大分の手仕事を訪ねて。(後編)~由布院・別府おすすめ立ち寄りスポット~
いま国内外から注目を集める大分のものづくり。工房巡りと併せて訪れておきたい、湯布院と別府の立ち寄りスポットをご紹介します!
≪前編 ~木工・竹細工~
ゆったりとした時間を過ごせる
湯布院
九州旅行の憧れの地とされる湯布院。由布岳をはじめとする山々に囲まれた盆地で、温泉と豊かな自然に恵まれている。温泉は、湯量が豊富な「由布院温泉」、古くから湯治場として栄えた「湯平温泉」、強い酸性で薬湯として知られる「塚原温泉」がある。歴史的には平家の落ち武者や隠れキリシタンをかくまってきた土地。現在、町づくりのお手本にしているのが南ドイツの温泉保養地だ。温泉だけでなく自然環境を保養の目的に取り入れるクアオルトを湯布院でも実践。町を歩くと昔ながらの石垣や棚田、蛍が舞う川といった懐かしい風景に出合えるのは、数々の開発の波から町を守ってきた住民たちの努力のたまものでもある。
ここではお気に入りの宿でゆっくり過ごそう。地元の人が通うお店やスポットをツーリストインフォメーションセンターで聞いてみて、暮らしに近い視点でのんびり散策するのがおすすめだ。
名宿のもてなしと地の素材を堪能「湯の岳庵」
金鱗湖の近くに位置する「亀の井別荘」の食事処。猪肉、おおいた和牛、冠地どり、朝採れ野菜など大分の旬を味わえる。写真は「冠地鶏焼膳」2530円。炭火で焼いたおおいた冠地どりが熱々の鉄板で運ばれてくる。
日帰り湯治・長期滞在も!新たな温泉リラクゼーション施設「温泉保養集落『束ノ間』」
大露天風呂はトドのように湯船の側でぐだ〜っと横になれる「todo湯」スタイル。源泉かけ流しの湯はメタケイ酸を多く含むため美肌効果が高く、空気に触れると徐々にコバルトブルーに変化する。立ち寄り湯は大人800円。
幻想的な風景が魅力「金鱗湖」
湖底から清水が湧き温泉が流れ込む珍しい湖。四季を通して美しい風景に出合える。桟橋の対面にある天祖神社側からは、鳥居が湖面に映る神秘的な風景を写真に収めることができる。
住所:大分県由布市湯布院町川上
立ち寄り湯と地獄蒸しを楽しむ
別府
湧出量、源泉の数ともに日本一を誇る別府。別府温泉発祥の地とされる「浜脇温泉」、浜辺の砂ぶろが有名な「亀川温泉」、藁葺きの湯の花小屋で知られる「明礬温泉」など8つの温泉地があり、別府八湯と称される。ひと際湯煙が上がるのが「鉄輪温泉」。別府八湯の中でも古きよき湯治場の雰囲気を最も残している。海地獄、血の池地獄、白池地獄などの「別府地獄めぐり」はあまりにも有名で、鉄輪ではいまでも温泉噴出口を「地獄」と呼んでいる。
好みの温泉でリラックスしたら、ぜひ体験したいのが「地獄蒸し」。地獄(温泉噴出口)の蒸気を調理に活用する「地獄釜」に、大きな竹ざるにのせた魚介や肉、卵、野菜などの食材を入れて蒸し上げるというものだ。高温で素材の旨みが凝縮され、湯気に含まれる温泉のミネラル分が絶妙のあんばいとなる。地元の商店で新鮮な食材を調達し、あれこれ試してみよう。
伝統ある湯治宿で鉄輪名物“地獄蒸し”を体験!「湯治柳屋」
明治時代から続く宿に現代の感覚をプラスした湯治宿。食事付きのプランもあるが、素泊まりにして地獄蒸しで自炊を楽しもう。魚介や肉、旬の野菜が盛られた「蒸しものセット」は1980円(写真は2人前、要予約)。
泉質も入浴形態も異なる個性ある8つの温泉地「別府八湯」
別府市内に代表的な温泉地が8つあり、その総称が「別府八湯」。名実ともに温泉天国だ。上写真は明礬温泉「別府温泉保養ランド」の鉱泥湯(大露天風呂は男女混浴)。硫黄が香るクリーミーな泥で全身泥パックがおすすめ。
2020年4月号 特集「いまあらためて知りたいニッポンの美」
文:増本幸恵 写真:福井麻衣子
≫江戸時代に途絶えた幻の臼杵焼を復活!大分・臼杵の手仕事と祈りの里を訪ねて
≫別府温泉郷の温泉気分が自宅でも!バスクリン「日本の名湯」