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アサ佳/安達健/石黒剛一郎/井銅心平
個性が響き合う「向付」のかたち
《うつわ勉強会 基展─向付のかたち─》①

2025.10.15
アサ佳/安達健/石黒剛一郎/井銅心平<br>個性が響き合う「向付」のかたち<br><small>《うつわ勉強会 基展─向付のかたち─》①</small>

作家たちがうつわについて考え、発信する「うつわ勉強会 基」。東京・渋谷パルコにて2025年10月18日(土)~10月26日(日)にかけて開催される「うつわ勉強会 基展 ─向付のかたち─」では、「向付」をメインにうつわ展を開く。菱形の可憐なフォルムから、象嵌の表情豊かな質感まで──。4名が手がける作品には、それぞれの土地や暮らしに根ざしたうつわ哲学が息づく。

※個展初日の入店について、一部時間帯に整理券が必要です。詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)、または公式オンラインショップをご確認ください。

Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を10月21日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)

アサ佳
食卓にぴったりとフィットするかたち

菱雪輪向付
価格|4950円 サイズ|W163×D125×H23㎜ 重量|180g

「以前から制作していた雪輪模様の丸いうつわをベースに、向付を考えました。ただ、折敷に飯碗と汁椀とともに並べたとき円形だとバランスが難しくて。収まりのよいかたちを追求した結果、菱形になりました」とアサ佳さん。

表面に広がるヒビ模様は、焼成後、墨汁の中にうつわを漬け込み、貫入に墨を染み込ませてつくり上げる。「墨貫入」と呼ばれる技法で、使うほどに味わいが増していく。縁に施したプリーツが愛らしく、向付としての利用はもちろん、普段の食事の取り皿やケーキ皿としても重宝する。

「できればパソコンやスマホの画面越しではなく、ぜひ会場で実際にうつわに触れてみてください。想像以上の驚きや発見があるはずです」

アサ佳(あさか)
2013年、多治見市陶磁器意匠研究所修了。2014年に岐阜県土岐市内に工房「ツチノネ工房」を構え、作家として活動を開始する。2022年、第4回瀬戸・藤四郎トリエンナーレ審査員特別賞受賞。

安達 健
地域の自然をかたち・色でいきいきと表現

淡緑灰釉 六寸新舟形向付
価格|4620円 サイズ|W159×D67×H43㎜ 重量|220g

昨年、藤枝市に窯を移築した安達健さん。今回の作品は、移住先から着想を得た。これまで定番としてきた舟形を刷新したもので、「新舟」という作品名は地元の地名にちなんで命名した。

「かたちは、地域の特産である竹を割った様をモチーフにしています。そこに清流を想起させる淡い青緑の灰釉を施し、高温で焼成。すると、土と釉薬による独特のニュアンスが生まれるんです」と安達さん。野趣あふれる姿は、自然の美しさや厳しさを物語っているかのよう。素朴な質感とは対照的に、口縁の鋭角的な処理が凛とした印象。食卓に心地よい緊張感を与えてくれる。

「どちらかといえば、きゅっと引き締まった雰囲気で使っていただくのがよいと思います」

安達 健(あだち たけし)
2002年、武蔵野美術大学造形学部入学。学内サークルで、やきものづくりをスタート。2006年、同大学を中退し、翌年、愛知県瀬戸市にて築窯。2024年、静岡県藤枝市に移住し現在に至る。

石黒 剛一郎
シンプルだからこそ、自分だけの使い方を

青瓷だ円輪花鉢
価格|3300円 サイズ|W169×D119×H45㎜ 重量|160g

柔らかく上品な佇まい。石黒剛一郎さんのうつわは、日々の食卓にそっと寄り添う。今回の向付もしかり。優しいフォルムが、料理を引き立てる。

「無地のうつわなので、使いやすいと思います。旬の食材を使った前菜で季節感を味わうのもいいですし、ゲストの方々の人柄に合わせて、料理に物語性をもたせるのもおもしろいかもしれませんね」と、石黒さんはほほ笑む。普段使い用のうつわを向付に見立てているため、自由度はかなり高い。和食はもちろん、洋食や中華、デザート皿としても重宝しそう。

「日頃から、使い手の想像力を刺激するようなうつわづくりを心掛けています。さまざまなシチュエーションで使っていただけたら本望です」

石黒 剛一郎(いしぐろ ごういちろう)
2003年、愛知県立瀬戸窯業高等学校(現・瀬戸工科高等学校)陶芸専攻科に入学。2005年に同学科修了し、瀬戸市に工房を構える。その後、岐阜県多治見市に工房を移転。現在に至る。

井銅心平
繊細な色と模様が料理を引き立てる

南蛮象嵌 向付
価格|6160円 サイズ|Φ163×H28㎜ 重量|230g

井銅心平さんの代表作のひとつが象嵌。うつわの表面に印を押し、そこに色の異なる泥を埋めて装飾する技法だ。「私の場合、象嵌は装飾というよりも、表情の一部として施しています。焼成時に模様が消えてもいいと思っていて、むしろうつわに自然と溶け込むことを目指しています」(井銅さん)

薪窯で焼成するため、灰のかかり具合や温度の高低差で象嵌の出方が変わる。このグラデーションこそが、今回の作品のテーマであるとも。

「見込みや縁の高さなど、向付としてのサイズ感を意識しました。油染みはしますが、使うほどに馴染んでいきますので、気軽に使ってほしいです」。表情豊かな象嵌の向付。感性の赴くままに使いこなしてほしい。

井銅 心平(いどう しんぺい)
大学卒業後、佐賀県唐津市にある「隆太窯」の中里太亀氏に師事。2010年、熊本県宇城市松橋町に「萩見窯」を築窯。以降、百貨店や画廊等にてグループ展、個展を中心に発表している。

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本展作品がオンラインで買える!

公式オンラインショップ
 

うつわ勉強会 基展 ー向付のかたちー
会期|10月18日(土)~26日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※初日は混雑緩和を目的とした入店整理券を事前配布のうえ開催いたします。
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。

text: Misa Hasebe photo: Shiho Akiyama
2025年11月号「実は、スパイス天国ニッポン」

《うつわ勉強会 基展─向付のかたち─》
目次
アサ佳/安達健/石黒剛一郎/井銅心平
光井威善江口智己/木村元/新道工房 宮本茂利・智子/鈴木しのぶ
竹下努/額賀円也/松永真哉/渡辺信史

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