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データサイエンティスト・宮田裕章に聞く
データサイエンスが導く持続可能な未来④

2023.7.30
<small>データサイエンティスト・宮田裕章に聞く</small><br>データサイエンスが導く持続可能な未来④</small>

収集したデータを分析、解析し、有益な価値を引き出す学問、データサイエンスへの注目度は、年々高まりを見せている。データで未来を切り拓くために必要なカギを、データサイエンティスト・宮田裕章さんの解説で探っていく。

最後のテーマは「宮田さんが思い描くデータ共鳴社会の未来」。宮田さんが現在携わる事業や取り組みを交えて、Better Co-Beingの実現に向けた想いに迫る。

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皆で多様な未来をつくる“Better Co-Being”な体験を。

大阪・関西万博の会場中央に設けられる「静けさの森」。森を交差する大屋根は、アートのための装置としての機能ももつ。建築は「SANAA」が手掛ける
提供=慶應義塾大学

宮田さんが思い描くデータ共鳴社会の未来。それはジャズのセッションに近いイメージだという。
 
「個が奏でる音が調和し、美しいハーモニーを生み出すコミュニティ。一人ひとりが多様な価値観をもち、多様な個性が響き合う社会です」
 
この想いは、宮田さんがテーマ事業プロデューサーを務める2025年開催の大阪・関西万博の、「シグネチャーパビリオン」で表現される予定だ。万博のテーマは『いのち輝く未来社会のデザイン』。宮田さんが担当するパビリオンは『いのちを響き合わせる』をテーマ事業とし、『Better Co-Being』をコンセプトに掲げている。
 
会場の中央に位置する『静けさの森』や8つのシグネチャーパビリオンはデータでつながっており、位置情報、感情、人流など来場者同士のデータを共鳴させることで、互いの「well-being」を実現する環境を構築。このようなデータ共鳴社会の疑似体験を通じ、未来につながる有用なレガシーを残していくという。
 
「well-beingの調和の中で、命の輝きとは何か、世界をどうつくっていくのか、来場者とともに考えたいと思っています。同じ空を見上げながら、未来に対して問いを立てる体験が得られる場となっています」

岐阜県に設立予定のCoIU(仮称)のキャンパスの設計は建築家・藤本壮介さんが担う。飛騨の街全体を学びの場とし、「その先へ」と意識が開かれるキャンパスになるという
提供=慶應義塾大学

さらに宮田さんは、2026年開学予定の「Co-Innovation University(略称:CoIU)」(仮称)でも、学長候補としてBetter Co-Beingを追求していく。大学名に込めたのは、「人々がよりよく生きる豊かな未来を、ともにつくる」という想い。この意味合いは「共創学部」という学部名にも取り入れ、新たな価値創造を目指し、多様な人々とコミュニティが補完し合いながら、持続的に課題解決及び社会変革について考えていくという。
 
「経済、統計学、社会学、医学などさまざまな分野の知を学べる大学にする予定です。そして課題に対する問いを立て、新たな価値を発見し、実践と理論を組み合せた授業を行っていく。たとえば持続可能な農業の在り方とビジネスを組み合わせたり、森林資源とテクノロジーを融合させたエコシステムを構築したり、地域と地域、地域と人、地域と世界を結ぶのです。実践は地域の方々や企業と一緒に取り組んでいきたいですね。共創できる力をも、培っていこうと考えています」
 
CoIU(仮称)での教育が浸透すればするほど、ローカルと世界との距離は縮まり、地域の魅力はより広く発信されていくだろう。Better Co-Beingが実現した先には、一人ひとりが自分らしく輝ける社会があるはずだ。

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text: Nao Ohmori photo: Kenji Okazaki
Discover Japan 2023年6月号「愛されるブランドのつくり方。」

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