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大原で1200年の歴史を紡ぐ《三千院》
柏井 壽さんと巡る、京都・大原を堪能できる名刹へ②

2023.12.4
大原で1200年の歴史を紡ぐ《三千院》<br><small>柏井 壽さんと巡る、京都・大原を堪能できる名刹へ②</small>

美味しい大原を堪能した後は、大原の魅力である四季折々で見事な景観が見られる庭園をもつ寺院へ。代表してふたつの名刹をご紹介する。
 
最後は、大原で1200年の歴史を紡ぐ「三千院(さんぜんいん)」。絵画のような美しさを誇る庭園で過ごすひとときは格別だ。

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一服しながら眺める絵画のような庭園

おきな地蔵

もうひとつの古刹「三千院」は、大原を訪れて参拝しない人など、一人としていないだろう有名寺院です。
 
発祥は延暦年間にまでさかのぼります。伝教大師最澄が比叡山の東塔近くに建てた堂宇は、時代の移り変わりとともに、場所や姿が変遷し、明治維新の頃に大原に移転しました。

苔の帽子をかぶった「おきな地蔵」(上)と、弁天池の脇で苔と一体になった「わらべ地蔵」(下)。石彫刻家の杉村孝氏の手によるもの

僧侶が唱える「声明音律」の「呂律」にちなんで名づけられた小川、呂川と律川に挟まれた広大な境内は、足元には苔、見上げれば樹林と、深い緑に包まれています。
 
大きな阿弥陀三尊像をお祀りするため、天井を船底型に折り上げている「往生極楽院」は、神々しさをたたえながらも、どこか親しみやすい空気も漂わせています。苔の中に埋もれるように佇む「わらべ地蔵」も愛らしいですね。

仏さまと里人が、長い間寄り添いながら暮らしてきた大原の里は、雅な都から離れているからこそ、ずっと日本の原風景を保ってきました。
 
そして大原の地が育ててきたのは野菜だけでなく、おもてなしの心でした。
 
それが大原に美味しい店が集まる、最大の理由なのです。

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客殿から庭園「聚碧園」を眺める。小さな滝、二段の池と築山があり、四季折々の表情を見せる。縁側の茶席が特等席

三千院
比叡山延暦寺を開いた最澄が、東塔南谷にお堂を建立したのが起こり。大原で1200年の歴史を紡いでいる。往生極楽院で行われる日々の法要に心が洗われる。秋のもみじまつり、天台会などはその様子を見ることができる。
 
住所|京都市左京区大原来迎院町540
Tel|075-744-2531
拝観時間|9:00〜17:00(11月は8:30〜、12〜2月は9:00〜16:30)
定休日|なし
拝観料|一般700円、高中生400円、小学生150円
www.sanzenin.or.jp

photo: Makoto Ito
Discover Japan 2023年11月号「京都 今年の秋は、ちょっと”奥”がおもしろい」

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