熊本・南小国《喫茶 竹の熊》
里山を未来につなぐ“新嘗祭”
最先端のまちづくりがローカルからはじまる。|後編


緑豊かな田園風景が広がる、熊本・南小国「喫茶 竹の熊」を会場に、この秋も新嘗祭が行われた。自然の恵みに感謝し、皆で喜びを分かち合う祭り。そこには地域の自然、文化、人が一体となり、次の世代へ向けて新しい価値を掘り起こし発信していく、美しい里山の姿があった。
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九州の豊かな恵みを伝えていく

飲食ブースでは、穴井さんと同じく、地域への思いをわかせるつくり手が熊本、長崎、福岡からも集まった。あか牛、阿蘇の羊肉、鯨、旬、野菜など九州の名産が並び、ファームスタンドによる餅つきは、行列ができるほどの盛況ぶり!「COFFEE COUNTY」では新嘗祭限定ブレンドも登場した。会場は、地元住民はもちろん、県外からの来場者も加わり賑わった。
また新たな試みとして、建築の地産地消がコンセプトの、小国杉を使った特製テントも建てられた。設計を手掛けたのは、穴井さんと小国杉のプロジェクトを行う九州大学准教授の岩元真明さんの研究室。テント生地は佐賀県の山口産業が手掛け、「Nikken Wood Lab」の協力で実現した。

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喫茶 竹の熊から広がる
里山のあるべきかたち

「おじいちゃん、おばあちゃん、子どもたちが、飛び交う餅を見上げ笑い合う光景を見ると、本当にうれしく、胸が熱くなります。この光景のために一年間頑張ってきたと実感します。これからも続けていきたいです」と穴井さん。

話はさらに続く。「今日のような佳きつながりが、里山から全国、世界へと広がっていけばと願っています。収穫に感謝し、皆で喜びを分かち合う。そうすることで心が満たされ、豊かな時間が生まれるのではないでしょうか」。
小さな里山の新しい祭りが、これからの地域のあるべき姿を教えてくれる。
県内外の出店者が集結。
収穫を喜び合う文化の輪、広がっています!

〈飲食エリア〉
「阿蘇さとう農園」 モンゴル料理 チャンスンマハ(羊と塩のスープ)
「OSOTOYA米饋室」 鯨のだご汁、キンパ、いなり、彼杵茶
「EAT LABO BR」 赤牛のトマトスープ、郷の野菜と赤牛
「深百菓」 和菓子、赤飯、ぜんざい
「COFFEE COUNTY」 新嘗祭限定コーヒー豆の販売、ホットコーヒー
「にわとり舎」 自然栽培の米、野菜
「Chandra en Chandino」 自然栽培・無肥料無農薬&バイオダイナミック農法の野菜・ハーブ・調味料
「江口農園/strangefruits」 無農薬柑橘、マフィン、シロップ、ジャム、玄米餅
「Serendipity」 グラノーラ、ドライフルーツ、塩、竹炭洗剤の量り売り、エシカル製品
「FARMSTAND ON SUNDAYS」 アップサイクルバッグの販売とワークショップ
「喫茶 竹の熊×ノミヤマ酒販」 ドリンク、ワイン、酒、新米、オリジナルTシャツやプロダクトなど
〈ワークショップエリア〉
「Dr.杉太郎」による「どこでも杉パーク」
〈会場設営〉
「Nikken Wood Lab」による「つな木」
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喫茶 竹の熊
住所|熊本県阿蘇郡南小国町赤馬場2041
Tel|0967-42-1010
営業時間|11:00~16:00(L.O.15:30)
定休日|木・金曜 ※冬季は土~月曜のみ営業
当日の様子はこちら!
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text: Nozomi Kage photo: Hiroshi Mizusaki movie: Haruki Anami
2025年3月号「ニッポンのまちづくり最前線」