FOOD

いくつ知ってる? 出汁クイズ

2020.4.25
<b>いくつ知ってる? 出汁クイズ</b>

美味しい和食にとってはずせないキーワード、出汁。今回はもっと出汁に詳しくなれる知識をクイズ形式で紹介する。

『十二ヶ月の内 四月ほととぎすかつほ』 国会国立図書館

Q 日本の出汁といえば、なぜ鰹節と昆布?
A 島国ならではの素材。UMAMIを世界が認める

フランス料理や中国料理の出汁は、肉、魚、香味野菜を長時間煮込んでつくる「ブイヨン」や「湯(たん)」。比べると、海産物に恵まれた日本の特異性が見えてくる。鰹節も昆布も旨みが豊富で、出汁として特別に優秀な素材だ。
Q 鰹節はいつからつくられているの?
A 現代と同様のものは江戸時代中期から

鰹節が最初に文献に登場するのは室町時代の終わりだが、現代の鰹節と同様のものがつくられるようになったのは江戸時代中期のこと。紀州出身の漁民が土佐で、煙で燻して乾燥させ、カビ付けを行う鰹節を考案したとされる。当時の書物『日本山海名産圖會』には、現代に近い焙乾工程をもつ製造方法で鰹節をつくる様子が描かれている。この製造方法のおかげで、土佐や薩摩の鰹節が最上品として知られるようになる。

1)宗田荒節の削節 2)鯖荒節の削節 3)瀬戸内いりこ 4)九十九里白口煮干 5)九十九里青口煮干

Q 庶民も鰹節を使っていたの?
A 煮干しや雑節が主流

江戸時代が進むにつれて出汁への関心は高まるものの、鰹節や昆布はまだまだ高級品。江戸時代中期には鰹節の代用品として煮干しが普及する。ちなみに、魚を煮て干すのが煮干し、焼いて干すのが焼干し。煮干しは鰯に代表され、焼干しにはアゴ(トビウオ)やハゼなど地域色が表れる。削り節には鰹以外にもいろいろあり、庶民の間では鯖や宗田鰹がよく使われてきた。鯖節や宗田鰹節はコクのある出汁が取れ、蕎麦つゆや味噌汁、煮物などに適している。
Q 合わせ出汁はなぜ美味しい?
A イノシン酸とグルタミン酸、ふたつの旨み成分が相乗するから

鰹節は旨みのもとであるイノシン酸を、昆布はグルタミン酸を豊富に含む。そのふたつが出合うことで飛躍的に旨みが増す「旨みの相乗効果」が発見されたのは1960年だが、日本ではずっと前から経験的に料理に生かされている。

Q 産地から遥か遠い沖縄で、なぜ昆布をよく使う?
A 薩摩と清国の昆布貿易の中継地だった

祝い料理やクーブイリチー(昆布の炒め物)といった家庭料理など、沖縄の食文化に昆布は欠かせない。そもそも昆布は北前船によって北海道から本州まで運ばれた。14世紀後半には北海道松前から福井・敦賀まで、江戸中期からは、北海道から西廻り航路で大阪まで運ばれ、江戸、九州、沖縄へともたらされた(昆布ロード)。当時、琉球王国は薩摩と清国との昆布貿易の中継地で、中国から使節が来た際は、酒宴の席に昆布料理が供された。
Q 関東と関西、汁の色が違うのはどうして?
A 鰹節を利かせる関東と、昆布出汁がベースの関西

早くから昆布出汁に親しんできた関西は、水の硬度が関東より低いため昆布の旨みが出やすい。醤油の違いもある。関西では昆布出汁と合う薄口醤油が好まれ、関東ではパンチのある鰹出汁と香り高い濃口醤油が好まれた。

『日本山海名産圖會』4巻 国会国立図書館

Q 北海道で昆布生産を担ったのは?
A アイヌの人々から松前藩の人たちへ

北海道における昆布の採取は、古くは先住民族であるアイヌの人々によって行われていた。「昆布」の語源はアイヌ語の「コンプ」というのが定説だ。江戸時代中期の書物で、日本各地の産物の採取や生産の様子を図解した『日本山海名産圖會』には、松前藩の人たちによる昆布生産の様子が描かれている。そこには採集した昆布を乾燥させるため、浜辺や家の上、道に至るまで昆布が敷き詰められる豊かな光景が広がる。

1)鯵煮干し 2)鯛煮干し 3)鮪荒節の削節

Q ツウ好みの出汁素材といえば
A 京都で好まれるマグロ節、稀少な鯛の煮干しも

マグロ節は鰹節に比べて味は淡白ながら、ほんのり甘みのある上品な出汁が取れ、お吸い物や素材の味を大切にしたい料理に合う。鯵煮干しや鯛煮干しは、すっきりとしながら旨みの強い出汁が取れ、最近はラーメンスープの素材としても注目されている。

文=増本幸恵 写真=野中弥真人

2020年5月号 特集「日本人は何を食べてきたの?」

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