建築編~

2020年3月にリニューアルオープンした、長門湯本温泉に建つ立ち寄り湯「恩湯(おんとう)」。約600年の歴史をもつ「恩湯」を起点としたこの地域の魅力を紹介している本連載。第2回目は、「建築」の観点からその魅力をひも解いていきます。

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恩湯
住所|山口県長門市深川湯本2265
Tel|0837-25-4100
営業時間|10:00~22:00
定休日|第3火曜(祝日の場合は変更あり)
入浴料|大人700円(土・日曜・祝日800円、特定日900円)、子ども(4~12才)400円
※特定日は年末年始、お盆、ゴールデンウィークなどの繁忙期
※3歳以下の子どもは無料
※山口県長門市民は18:00〜20:00限定の割引料金(大人500円、子ども300円)が利用可能
※月額の温泉パスポートや入浴回数券も用意

「神授の湯」の伝説を体現する建築

恩湯の頭上にある丘には住吉神社が鎮座。恩湯のリニューアルにより、住吉神社と音信川とともに織りなす新しい景色が生み出された。

大型の窓をもつ開放的な休憩所。床に置き畳を敷いており、裸足でくつろげる。ビールやソフトクリームなども提供。家具は香川県発の家具ブランド「アンチポエム」のもの

建物と自然が形成する、ひとつながりの空間

「竹林の階段」を抜け、青々とした芝生のある「恩湯広場」に降り立つと、空が開け、悠々と流れる音信川のせせらぎが心地よく響く。左手側には「恩湯」、右手側には飲食棟「恩湯食」、建物は周囲の自然と一体化し、違和感なく景観に溶け込んでいる。

恩湯と飲食棟の設計を手掛けたのは設計事務所岡昇平。共同代表の岡昇平さんに話を聞いた。

「恩湯の温泉は地表の岩盤から湧き出ています。これは非常に貴重な状態なんですね。昔の人は岩盤から流れ出たお湯が溜まったところで入浴をしていたはず。その本来あるべき姿として考えたのは、自然湧出するお湯を受け止めるような浴槽をつくることでした」

浴槽に浸かると、目の前に自然そのままの岩盤があり、そこから湯が湧き出る様子を眺められる。さらに恩湯は泉源のある岩盤の真上に建つため、浴槽には足元から湧出する湯も直に流れ込む。ゆえに極めて鮮度の高い温泉が堪能できるのだ。浴槽を湯量に見合ったサイズに設定したのも、循環や加水を行わない源泉掛け流しにこだわった結果だという。

 

番台前の廊下は、住吉神社の階段に続いている

建物は番台を中心に据え、半分が浴場、半分が入浴者専用の休憩所といった構成となっている。

「休憩所を囲む三面は大きなガラス張り。向かいの飲食棟もほぼ同じ造りなんですね。軒を深くし、縁側をつくることで、広場や音信川、飲食棟などがひとつながりの空間を形成しています」

長門湯本温泉の象徴であり続けてきた恩湯。この“場所”を起点に新たな歴史と楽しみが生まれていく。

設計事務所岡昇平は、保井智貴さん(右)、岡昇平さん(中)、広瀬裕子さん(左)で共同代表を務めている。香川県高松市に仏生山温泉を開き、地域全体の価値を高めるまちづくりを行なっている

「恩湯」を設計した建築家が、地元旅館の新客室をデザイン

旅館「玉仙閣」の新客室「テラス112」

設計事務所岡昇平では、長門湯本温泉にある旅館「玉仙閣」の新客室「テラス112」と「テラス111」、ロビーのリニューアルを担当。客室とつながるようにテラスへ続くシンプルな空間だ。床材は長門産の椎木を採用している。

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県最古といわれる温泉「恩湯」で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。
1|魅力編:「恩湯」が稀有である理由と成り立ち
2|建築編:「神授の湯」の伝説を体現する建築
3|楽しみかた編:「恩湯」を起点とした楽しみ方
4|巡りかた編:そぞろ歩きが楽しい“オソト天国”とは?

text=Nao Omori photo=Daisuke Abe


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