《Studio–GALA/スタジオ・ガラ》で日本の伝統×現代デザインを暮らしに取り入れる。
国産の木材を自然乾燥させ、お椀づくりに使われるろくろ挽きの技術によって制作された鏡餅など、日本の伝統的な素材や技術を受け継ぎ、現代にその魅力を伝えているプロダクトブランド「Studio–GALA(スタジオ・ガラ)」。真心の込められた丁寧な技術の結晶は、我々に日本の伝統文化の豊かさをあらためて教えてくれる。
渋谷パルコのDiscover Japan Lab.および公式オンラインショップでは一部作品を取扱中!
小林良一(こばやし りょういち)さん
デザイナー。1982年に「Studio–GALA」を設立。日本の伝統文化と技術に敬意を払いながら、それらを未来に紡いでいくため、現代の暮らしに美しく馴染むような作品を生み出し続けている。
「紙」への興味からはじまった
のちに「Studio–GALA」を設立する小林良一さんの青年時代は、日本の経済が右肩上がりに成長していた時代だった。大量生産・大量消費社会でエネルギーや資源が惜しみなく使われる一方、環境問題が顕在化した暗い一面もあった。そうした中で、小林さんは電気やプラスチックの登場により失われつつあった、ろうそくや紙などの素材に興味をもった。小林さんは、ビジネス文書やトイレットペーパーなど機能的な素材として残り、襖やお椀など伝統的な用途では必要とされなくなっていった紙に、とりわけ興味を抱いた。
小林さんは、紙で制作した立体作品を百貨店に展示するなどの活動を経て、1982年に「Studio-GALA」を設立。第1作目として、紙を素材とした「こよりシリーズ」を発売した。
小林さんは、こよりシリーズを制作する際、紙に漆を塗り重ねる技術に着目した。たとえば、漆を接着剤として紙と麻布などを貼り重ねて成型した素地に、さらに漆を塗り重ねて仕上げる技法「乾漆(かんしつ)」。こより状にねった紙を竹細工のように編んで成型した素地に、漆を塗り重ねる「長門(ながと)」などの伝統技術があった。漆が塗られた紙は、耐久性が優れているが、高価な漆を大量に使うことと、制作に手間がかかるため、プラスチックの登場とともに、人々の暮らしの中から姿を消していった。
この失われつつあった伝統技術を、「Studio–GALA」が軽くて便利な生活用品として復活させたのが「こよりシリーズ」だ。直線的なデザインにすることで、紙本来の柔らかな膨らみや反りを表現し、用途を限定しないデザインを実現した。長い間、日本人の手に馴染んできた紙の手触りは、現代を生きる私たちの心を落ち着かせてくれる。
日本の伝統的な素材と技術を生かした
HALEシリーズ
生活用品として機能性も重視した「こよりシリーズ」とは別に、機能性を度外視し、日本人の精神性を大切にした作品群が「HALEシリーズ」である。
同シリーズは、小林さんが知人から「このままだと産地が駄目になる」と、日本の伝統技術や素材が失われる危機を訴えられたところからスタートした。同じく失われつつある日本の伝統行事を感じられるものをつくってほしいという依頼の下、職人たちが継承してきた各地の伝統技術を取り入れ、ひとつのものに昇華させた結果、現在の「HALEシリーズ」となった。お椀などに使われるろくろ挽きの技術や、組紐、水引など、それぞれのディティールは、伝統技術を受け継いだ、日本各地の職人の手によってつくられている。
ハレにもケにも使える万能なうつわ
「Studio–GALA」は、紙や木といった素材のほか土を生かしたプロダクトを制作している。たとえば、信楽の土を使用した炭化鉢は、無駄のないデザインが特徴的。釉薬をかけずに高温で野焼きすることで土を炭化させ、素材本来のザラザラした質感や漆黒の色合いを生み出している。シンプルながら深みのあるうつわは、料理を引き立て、ハレの日でも日常使いでも受け止めてくれる。
日本の失われていく伝統に新しい価値を見出す
日本の職人の技術と感性を継承し、現代人が新たな価値を見出せる作品づくりを目指している「Studio–GALA」。機能性を重視する画一的な商品があふれる現代社会において、日本人が大切にしてきた素材や職人の伝統技術は、我々が忘れかけている豊かな文化を気づかせてくれる。AIなど無機質で合理的なものが世の中を発展させているいま、手づくりのあたたかさを感じさせてくれる「Studio–GALA」の作品を、暮らしに迎え入れてみてほしい。
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Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00〜21:00
定休日|不定休
※最新情報は公式Instagram(@discoverjapan_lab)などで随時紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
photo=Miho Kobayashi, Akito Ochiai