渋谷パルコ「食のための道具展」
食をシックに彩るキッチン道具
FEDECA/大黒屋/96/FUTAGAMI/志津刃物製作所
一年のはじまりを、新しいキッチンツールともに迎えてはいかが?2025年1月4日(土)〜1月22日(日)にかけて東京・渋谷パルコで開催の「食のための道具展」ではカトラリーから包丁まで、こだわりのアイテムが並ぶ。日々の食卓をもっと豊かに、もっと楽しくするキッチン雑貨を紹介します。
「FEDECA」
心躍るスタイリッシュなデザイン
「刃物は危ないから触っちゃ駄目」。幼少期にかけられたそんな言葉から、刃物=危険なものというイメージを植え付けられている人も少なくない。FEDECAは、こうした人々の「刃物を思うように扱ってみたい」という潜在意識に応えるために、思わず手に取り使ってみたくなる刃物製品を開発している。
ポイントは、誰にとっても使いやすいかたちであること。木製ハンドルは握りやすく手によく馴染む。積層強化木使用で水にも強い。ステンレス製の刃は切れ味がよく、トマトも力まずスーッと切れる。錆びにくく研ぎやすいから、初心者でも安心だ。気分が上がるスタイリッシュなデザイン。普段使いはもちろん、アウトドアシーンにもおすすめ。
FEDECA(ふぇでか)
1895年創業の神沢鉄工株式会社の新興刃物ブランドとして、2015年に誕生。戦前はノコギリや剪定バサミ、戦後はドリルの先端に付ける穴開け工具などを製作。FEDECAでは先代たちの技を生かして、ナイフやキッチンツール等を提案。
三徳包丁 大 名栗ブラック
ブレードの鋼材には医療用メスなどにも使われている日本製の高機能ステンレスを採用。抜群の切れ味と重厚なデザインを楽しんで。
三徳包丁 小 名栗ホワイト
粗削りのハンドルがキッチンに映える。アフターフォローも万全で、刃の切れ味が鈍くなったり欠けても、メインテナンスしてくれる。
「大黒屋」
美味しさを引き立てるフィット感と使いやすさ
墨田区や葛飾区界隈では、大正初期から木箸がつくられてきた。かつては箸職人に依頼していたが、技術的に手間のかかる作業は断られるようになり、「ならば自分たちの手で」と、自社製作するようになったのが大黒屋のはじまり。手掛けるのは江戸木箸。厳選された銘木を使い、木そのものがもつ風合いを引き出しているのが特徴。黒檀や紫檀、鉄木など、稀少性の高い木材でつくられる箸は五角形から小判形まで、形状はいろいろ。漆塗りの技法である研ぎ出しで仕上げる。
「日本人にとって箸は、自分だけの大切な道具のひとつ。実際に手に取り、これぞ! と思う箸を使ってほしいです」(大黒屋・丸川さん)。圧倒的な安定感と持ちやすさを実感しよう。
大黒屋(だいこくや)
創業者の竹田勝彦さんが、箸に将来性を感じて1987年に設立。取り扱っている「江戸木箸」は、竹田さんが1999年に自ら命名し、商標登録したもの。美しく機能性に優れた江戸木箸をバラエティ豊富に展開。その魅力を伝えている。
五角研ぎ出し箸 鉄木(大)緑
五角形の箸は指の収まりがよく、正しい持ち方に導いてくれる。素材は水に非常に強く腐りづらい鉄木を使用している。
五角研ぎ出し箸 鉄木(中)赤
安定感のある使い心地を実現。研ぎ出しと呼ばれる技法により、中塗りの色がわずかに見える味のある表情をつくり出している。
箸置き
箸を製作する過程で出た端材を、無駄なく使用するために考案された一品。素材は密度の高い縞黒檀。木でありながら重厚感が漂う。
「96【KURO】」
黒染めが生む、豊かな黒の表情
96が手掛ける「黒染め」とは、布を染めるように、金属を化学反応によって黒く染める技術。表面を黒く塗装した場合とは異なる、金属の風合いを生かした黒が生まれる。だからマットな金属はマットな黒に、光沢のある金属は光沢のある黒に仕上がる。また黒染めのアイテムは、経年変化を楽しめる点も魅力だ。
「使うシーンや料理、使用頻度など、状況によって黒さが増したり、青光りや赤光り、グレーに色のニュアンスが変わったり、さまざまな変化が起こります。そうした表情の移ろいもぜひ楽しんでいただきたいです」(96・五十嵐さん)
日々の食卓はもちろん、来客時や季節のイベントなど、幅広いシーンで活躍。黒の世界を堪能しよう。
96【KURO】(くろ)株式会社テーエム
約65年前、新潟県三条市で黒染め専門社として事業をスタート。カトラリーの製造から黒染めまで、すべての工程を燕三条の地域で行っている。今後はさまざまな黒染め製品を展開していく予定。
スプーン大(つやつや)
和洋中、どんな食卓にも合うように「ピカピカ」ではなく「つやつや」に仕上げている。金属がもつつや感や高級感を残している。
フォーク大(つやつや)
上品なつや感を出すために、仕上げは一本一本、手で磨いている。食卓は選ばないが、陶器よりも磁器のうつわとの相性がいい。
スプーン大(ざらざら)
チールの細かな粒を当て、肌を梨地にした状態で黒染めを施している。ざらざらとした質感で、高級感と素朴さを兼ね備えている。
フォーク大(ざらざら)
マットな質感で、陶器のように見えつつ、金属らしさも醸し出している。どちらかといえば、磁器よりも温かみのある陶器と合う。
温もりと静けさを備えた鋳肌真鍮アイテム
「FUTAGAMI」
これまで仏具製造などで培ってきた技術を用い、バラエティに富んだ真鍮アイテムを展開する「FUTAGAMI」。キッチン用品をはじめ、製品の大半は砂で型をつくり、そこに溶けた金属を流し込む生型鋳造(なまがたちゅうぞう)で生み出される。
ザラザラとした鋳肌をそのまま生かし、装飾も極力省いた真鍮は鈍い光を放つ。その静謐な姿は、周囲の空気までをも穏やかに変えてくれる。
「無垢の真鍮は一つひとつ表情が異なります。扱いが難しいと感じるかもしれませんが、手で触れ、たくさん使うことで味わいが増します。育てる感覚で楽しんでください」(FUTAGAMI・井上さん)
まずは手軽な箸置きから、真鍮デビューしてみては?
FUTAGAMI(ふたがみ)
897年の創業以来、仏具を中心とした伝統的工芸品を手掛けてきた。2009年、これまで培ってきた技術を用いて生活用品やインテリア用品などを展開するブランド「FUTAGAMI」を新たに設立。真鍮素材を中心にものづくりを行っている。
箸置き『四つ月(よつつき)』
塗装やメッキなどを施していない無垢の真鍮を使用。使い続けるうちに表面が酸化し、徐々に深みが増していく。経年変化も魅力。
箸置き『五つ月(いつつづき)』
鈍く輝く真鍮は、食卓を華やかに演出してくれる。月を重ねた神秘的なデザインは安定感があり使いやすい。来客時も重宝する。
「志津刃物製作所」
刀匠の技が現代のキッチンに馴染む
「巷には価格帯の異なるさまざまな包丁があふれています。どんな包丁を使うかは、人それぞれ。でも、せっかく料理の相棒にするのなら、気持ちよく使えるほうがいいですよね。切れ味のよい包丁に変えたら、晩ごはんのおかずが一品増えるかもしれませんよ」
そう語る志津刃物製作所では、刀匠たちの技術を伝承しつつ、時代のニーズに合った、思わず手に取りたくなるような包丁の数々を開発している。
たとえば「やまと」シリーズは、昔から使われてきた三徳や出刃包丁をよりシンプルに、扱いやすい構造にアレンジ。もちろん切れ味も抜群で、料理の楽しさをあらためて教えてくれる。自分にべストな一本を探してみてはどうだろう。
志津刃物製作所(しづはものせいさくしょ)
1959年、刃物の町・岐阜県関市にて創業。社名の由来は、有名な刀鍛冶「志津三郎」にあやかったもの。伝統を継承しつつ、時代のニーズに合った新しい製品を提案している。
玄 牛刀 180mm
奥深いことを意味する「玄」の名の通り、鉄の酸化物がつくり出す黒色とダマスカス模様が深みを感じさせる。使いやすいサイズ感。
玄 牛刀 210mm
伝統的な栗形(栗を半切りにした形状)のハンドルは、握った手が自然に収まるフィット感。刃渡りは長く、幅広い食材に対応。
やまと 柳刃
手入れが容易で、気軽に使える一本。一般的なものより刃が少し短く、コントロールしやすい。左利きの人にも便利な両刃仕立て。
やまと 三徳
伝統的なかたちをシンプルに、使いやすくアレンジした「やまと」シリーズ。食材を選ばずオールマイティに使える一本。
line
個展作品の一部がオンラインで買える!
公式オンラインショップ
食のための道具展
会期|1月4日(土)~1月22日(水)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
text: Misa Hasebe photo: Shiho Akiyama
2025年2月号「温泉のチカラ」