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島根の“美酒・美食”を訪ねる旅へ
前編|日本酒発祥の地をめぐる

2025.3.24 PR
島根の“美酒・美食”を訪ねる旅へ<br><small>前編|日本酒発祥の地をめぐる</small>

中国地方の北部に位置する島根県は、歴史・文化や日本神話が息づく類いまれな地域。日本酒発祥とされる地から生まれる日本酒と、雄大な自然が育んだ稀少な黒毛和牛「しまね和牛」を堪能する旅は、美味の発見に満ちている――。

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島根を醸す酒が美味しい秘密とは?

酒の神を祀る「佐香神社(松尾神社)」。神社では異例の酒造が許可され、神職が醸した濁り酒を神さまに奉納し、10月13日の大祭では参拝客にどぶろくを振る舞っている

島根県には、日本を代表する縁結びの神社「出雲大社」をはじめ、世界遺産の「石見銀山いわみぎんざん」、2025年秋に放送予定の、作家・小泉八雲の妻・小泉セツをモデルにしたテレビドラマの舞台としても注目を集める松江など、独自の歴史文化と豊かな大自然が息づいている。

弥生時代から酒造りが続く島根は、日本酒発祥の地と伝わる酒処。出雲で原点回帰の手仕込みの酒造りにこだわる「富士酒造」の「出雲富士 純米吟醸」は、心躍る華やかな香りとフルーティな味わいが春を想起させる

県東部の出雲は、日本最古の歴史書『古事記』の出雲神話にスサノオノミコトが酒を使いヤマタノオロチを退治した逸話があり「日本酒発祥の地」といわれている。

日々、素手の感触で米の状態を見極める

この地で原点に立ち戻り、伝統的な酒造りを行っているのが「富士酒造」だ。4代目杜氏・今岡稔晶としあきさんが大切にしているのが「出雲を醸し、富士を志す」という理念。

自然の重力で搾る伝統の木槽搾りで、まろやかな味に

地元農家が持続可能な農法で栽培する佐香錦と斐伊川ひいかわの清らかな伏流水を使用し、職人の五感を駆使しながらまっすぐに醸す「出雲富士」は旨みにあふれ、風土の味を表現している。

もろみを低温で管理して、手間をかけた製法で透明感あふれる酒を醸す

鳥取県との県境、安来やすぎ市で約300年前から酒造りを続けている老舗酒蔵が「吉田酒造」だ。

超軟水の仕込み水と地域で丁寧に育てられた酒米、そして火入れ時の温度管理を徹底するなど、常に搾りたてのようなフレッシュな味わいを実現するために、独自の工夫を取り入れた設備や環境で造る「月山がっさん」は、香り高くキレのある味わい。出雲を代表する銘酒の誉れ高く、日本酒の登竜門としても国内外で厚く支持されている。

使用する酒米は、地元の契約農家で栽培した佐香錦や山田錦、五百万石、春陽の4種類
硬度0.3の超軟水を使用してこの地ならではのテロワールを醸す

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酒造りの聖地の風土に触れる
紹介したおすすめスポット

〈富士酒造〉

取り扱う酒販店は限られているが、酒蔵では定番から季節限定酒まで多数取り揃える

手仕事にこだわり“出雲”を醸す
1939年の創業以来、「出雲の地で富士山のように愛される日本一の酒を造る」という想いで命名された「出雲富士」を醸す。こだわるのは、空調を入れず出雲の自然そのままの環境で洗米やもろみの発酵、搾りなど各工程で蔵人の“手の間”を通す、感覚を大事にした酒造り。一般的には純米大吟醸酒レベルの高度かつ丁寧な手法を全量に取り入れた日本酒は、国内外の品評会で高く評価されている。

「出雲の風土を感じる清らかな美味しさを目指しています」と真摯な杜氏の今岡稔晶さん

住所|島根県出雲市今市町1403
Tel|0853-21-1510
営業時間|9:00~17:00
定休日|土・日曜、祝日
https://izumofuji.com

 

〈吉田酒造〉

蔵併設のショップでは、「月山」の多彩なラインアップのほか、純米大吟醸などの搾り粕を減圧蒸留した粕取焼酎「RISOPPA」なども販売している

歴史と伝統を継承し
革新的な酒造りを行う
1743年に広瀬藩公特許の酒造館として歴史がはじまる。約300年、安来の地に根ざした酒造りを守りながら、5代目の吉田智則さんが徹底してこだわるのは、フレッシュで香り高く、米の旨みを引き出したクリアな酒質。全工程に独自の工夫を取り入れ設備投資を惜しまない革新性で、“縁を結ぶ”銘酒「月山」を醸す。

住所|島根県安来市広瀬町広瀬1216
Tel|0854-32-2258
営業時間|8:30~12:00、13:00~17:00
定休日|土・日曜、祝日
https://e-gassan.co.jp

 

 

〈佐香神社(松尾神社)〉

酒の神を祀る古社へも参拝したい
奈良時代に編纂された『出雲国風土記』に「この地(佐香)に神々が集って酒造りを行い、180日にわたって酒宴を開いた」という記述が残る古社。主祭神は酒造りの神、久斯之神(くすのかみ)。「佐香」が酒の語源になったという説もあり、国内外で酒造りに携わる関係者や左党たちが参拝に訪れる。

住所|島根県出雲市小境町108

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【後編】
しまね和牛を堪能する旅!

 
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text: Ryosuke Fujitani photo: Atsushi Yamahira
2025年4月号「ローカルの最先端へ。」

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