島根の“美酒・美食”を訪ねる旅へ
後編|しまね和牛を堪能する美味しい滞在


中国地方の北部に位置する島根県は、歴史・文化や日本神話が息づく類いまれな地域。日本酒発祥とされる地から生まれる日本酒と、雄大な自然が育んだ稀少な黒毛和牛「しまね和牛」を堪能する旅は、美味の発見に満ちている――。
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「しまね和牛」に舌鼓を打つ
美味しい滞在を

島根に足を運ぶなら、県内に点在する約30の酒蔵が醸す多彩な銘酒とともに、“最高品質の和牛”と称される「しまね和牛」を味わいたい。雄大な自然の中で育まれる肉質は、和牛のオリンピックと称される全国規模の品評会で最高賞となる内閣総理大臣賞を二度も受賞するなど、高い評価を受けている。

独自の厳しい肉質基準をクリアした優良黒毛和牛を心ゆくまで堪能するなら、国宝・松江城の堀沿いに佇む名店「ろんぢん 松江本店」は外せない。1969年の創業以来、大正ロマン漂う趣深い空間で楽しめるのは、厳選したA4、A5ランクのしまね和牛だ。
創業以来の名物・しゃぶしゃぶでいただけば、口に入れた瞬間に繊細なサシの霜降り肉が口の中でとろけ、脂の甘みと深いコクに思わず目を見開いてしまう。雑味は一切なく、しつこさを感じない余韻は、まさに“味の芸術品”だ。

酒と極上和牛の妙味は、名宿の温泉とともに満喫すれば忘れられない滞在になる。日本一の庭園で名高い「足立美術館」至近の「さぎの湯荘」では、1300年前に白鷺が傷を癒したと伝わるさぎの湯温泉が源泉かけ流しで好きな時間に浸かれる。

上質な和モダン空間の客室で寛ぎ、しまね和牛尽くしの会席を食す時間は、贅沢なことこの上ない。

また、水都・松江市を象徴する宍道湖沿いに建つ「皆美館」は、島崎藤村をはじめ多くの文人墨客が愛した名宿だ。展望風呂付客室から望む宍道湖の美しい夕景に心奪われる時間、絶景に抱かれた美肌の湯の優雅な湯浴み、そして四季折々の山陰の恵みをいただく食体験――。
島根にしかない美酒と美味を堪能する旅を楽しんでみてはいかがだろうか。

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“最高品質の和牛”を堪能できる
紹介したおすすめスポット
〈ろんぢん 松江本店〉

松江城の堀沿いの老舗でしゃぶしゃぶとすき焼きを堪能
1969年の創業以来、伝統の味を守り続ける老舗。開業以来の名物・しゃぶしゃぶは、しまね和牛のA4、A5等級の中から料理人がさらに厳選した最高級の肉だけを使用し、初代女将が研究を重ねてつくり上げた秘伝のゴマだれ、ぽん酢が極上の旨みを引き立てる。多彩な洋食メニューも人気が高い。

住所|島根県松江市殿町267
Tel|0852-22-3618
営業時間|11:00〜15:00(L.O.14:30)、17:00〜21:00(L.O.20:30)
定休日|火曜(祝日の場合は基本的に翌日休、要問い合わせ)
www.ronjin.co.jp
〈さぎの湯荘〉

源泉かけ流しの温泉宿では会席で多彩な旨みを味わう
風光明媚な足立美術館から徒歩1分の好立地に位置する老舗宿。自然に囲まれた静かな環境の中で、かつて歴代藩主の御殿湯として賑わった名湯がルーツの薬効高いラジウム泉を思う存分楽しめる。しまね和牛のステーキや炙り寿司、味噌煮、釜飯まで堪能できるしまね和牛会席をぜひ味わってほしい。
住所|島根県安来市古川町478-1
Tel|0854-28-6211
料金|1泊1室2万9150円~(税・サ込)
www.saginoyusou.com
〈皆美館〉

宍道湖と庭園を望む絶景宿ではステーキを
1888年に創業し、島崎藤村や芥川龍之介など数々の文人墨客が滞在した老舗宿。刻々と表情を変える宍道湖と樹齢300年の名木が佇む枯山水の湖畔庭園の美景、レイクビューやガーデンビューといった趣の異なる洗練の客室、そして地場素材をふんだんに使用した美食は、特別な滞在体験を届けてくれる。
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住所|島根県松江市末次本町14
Tel|0852-21-5131
料金|1泊1室3万3150円~(税・サ込) ※要問い合わせ
www.minami-g.co.jp/minamikan
アクセス

【大阪から】
飛行機/大阪国際(伊丹)空港から出雲縁結び空港まで約55分
電車/JR新大阪駅から三陽新幹線でJR岡山駅経由、特急やくもでJR松江駅まで計約3時間25分(乗換時間は含めない)
【東京から】
飛行機/羽田空港から出雲縁結び空港まで約85分、荻・石見空港まで約90分
出雲縁結び空港から隠岐世界ジオパーク空港まで約30分
text: Ryosuke Fujitani photo: Atsushi Yamahira
2025年4月号「ローカルの最先端へ。」