長門湯本温泉「恩湯」
山口県最古の温泉で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。~第4回 巡り方編~
山口県長門市に位置する長門湯本温泉。そこで力強く進む街づくりの魅力のとりこになった編集部では、そのストーリーを掘り下げることに。まずは2020年3月にリニューアルオープンした、街づくりの象徴「恩湯」を、4回連載で取り上げます。第4回は「恩湯」を起点に巡るおすすめスポットを紹介します。
恩湯
住所|山口県長門市深川湯本2265
Tel|0837-25-4100
営業時間|10:00~22:00
定休日|第3火曜(祝日の場合は変更あり)
入浴料|大人700円(土・日曜・祝日800円、特定日900円)、子ども(4~12才)400円
※特定日は年末年始、お盆、ゴールデンウィークなどの繁忙期
※3歳以下の子どもは無料
※山口県長門市民は18:00〜20:00限定の割引料金(大人500円、子ども300円)が利用可能
※月額の温泉パスポートや入浴回数券も用意
そぞろ歩きが楽しい“オソト天国”とは?
温泉街のさまざまなスポットには無料の街歩きマップ「オソト天国MAP」が用意されている。訪れた際はマップを入手し、長門湯本温泉散策を楽しもう。
訪れる度に好きになる、長門湯本温泉の過ごし方
長門湯本温泉最大の魅力は、この地で形成され、育まれていく、生活文化そのもの。温泉街の中心に流れる音信川での川遊び、川の各所に設置された川床での憩いのひと時、恩湯での入浴、個性豊かな飲食店での食べ歩き、川沿いのベンチに腰掛けての休息、四季折々に移ろうランドスケープ、街を照らすライトアップ、これらは地域の住民たちが日常的に楽しんでいることであり、同時に観光客も享受できる豊かさなのだ。
温泉街では空き家リノベーションプロジェクトの第1号として2017年に誕生した「cafe&pottery 音」を皮切りに、焼き鳥屋「さくら食堂」、瓦そば専門店やバーが入居する予定の「だいご長屋」など、テイクアウトも可能な飲食店が次々とオープン。2021年にはブリュワリーも開設されるという。
音信川や温泉街の道路といった公共空間の活用、環境美化に取り組んでいるのは「長門湯本オソト活用協議会」だ。同協議会では「オソト天国」をステートメントとして掲げ、住民や観光客がそぞろ歩きを満喫できるさまざまな仕掛けを現在進行形で計画している。
街歩きのBGMは川のせせらぎと鳥のさえずり。長門湯本温泉には、何度でも訪れたくなる幸せな時間がゆっくりと流れている。
cafe&pottery 音
音信川沿いに建つ築50年ほどの木造住宅をリノベーションしたカフェ兼ギャラリー。萩焼深川窯の気鋭若手陶芸家である坂倉正紘さん、田原崇雄さん、坂倉善右衛門さんの3名の作品を展示販売しており、カフェスペースで提供されるドリンクや手づくりのスイーツは、彼らの作品にのせて提供される。オリジナルブレンドのコーヒーやゴルゴンゾーラチーズケーキなど、メニューはどれも自信作だ。天気のよい日は川床テラスをぜひ利用してほしい。
cafe&pottery 音
住所|山口県長門市深川湯本1261-12
Tel|0837-25-4004
営業時間|10:00〜16:00
定休日|火・水・木曜
だいご長屋
オーナーである一級建築士の木村大吾さん自らの手でリノベーションした歴史ある木造建築。店内は木製の窓や昔ながらの階段などがそのまま生かされ、レトロな趣きの風情ある空間に仕上げている。1階には山口県名物の瓦そば専門店「柳屋」、2階にはshop & caffeとBarがテナントとして入店予定だという。「旅するシェフを招き、“イート・イン・レジデンス”のような在り方も模索中です」と木村さんは話す。
だいご長屋
住所|山口県長門市深川湯本湯本1325-1
さくら食堂
焼き鳥店を経営する母のもとで修行を積み、「さくら食堂」を開いた青村桜子さん。朝挽きの新鮮な長州どりを均一に焼けるよう丁寧に串打ちし、手際よく炭火で焼いていく。焼き鳥は長門市民のソウルフード。長ネギ(ねぎま)ではなく玉ねぎを使う、ちぎりキャベツを添える、ガーリックパウダーをかけるのが長門流だとか。仙崎港から仕入れた魚介や山口県産の日本酒も揃えるため、山口の美味を存分に堪能できるだろう。
さくら食堂
住所|山口県長門市深川湯本1272-6
Tel|0837-25-3660
営業時間|11:00〜15:00(L.O.14:30)、17:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日|木曜
山口県最古の温泉「恩湯」で、山間のせせらぎと湯浴みに寛ぐ。
1|魅力編:「恩湯」が稀有である理由と成り立ち
2|建築編:「神授の湯」の伝説を体現する建築
3|楽しみかた編:「恩湯」を起点とした楽しみ方
text=Nao Omori photo=Daisuke Abe