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クリエイターたちに聞いた
愛用品と一生ものの出合い方
米富繊維|大江 健

2023.1.6
クリエイターたちに聞いた<br>愛用品と一生ものの出合い方<br><small>米富繊維|大江 健</small>

コロナ禍を経て、ものへの価値観が変わってきたように思う昨今。あらためてもの選びのヒントにしたい、自身の愛用品とその出合い方について、「米富繊維」代表取締役社長、大江健さんにお話をうかがってみました。

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〈うかがった方〉
大江 健(おおえ・けん)
1977年、山形県生まれ。高校卒業後、上京。2007年に帰郷して、家業の米富繊維に入社。ニットテキスタイルの企画開発に携わり、’10年に自社ブランド「COOHEM」、’20年に「THISISASWEATER.」を立ち上げた

背景にあるストーリーや想いに心惹かれる

僕が愛用しているセーターは、手入れが難しいという声の多いカシミヤセーターを、日常で気軽に着てほしいという想いから開発したものです。手洗いできるほど風合いが詰まっていて、洗いや染めの加工をしていないので、デニムのように経年変化も楽しめます。最初は綿みたいな肌触りですが、ふた冬、ほぼ毎日着ていた僕のセーターは毛が起きてきて、カシミヤっぽさが出てきている状態です。

そもそもセーターって、おしゃれのためではなくて、防寒のために着るもの、つまりは生活の道具なんですよね。だからこそものづくりでは、歴史や技術の積み重ねを守りつつも、こうあるべきというものにとらわれ過ぎず、時代に合わせて価値観をアップデートすることを大切にしています。おすすめとして紹介しているセーターもそう。アイルランド・アラン諸島最高のつくり手が編んだセーターを見本としつつ、独自にブレンドした糸を使うことで、半袖Tシャツの上に着てもチクチクしない肌触りに仕上げました。

自分でものを選ぶとき、買うときも同じで、歴史や技術をリスペクトしつつも単なる懐古主義ではなくて、現代化されているものに惹かれます。そして一生ものとして長く使うためには、〝なんとなくかっこいいから〟では駄目。クオリティ的にもデザイン的にも一過性でないことはもちろん、そのものに携わる人のストーリーや想いに共感できるものを選ぶようにしています。日本人はもともと、ルーツを勉強した上での創意工夫が得意ですよね。しかも細部にまで目を配りますが、服の業界でいえば、これほど細かく丁寧に応えられるファクトリーは、日本以外にありません。しかもそれを声高に言わずにやる。そうした手仕事への日本人の姿勢そのものが美しいと思います。

ストーリーや想いを知るのに一番いいのは、そのものがつくられている場所に行って実物を見て、触って、体験すること。うちもECサイトを運営していて、ラインアップも店舗と同じではありますが、店舗では工場のスタッフが接客をしますし、工場の見学も受け付けています。ものづくりの場の空気を感じながら、つくり手とコミュニケーションを取った上で買ったものと、画面上で買ったものとでは、手に入れた喜びも、使い続けて感じる愛着も、まったく違うものになると思います。

大江さんの愛用品
「米富繊維」のYonetomi RIGID CASHMERE

家庭で手洗いできるカシミヤセーター。強度の高い糸を緻密に編み込んだ硬い風合いで、洗いや染めの加工もしていない。着込むうちにカシミヤらしい柔らかな風合いが育つ。

Data
価格|4万2900円
サイズ|1、2、3、4 (UNISEX)

店舗のおすすめ
「米富繊維」のTHISISASWEATER.A SWEATER IS LOVE.

アイルランド・アラン諸島に伝わるアランセーターの最高傑作を見本に、独自にブレンドした糸で手編みの風合いとカシミヤのような柔らかさを実現した特別なセーター。

Data
価格|5万7200円
サイズ|1、2、3、4 (UNISEX)

読了ライン

Yonetomi STORE
住所|山形県東村山郡山辺町山辺1136
Tel|023-664-8166
営業時間|水〜土曜、第2・4日曜12:00〜19:00
定休日|月・火曜、第1・3・5日曜
Instagram|@yonetomistore
※最新の営業日は公式Instagramで要確認

 

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《クリエイターたちに聞いた愛用品と一生ものの出合い方》
1|MOGI Folk Art/テリー・エリス & 北村恵子
2|Swimsuit Department/郷古隆洋
3|米富繊維/大江 健
4|SyuRo/宇南山 加子
5|うなぎの寝床/白水 高広

text: Miyu Narita, Ryosuke Fujitani, Jun Yamauchi, Miyo Yoshinaga
photo: Kohei Omachi, Akio Nakamura, Kazuya Hayashi, Hiroshi Mizusaki
Discover Japan 2022年12月号「一生ものこそエシカル。」

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