《鹿児島〜トカラ列島〜奄美大島》
週2便のみの船で、
日本最後の秘境へ
｜国内のおすすめ船旅ルート9選

島国・日本にはさまざまな海の道がいまもある。物流や文化交流の懸け橋となった歴史あるルートや、船だからこそかなう旅路など、個性豊かな航路を編集部が9つに厳選。今回は金鉱遺産の島の歴史と文化に触れるフェリー航路をご紹介！

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鹿児島〜トカラ列島〜奄美大島・名瀬港
十島村「フェリーとしま2」

トカラ列島は屋久島と奄美大島の間に連なる大小12の島々で、“日本最後の秘境”と呼ばれる。その有人7島をめぐる唯一の手段が、十島村が運営する定期フェリーだ。鹿児島港を深夜に出航すると、最初に現れる口之島では溶岩が広がるダイナミックな景観が迫り、朝焼けに染まる中之島の幻想的な姿に目を奪われる。

諏訪之瀬島では火山の赤い光が夜の海を照らし、小宝島の横たわる妊婦のような島影、宝島港では、島民が手掛けた巨大壁画が迎えてくれる。さらにその先には、船旅の終着点・奄美大島の大自然が待ち受ける。ヤマト文化と琉球文化が交差する風土、そして島ごとに異なる美景をゆったり感じたい。

個性豊かなトカラ列島の
7つの島々に出合う

①口之島

原始の自然が残るトカラ列島の玄関口。県の天然記念物に指定されているタモトユリや日本在来種の野生牛などここでしか出合えない動植物が魅力。

②中之島

トカラ最高峰の御岳が見守る島。晴れた日は列島を一望できる。3つの温泉やコバルトブルーの七ツ山海岸、セリ岬など大自然が心を癒す。

③諏訪之瀬島

幾度となく噴火した活火山と共生する島。イソマグロの日本記録も出ている大物釣りの名所で、春から夏にかけて全国から釣り人が訪れる。

④平島

平家の落人がたどり着いたと伝わる島。その縁の史跡やトカラ列島で唯一全島を見渡せる展望台、美しい東之浜など多彩な景勝地で名高い。

⑤悪石あくせき島

八百万の自然神を各所に祀る。ユネスコ無形文化遺産に登録された「悪石島のボゼ」など神事がいまも残り、「砂蒸し温泉」や「湯泊温泉」が人気。

⑥小宝島

サンゴ礁が隆起して形成され、1時間程度で一周できる島。島内に点在する数々の奇岩と南国特有の植物が楽園のような雰囲気を醸し出している。

⑦宝島

列島有人島最南端のハート形の島。「かごしま百景」にも選ばれた荒木崎灯台やキャプテンキッドの伝説が残る鍾乳洞、エメラルドグリーンの海が魅力。

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船舶DATA
フェリーとしま2
全長｜93.47ｍ
全幅｜15.8ｍ
総トン数｜1953ｔ
客室数｜8室
定員｜297名
車の積載｜可（約15台）
就航年｜2018年
Wi-Fi｜あり

客室DATA
個室／1等客室（2名）1室、1等客室（4名）1室、2等寝台（4名）2室、2等寝台（8名）4室

問｜十島村
Tel｜099-222-2101

 

鹿児島〜奄美群島〜沖縄
 
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text: Ryosuke Fujitani
2025年7月号「海旅と沖縄」