FOOD

幻の“間人ガニ”の美味しいひみつ

2026.2.28
幻の“間人ガニ”の美味しいひみつ

冬の日本海を訪れたなら、旬のズワイガニはぜひ味わいたい。その中でも京丹後市の間人漁港で水揚げされ、最高峰と賞賛される「間人たいざガニ」の魅力を、現地のプロに教えていただいた。

「最上級」と称されるゆえんとは?

黒い斑点
生の間人ガニの甲羅に付いた黒い斑点は、カニビルの卵。人間には無害で、脱皮してから時間が経っているカニに多く付いていることから、身が詰まり味がよくなっている目印だとされている

甲羅の横幅10.5㎝以上
間人漁港で水揚げされるズワイガニは、甲羅の幅が10.5㎝以上。そのほかにも大型のコンクリートブロックの魚礁を設置し、カニの生息環境を保全するなど資源保護の対策が行われている
illustration: Honoka Yoshimoto

冬の味覚を代表するズワイガニ。各産地ブランドの中で、京丹後市の間人漁港で水揚げされる「間人ガニ」は、“幻”といわれている。

間人漁港でカニ漁を認められているのはわずか5隻の小型漁船。漁期は毎年11月6日から翌年3月20日と定められ、冬の厳しい日本海はしけが多く、数回しか出航できない月もあることが稀少性を高めている。そして「最上級」と称される品質のゆえんは漁場にある。

選ばれし5隻の船
間人ガニの定義は、間人漁港で認められた5隻の船が水揚げした雄のズワイガニ。カニ漁のプロフェッショナルである5名の船長が水揚げしたカニを一匹一匹チェックし、品質を管理している

競りの回数わずか30回
冬から春先にかけて日本海から北西の突風が吹くなど丹後地方は急に天気が崩れることが多く、小型の底曳網漁船は、しけが続くと何日も出航できないことが多いので、ほかの産地に比べて稀少性が高い

「漁場が近く、最長でも24時間以内に帰港できるので、どの産地より新鮮です」と京都府漁業協同組合の丹後支所長・寺田直彦さん。京丹後の海はカニが生息する泥の質がよく、北からの寒流と南からの暖流が交わる潮流によって餌となるプランクトンや生物が豊富に生息し、良質な生育環境をつくっているという。水揚げ後は、その日のうちに漁港に運ばれ、生きたまま競り落とされ市場に出回る。

漁場の近さ
間人ガニの漁場は、経ヶ岬沖合20~30㎞など漁港から近く、最も近い漁場は約1時間で着くという。海上で停泊することなく、日帰りで漁ができる環境だからこそ極上の鮮度が実現できる

品質管理も厳格だ。漁師歴19年の新栄丸船長・岸本法久さんがこう話す。

「カニの生息する海底は3、4℃ですが、表層温度が高く、その温度差でカニが弱るので、船上で海底と同じ温度を保つことも大事なんです」。ほかにも大きさや重量、傷やつやなど厳格な基準で約40のランクに選別される。また、甲羅の幅が10・5㎝未満は捕ることを禁止するなど資源保護の取り組みもしっかり行われている。

トレーサビリティ
緑のタグに、「たいざ」と印があるのが間人ガニの証し。トレーサビリティも厳しく管理されており、一緒に付いている白いプレートのQRコードを読み取れば、いつどこでどの船が水揚げしたかがわかる

その魅力は、ほかのブランドよりも若干脚が長く美しいフォルムで、身がみっちり詰まり、何よりみずみずしく濃厚な甘みだ。
「色焼けしていても身が詰まっていたり、傷など見栄えがよくなくても十分美味しく、見た目以上の価値があります」と岸本さん。

産地で食べてこそ、最高の鮮度の真骨頂を堪能できるのは言うまでもない。

line

(左)京都府漁業協同組合 丹後支所 支所長 寺田直彦さん (右)新栄丸 船長 岸本法久さん

text: Ryosuke Fujitani photo: Kousaku Kitajima

2025年12月号「京都/冬こそ訪れたいあの旅先へ」

京都のオススメ記事

関連するテーマの人気記事