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データサイエンティスト・宮田裕章に聞く
データサイエンスが導く持続可能な未来③

2023.7.30
<small>データサイエンティスト・宮田裕章に聞く</small><br>データサイエンスが導く持続可能な未来③</small>

収集したデータを分析、解析し、有益な価値を引き出す学問、データサイエンスへの注目度は、年々高まりを見せている。データで未来を切り拓くために必要なカギを、データサイエンティスト・宮田裕章さんの解説で探っていく。

今回のテーマは「データサイエンスが、一人ひとりに寄り添う未来をつくる!?」。データ共鳴社会は、万人が豊かさを感じる暮らしをもたらすだろう。産業やインフラにも、さまざまな変化が起こるはずだ。

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データサイエンスが、一人ひとりに寄り添う未来をつくる!?

データは「共有できる」というメリットももつ。歴史を振り返ると、農業革命では食料が、産業革命では化石燃料が発展の原動力となると同時にヒエラルキーを顕在化させてきた。
 
「データは奪い合うものではなく、共有によって生まれる価値を有しています。私が携わったLINE全国調査は、まさにその一例です。データの集積から評価される多様な価値は、社会をよりよい方向へ導く『共有価値』となる。それに基づくさまざまなコミュニティが共存する社会こそ、『データ共鳴社会』が目指す未来です」
 
万人が豊かさを感じる社会へ続くカギが、データサイエンスなのだ。
 
「心身や社会的に良好である『well-being』という言葉があります。データにより一人ひとりが世界とつながる社会では、『みんな幸せ』という意識が不可欠。このwell-beingの共存を、私は『Better Co-Being(ともによりよくあること)』と呼んでいます」
 
データを活用すれば、一人ひとりに寄り添える。雇用や医療などのデータを掛け合わせ、助けを必要とする人に、適切な支援も行えるからだ。
 
「データがない状況では、半ば一方向な支援となる恐れもある。データって、とても温かいものなのです」

<多様な分野でBetter Co-Beingを実現するデータの力>

農業
・生産量の安定化
・作業効率の向上
・6次産業 商品開発など
食材にデータをのせる「フューチャータグ」のようなものを付ければ、生産者や作物の付加価値が明確となり、マーケットは多様化する

医療
・医療の質の改善
・病気の早期発見、防止など
宮田さんが携わる「NCD」に象徴されるように、医療の質はさらに向上。患者個人のデータと組み合わせれば、最適な治療が行える

交通
・点検補修の効率化
・渋滞の緩和
・災害予測など
道路・街路交通情勢調査や民間企業などによって集積されたデータを活用することで、よりスムーズな交通計画が行われる

教育
・多元的な学びの提供
・地域創生 課題解決
・指導者不足改善など
授業内容や教材の評価の数値化が可能となり、教師自身の課題発見やよりよい教育が行われる環境が整っていく

企業
・新規事業の策定
・業務効率化
・品質保証など
貨幣を超えた共有価値が創造できる。共有価値に対する顧客への還元や、踏み込んだコンテンツの仕掛けなど、可能性は広がる

行政
・観光振興事業の策定
・文化財保護
・個別化対応など
サポートを求める人への最良な支援、住民のニーズにマッチした対応など、地域に根ざし、個別最適な政策を行える

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宮田さんが思い描くデータ共鳴社会の未来
 
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text: Nao Ohmori photo: Kenji Okazaki
Discover Japan 2023年6月号「愛されるブランドのつくり方。」

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