坂東玉三郎が『源氏物語』六条御息所を熱演!作品への思いに迫る──
シネマ歌舞伎『源氏物語 六条御息所の巻』
映画館で歌舞伎の名舞台を楽しむシネマ歌舞伎の最新作『源氏物語 六条御息所の巻』が、2025年9月26日(金)から全国の映画館で公開される。坂東玉三郎が六条御息所を、市川染五郎が光源氏を演じた話題の舞台がスクリーンによみがえる。主演・監修を務めた坂東玉三郎が語る、作品の見どころや市川染五郎との共演秘話とは?
誰もが根源的に持つ感情だからこそ、
観る人の琴線に触れるものがある

本作は、現代女方最高峰の坂東玉三郎が凄艶な女心を見せる六条御息所を、”歌舞伎界のプリンス”と呼ばれ話題沸騰中の市川染五郎が世の女性を魅了する稀代の貴公子・光源氏を演じて話題となった昨年10月歌舞伎座の舞台を撮影したもの。
本作の舞台公演では主演・監修、シネマ歌舞伎では制作に参加した玉三郎は、シネマ歌舞伎20年周年の節目として本作が公開されることについて、「源氏物語自体は、舞台にすることが難しい作品ですが、六条御息所は人間であれば誰もが根源的に持っている嫉妬心をテーマとしているため、見る人の琴線に触れるものがあります」と作品の見どころについて解説。六条御息所を演じるにあたっては、「(嫉妬心については)練習しなくてもできる」とユーモアたっぷりに話しつつも、六条御息所が生霊となって葵の上を苦しめる点については、「本人は怨霊になっていることを知らず、そこはある意味では赦される点と言っても良い」とキャラクターへの共感も示した。
市川染五郎との共演

光源氏を演じた市川染五郎については、「幕が開いたら、先輩・後輩などは考えないで欲しいと伝え、実際そのように演じてくれました」と公演時を回想。また、染五郎へは、「自分の意見を伝えることの重要性も伝えました。自らの意見を言うことで、その意見に責任を持つことになりますし、そのような参加の仕方が良い経験になると思います」と作品作りの上で重要となるアドバイスをしたエピソードも披露した。
舞台・映像でのこだわり

舞台公演時の工夫としては、「源氏物語の時代の文化である垣間見を基本として、舞台セットは全て几帳にしました。また、几帳をリバーシブルにして舞台転換をすることで、表裏で違った世界観を表現しました」と語り、美しい世界観を作り上げる制作の裏側を解説。映像化に当たっては、「映像として見ると、一緒に芝居をしている共演者の良さに気づかされます。染五郎くんも良い表情をしていました」とシネマ歌舞伎化したことで新たに生まれた魅力も語った。
芝居作りへの熱い思い

「古典の中に普遍的なものを見つけることが重要ですし、観客と気持ちがつながらなければ意味がありません。ただ華やかさや残酷さだけではなく、『なるほど』と納得できるものを届けたいのです。例えば『華岡青洲の妻』を観て“人間とはこういうものだ”と感じるように、その本質を追求してきました。作品の中に、そうした一点でも心に残る部分があればと思います。」
さらに、舞台美術家ボブ・クローリーとの仕事を振り返りながら「良い芝居とは何かと尋ねたとき、彼は胸に手を当て『こういうものだ』と答えました。私も、そのように心に響く芝居を作り続けていきたい」と熱い思いを語り、言葉を結んだ。

シネマ歌舞伎『源氏物語 六条御息所の巻』
上映日|2025年9月26日(金)~10月16日(木)※東劇延長あり
上映館|東劇ほか全国の映画館にて
https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/2803/#joei
料金|一般2,200円 学生・小児1,500円
出演|坂東玉三郎、市川染五郎、中村時蔵、中村歌女之丞、中村亀鶴、坂東彌十郎、中村萬壽
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