「ガンツウ」を大解剖!木と潮の香りに包まれるシンプルモダンな空間美。
瀬戸内海をめぐる名旅館のような客船「ガンツウ」。その魅力を4回にわたって紹介する《瀬戸内海をゆく宿「ガンツウ」を大解剖!》。第2回は木材をふんだんに使用した温かみのある空間デザインを大解剖!
ガンツウのデザインは、「竹林寺納骨堂」や「阿佐ヶ谷の書庫」で知られる建築家の堀部安嗣さん。船内は木材をふんだんに使ったシンプル・ラグジュアリーな空間で、木の温かみとすがすがしい香りに包まれる。無駄な装飾が一切なく、質のよい木の風合いが最大限に生かされているのも印象的。
茶の湯の「しつらい」の美を思わせるシンプルな空間に、唯一飾られているのがの陶粉画。瀬戸内の砂でつくった顔料で描かれた抽象的な風景画は、茶室における掛け軸のように、インテリアを引き締める。客室をはじめ、ダイニングやラウンジとどの部屋にも、瀬戸内の景色を切り取るように大きな窓が設けられている。
それは船尾にある大浴場も同様で、大きな檜の湯船に腰を下ろすと、波打つ海面と湯船の水面がシンクロして、海に浮遊しているような感覚を味わう。
また、建築家の堀部さんは大のサウナ好き。ガンツウにドライサウナとスチームサウナの両方を配置したことからも、強いこだわりがうかがえる。ちなみに、ドライサウナの水風呂はジャスト18℃に設定されているのだとか。
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文=山本章子 写真=中村香奈子
2017年11月号 特集「この秋、船旅?列車旅?」
1|瀬戸内海に浮かぶ名旅館「ガンツウ」
2|木と潮の香りに包まれるシンプルモダンな空間
3|瀬戸内の海、土、人の豊かさを味わう至福の食事
4|テンダーボートで瀬戸内の島々を遊ぶ