京都《伏見稲荷大社》のご利益の秘密③
伏見に来たらぜひ立ち寄りたいご利益スポット3選
伏見と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、朱い鳥居が連なる光景で知られる「伏見稲荷大社」だろう。その謎めいた雰囲気に外国人参拝客も多く集まるが、この伏見一帯が、歴史と深く結び付いたパワースポットであり、「水」にまつわる逸話が多いのも事実。京都屈指といわれるご利益の源をめぐらずにはいられない。
今回は伏見に来たらぜひ立ち寄りたい3つのご利益スポットを紹介する。
文=柏井 壽
作家。1952年、京都府生まれ。京都人ならではの目線を生かしたエッセイや旅紀行文を執筆。小誌特集内「京都人の美味しい日常」でもエッセイを寄稿。
金運のご利益を求めておさすり大黒さんの元へ
「大黒寺」境内に湧き出る水は「金運清水」と呼ばれ、お堂の前には「おさすり大黒」が祀られるなど、開運気配に満ちた寺です。
その真向かいに建つ「金札宮」は、観阿弥の作といわれる能の謡曲『金札』の舞台となった、由緒正しい神社。
平安遷都の際に伏見の里にお社をつくろうと、勅使が出向き、神のお告を待っていると、天から金の御札が降ってきたといいます。そこには天太玉命がこの国を護るため、この地に降臨すると書かれていたという話です。
境内にある樹齢1200年を超えるとも伝わるクロガネモチの大樹の下に立ち、木肌に触れると、願いがかなうパワーを感じるような気がします。
天空から金の札が降ってくる。さぞや壮観だったでしょう。
神社の教えには「なにごとも道理に基づいた考えや行動を得ることによって運を開かせてくれます」とあります。耳が痛いですね。無条件で運を開いてくださるわけではない。当然のことですが、心してお参りしましょう。
伏見に来たら、ぜひ食べておきたいのが「おいなりさん」。甘辛く煮上げた油揚げの中に酢飯を詰めた「いなり寿司」は老若男女、万人が好む料理と言っていいでしょう。
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大黒寺
真言宗の寺。1615年に薩摩藩主・島津家の守り本尊を祀ったことから、武運長久の祈願所となり通称「薩摩寺」と呼ばれる。境内には西郷隆盛が建てた有馬新七ら寺田屋事件で犠牲になった九烈士の墓などもある。
住所|京都市伏見区鷹匠町4
Tel|075-611-2558
拝観時間|境内自由
拝観料|無料
金札宮
伏見で最も古い神社のひとつで、天太玉命(白菊翁・白菊大明神)を祀る。社号は、お宮建設時に天から金色のお札が舞い降りてきたことから由来するという、商売繁盛・金運上昇のパワースポットとして親しまれている。
住所|京都市伏見区鷹匠町8
Tel|075-611-9035
拝観時間|9:00〜16:00
拝観料|無料
祢ざめ家
1540(天文9)年創業。母の健康を祈願するため朝早く伏見稲荷大社に来た豊臣秀吉が、1軒開いていた茶屋に感謝し「ねざめや」と命名。秀吉の正室ねね(祢々)から「祢」の文字を与えたと伝わる、門前町ならではの雰囲気も味わえる食事処。
住所|京都市伏見区深草稲荷御前町82
Tel|075-641-0802
営業時間|10:00〜16:00(売切れ次第終了)
定休日|不定休
http://nezameya.com
photo: Katsuo Takashima
Discover Japan 2023年11月号「京都 今年の秋は、ちょっと”奥”がおもしろい」