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小田原市根府川
海の見える《Workcation House U》
伝統技術と地元建材を用いたレトロな建物

2022.9.6
小田原市根府川<br>海の見える《Workcation House U》<br><small>伝統技術と地元建材を用いたレトロな建物</small>

海の見える無人駅として有名な根府川駅から徒歩約2分のところに建つ「Workcation House U(ワーケーションハウス ユー)」。”地域と共創するワーケーションプロジェクト”の一環として、2019年まで小田原市の支所として使われていた築70年近いの木造の建物を、片浦地区の支所として活躍した時代の面影を残しながら伝統的な宮大工の技術で補強したレトロな建物へとリニューアル。歴史ある建物の雰囲気やノスタルジーを感じる「Workcation House U(ワーケーションハウス ユー)」の建築を紹介しよう。

根府川の自然と環境

アタリ画像

空の色や潮風のにおい、山の色。道端に咲く花や、陽の温度。旬の野菜や海の幸。 街中にいると気づかない、時間や季節の変化が感じられる

神奈川県小田原市は、南西には険しい箱根連山、東には穏やかな曽我丘陵と、南東には相模湾。恵まれた自然環境のつくりだす景色はもちろんのこと、一年を通して暖かく、梅やみかんなどの果樹をはじめとした農作物と、黒潮に育まれた豊かな海産物が獲れる。そして、厳しい山越えとなる箱根の山々の先にあることから、古くは関東の守りの要として東海道屈指の宿場町として栄えてきた。多くの人が行き交う交流地点であり、穏やかな気候と豊かな食があり、日常と少し離れた日々を過ごす場所としての小田原は、近代では山縣有朋や大隈重信といった財政界人や、北原白秋、谷崎潤一郎といった文豪たちの保養の地としても有名。

「Workcation House U(ワーケーションハウス ユー)」は、そんな小田原の中心地から電車で7分ほどの根府川に位置する。1953年に建てられた木造の建物は、もともと片浦村役場として建てられ、その後小田原市役所の支所として使われていた。真っ青に広がる相模湾の水平線と空を臨むその建物は、2019年にその役目を終えるまでの66年の間、地元の人々に大切に使われてきた。長く根府川のシンボルだった建物は、2022年に「地域と共創するワーケーションプロジェクト」でワーケーション施設として生まれ変わることになった。

たくさんの人や良いものが集まる場所

「気づきに気づく場所」。Uはそんな場所でありたい

建物を手がけた文祥堂は、ワーケーションとは、「ワーク」「ライフ」など日々の使い方を分けていくのではなく、それらを総合して一人一人の「人生」がより良くなるためのライフスタイルの一つであると考えた。

Uという名前は、数学の集合の考え方より、全体集合(Universal set)と和集合の記号(∪)からUと名付けた。たくさんの「良い」ものが集合し、インスピレーションを得たり、新しい一面を発見したりといった「気付きに気づく場所」でありたいという思いが込められている。

また建物全体も、このコンセプトである「つなぐ」をテーマに、「地元と繋がる」「歴史と今、未来がつながる」「自分とつながる」「誰かとつながる」ことを大切にしている。

建築当時から変わらぬ佇まい

新旧の融合、今あるものを大切に残しつつ、新しい空間を作りあげることをコンセプトに、古い梁を支える新しい木材は、宮大工により装飾も兼ねた構造補強となっている。

小田原の魅力を生かしたワーケーション施設に再生することを目指してリニューアル
木の温かみを感じる空間に、広々とした机が置かれ集中のしやすいコワーキングエリア。窓の向こうには突き抜ける空と海が広がる

木造2階建ての築70年近い建物は、慣れ親しまれた外壁と屋根はそのままに、新しい扉と、季節で変わる暖簾が掛けられた。

1Fコワーキングエリアは、釘を一本も使わずに作られた構造補強の木材は中心に小田原産材が使われている。役所の支所だった歴史を感じるカウンターや木の床は一部塗り直しはあるものの、使い込まれた風合いをそのまま残している。すりガラスやドアも当時のものだ。テーブルや椅子の一部は構造補強の木材と同じものが使用され、こちらも宮大工の手で作られた造作家具だ。そのほかにも、ビンテージウッドや持続可能な認証を受けた木材を使った椅子が置かれている。海側に大きく作られた窓はテラス席とつながり、相模湾の水平線を見ることができる。

気分転換や休憩には、空と海が混ざった淡いブルーのグラデーションを一望できるテラス席がおすすめ

東側に新しく作られたテラス席は、海を一望できるロケーションで人気のスペースだ。午後には太陽が建物を回ってちょうど日陰となり、心地よく風や音を感じながら過ごすことができる。

カフェスペースは部屋だった壁を一部抜き、カウンターなどを設置して飲食を提供する場所。

穏やかな光が差し込む日中の時間も、静かな周囲に囲まれた中で過ごす夜の時間も。坪庭の見える落ち着いた部屋で、贅沢で自由な時間を過ごす
東向きに大きくとられた窓の向こうには、地元根府川で採れる根府川石を敷き詰めた坪庭と水平線

一室だけある宿泊エリア。壁には寄木細工をイメージして、工事で出た木の端材を利用したアートが施されている。地元で採れる貴重な根府川石が敷き詰められた石庭と、その先に見える海がつくりだす景色を独り占めできる空間だ。

Uの中で最も光の差し込む開放的な空間は、かつて講堂として使われており、ソファや机がゆったりとした感覚で置かれている

2Fコワーキングラウンジは以前、講堂として使われていた場所。天井を抜いて、屋根の内側が白く塗装されており、上棟式の棟札を見ることができる。造作のテーブルは、こちらも構造補強と同じ木材と、異素材感のある単管パイプが用いられている。minä perhonenやTAKTの椅子などは、経年の変化が楽しめるなど、アップサイクルの取り組みや、長く使えることを意識して選んだ製品だ。小上がりのテーブルは、京都の瑠璃光院にある写経机をモデルに、鏡面塗装仕上げをしたものだ。正面に座ると空が映りこんでくる。外と繋がり、自分を見つめ直す時間を過ごしてもらうことをコンセプトにしている。小上がりの手前の階段は、吹き抜けを作る際に出た床板を一部に再利用して作られている。小田原産材を使った木のベンチは、100キロ近くあり、どっしりとした独特の座り心地のある椅子。地に足をつけたようなグラウンディングを感じられる。

仕事も遊びも、本気で楽しみたい人の新しい、 自分らしい働き方、過ごし方が見つかる

リフレッシュしたいとき、遊びたいとき、集中したいとき、その時その時に必要な過ごし方を「Workcation House U(ワーケーションハウス ユー)」で楽しんでみてはいかがだろうか。

Workcation House U(ワーケーションハウス ユー)
住所|神奈川県小田原市根府川77-1
Tel|0465-28-2022
営業時間|9:00〜18:00
https://u-odawara.com/

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