新潟県・燕市《工房アイザワ》
機能美が光るステンレス調理器具
「パセリシリーズ」の魅力とは?
新潟・燕市の工房アイザワがつくるステンレスの調理器具は、使う人の所作に寄り添うように生まれた道具。ロングセラーの「パセリシリーズ」のシンプルで丈夫なつくりは、どんな暮らしにも自然と馴染む。機能美が光る工房アイザワの調理器具、その魅力をご紹介。
工房アイザワ(新潟県・燕市)
1922(大正11)年創業の台所道具メーカー。装飾を極限まで削ぎ落とした佇まいを特徴とし、機能美あふれる製品を扱う。
一体成型の美しさ。
ロングセラー「パセリシリーズ」

工房アイザワの調理器具は、気づけばいつも袖を通している一軍の服に似ている。有名デザイナーによる斬新な一着でもなければ、プレタポルテでもない。「とびきりかっこいいわけじゃないけれど、なんとなく着たくなっちゃう。そんな存在になりたいですね」と5代目の相澤保生さん。自分だけが知る心地よさこそが、工房アイザワの神髄だ。
「パセリシリーズ」と名づけられた一体成型のステンレス調理器具は、先々代が昭和50年頃に考案したもの。「相澤家の人々は、自分も含めてデザイン力をもっているとは思っていなくて。誰が使うのか、どうやって使うのか。そんなことを突き詰めたら、シンプルになっちゃうんですよね」と語るように、当時から何ひとつ変わらない最古参の商品でありながら、いまなお売れ続けるロングセラー。古さを感じさせず、現代の暮らしに違和感なく馴染むのは、使う人の所作を丁寧に思い描いてきた結果にほかならない。時代や食文化が変わろうとも、料理をつくるという営みは普遍的なのだ。

パセリシリーズに使われる素材は、鉄に18%のクロムと8%のニッケルを加えた、高い耐食性を誇る「18-8ステンレス」。通常、一枚板のステンレスを3D成型すればゆがみは避けられないが、洋食器づくりで培った技術を応用することで、その弱点を克服し、無駄のないシャープな佇まいを実現した。持ち手にアケビのつるが巻かれるようになったのは先代の頃で、これも「持ち手が熱くなる」という顧客の声を受けての改良だった。
アケビのつるは吊り橋にも使われたほど頑丈で、ステンレスとの相性もいい。しかし、そんな耐久性と手仕事の風合いが保てるかどうかは、使い手にかかっていると相澤さんは話す。「食洗機や乾燥機を使うとつるが痩せてしまうので、お手入れは手洗いと自然乾燥を心掛けてほしいですね。手をかければ愛着がわいてくるし、大事にしたくなるものです」。

パセリシリーズのお玉と穴明お玉は、同シリーズの鍋との相性抜群。カップ部分の角度が計算されているため、ストレスフリーな調理がかなう。
※写真は使用イメージです。
※パセリシリーズの鍋の取り扱いはありません
かつて小正月の頃になると、工房アイザワが出店する催事場には、一人暮らしをはじめる親子連れの姿が多く見られたという。「鍋やザルは買ってくれるものの『お玉なんかは100均でいいよね』という声が聞こえてくるんですよ。そのときは、やっぱり安いもののほうがいいのかな……と思っていたのですが、6月あたりになると急にお玉が売れはじめるんです。おそらく数カ月使ってみて、やっぱりきちんとしたものが欲しくなるのが、この時期なんでしょう」。
小ぶりなパセリシリーズは、核家族化が進んだ現代の暮らしにもフィット。一人暮らし、二人暮らし、ファミリーと、ライフステージが変わっても使い続けられるほど堅牢なため、長い目で見れば賢い選択といえる。だが、工房アイザワの価値は、そこだけではない。キッチンにぶら下がる道具たちは、いつしか手にしっくりと馴染む存在へと育っていく。「そうそう、これこれ」。そう言いたくなる我が家の一軍として、日々の暮らしに欠かせない相棒になるのである。
商品ラインアップ

パセリ ターナー アケビ巻
手元が安定する短めの柄は、家庭用フライパンに最適なサイズ。食材を軽やかに返すことができる。

パセリ お玉 大 アケビ巻
すくいやすい楕円形のカップ。つるは、三条市の鎚起銅器工房「東伸工芸」の職人親子による手巻き。

パセリ アクトリ アケビ巻
アクをすっきり取り除く網目は、ジャパンメイドならでは。扱いやすい小ぶりなサイズは鍋の季節にも。

パセリ 穴明お玉 大 アケビ巻
卵を流し入れる、味噌を溶くなど、多彩な料理で重宝する名脇役。継ぎ目がないので、洗いやすく衛生的。
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公式オンラインショップ
Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
※日々使う“道具”として、手入れ(手で洗い、水気を拭く)を推奨します。
text: Natsu Arai photo: Shiho Akiyama
2026年1月号「世界を魅了するローカルな酒」



































