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《五ツ星お米マイスター》が惚れた
おすすめお米銘柄10選を徹底解剖!【前編】

2024.12.23
《五ツ星お米マイスター》が惚れた<br>おすすめお米銘柄10選を徹底解剖!【前編】

米の最前線で活躍し、あらゆる銘柄を知り尽くした「五ツ星お米マイスター」が厳選した10銘柄。それぞれの特長や相性のよい料理、さらにお米マイスター直伝の美味しく炊くコツまで、その知られざる魅力を徹底解剖する。

今回おすすめをした五ツ星お米マイスターたちの座談会
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北海道《ゆめぴりか》
濃厚な旨みと甘みがたまらない

つややかでぽってりしたシルエット

〈誕生年〉
2008年

〈片山さんのおすすめポイント〉
「独特の香りと鮮烈な甘みが特に秀でています。シンプルに白ご飯を心ゆくまで堪能したいときやおかずとの効果を楽しむにも最適な米。軟らかく炊き上がるので、しっかり米を漬け置いて、炊飯加水時はいつもより5%程度少ない水で炊き上げるのがおすすめです」

〈相性のよい料理〉
ショウガ焼き
甘みと旨みが強く、粘りがしっかりあるため、ハンバーグ、ステーキなどの肉料理や濃厚なソースを使ったおかずなど、味の濃い料理との相性が抜群

「ゆめぴりか」は、新潟県魚沼産「コシヒカリ」に比する北海道最上級のブランド米として全国で支持されている。その開発がはじまったのは1997年。「北海道から日本一の米を」という想いで、全道各地から研究者が集まり、品種開発がスタートした。15万の検体から優良な1株を見つける気の遠くなる作業に挑戦すること10年余り。耐冷性に優れ、最高の食味をもつ新品種は2010年にデビューを果たし、瞬く間に全国へ広がった。

その魅力はまず、甘みが際立つ濃厚な味わい。そして米のデンプン質であるアミロースの値が低いので、北海道米の中でも特に粘りが強く軟らかいのも特長だ。

米の食味ランキングで14年連続最高位を受賞している理由は、生産者・JA・北海道からなる「北海道米の新たなブランド形成協議会」、つまり生産者自身が厳しい基準を課し、それらを遵守しているから。「種子更新率100%」、「栽培適地での生産」、「適切な水管理・施肥設計」、「タンパク質含有率」などの基準をクリアしたものだけに「ゆめぴりか」の認定マークが付与され、その品質確保に向けた取り組みを全道で統一するなど、努力が重ねられている。

「今年の新米は、例年よりつややかな外観からも生育状況のよさが感じられます」と片山さん。

宮城《ひとめぼれ》
惚れぼれするほどやさしい味わい

ふっくらとした粒感

〈誕生年〉
1991年

〈片山さんのおすすめポイント〉
「一番の魅力は、香り、旨み、つや、粘り、歯応えのトータルバランスのよさ。おかずとの相性の懐が深いので、自宅に常備しておきたい米です。加水量の調整で硬さの炊き分けができて、どう炊いても美味しく仕上がります」

〈相性のよい料理〉
刺身
刺身から肉料理までオールマイティに楽しめるのが魅力。味に丸みと一体感があり、料理を選ばない

1991年に宮城県の古川農業試験場で「コシヒカリ」と「初星」を掛け合わせて誕生した品種。宮城県の気候風土に合わせて生育され、1993年の大冷害でササニシキの収穫量が激減したことを受け、その耐冷性の強さが注目を浴びて栽培面積が拡大した。

2000年代初頭にはコシヒカリに次ぐ作付面積となり、現在は岩手や福島、秋田、南は沖縄など幅広く栽培されている。米につやがあり、やさしい舌触りで適度な粘り、ふんわり軽やかな食感の後に広がる繊細な味わいが魅力。出合ったときに見た目の美しさと美味しさに「ひと目惚れ」してしまう米として人気を博している。

秋田《サキホコレ》
食べ応えたっぷりの食感と深いコク

粒厚で透明感のある濃いめの色

〈誕生年〉
2022年

〈小林さんのおすすめポイント〉
「食欲を誘う炊きたての香りと歯離れのよい食感、そしてふっくら感が魅力。甘みとコクは強めです。土鍋で炊いてふっくら感を楽しむには、50分ほどしっかり浸漬させてから炊き、沸騰までの火加減はやや弱めがおすすめです」

〈相性のよい料理〉
親子丼
味の濃い洋食などにも負けない強さがある。親子丼のような丼ものやカレーなどとも相性がよい

これまでの秋田米にはない食味を目指して開発され、2022年にデビューを果たした新品種。秋田県オリジナル品種「秋田97号」に、高温耐性を高めるためにあえて東北以外の地域で生育された「中部132号」を掛け合わせ「コシヒカリを超える極良食味品種」をコンセプトに開発された。

あきたこまち並みの収量を実現し、高温や低温による品質低下も少ない栽培特性をもつ。美しい白さとつやが際立つ外観、粒感のあるふっくらとした食感、上品な香りが特徴で、噛むほどに深い甘みが広がる。日本人好みを追求した食味は、新時代の秋田米を牽引する存在として期待されている。

福島《コシヒカリ》
ほどよい粘りと食感をもつ米の代表格

つやがありシャープなシルエット

〈誕生年〉
1956年

〈片山さんのおすすめポイント〉
「古くより日本人が慣れ親しんだ、コシヒカリの特長であるしっかりとした食感と粘りのバランスが素晴らしい。ほどよい粘りを楽しんでいただきたいので、しっかり水に漬け置いて、炊飯加水量は5%多めにするのがおすすめ」

〈相性のよい料理〉
煮物
旨みをしっかり受け止めてくれる食感と粘りがあり、和食に最適。おかず本来の味わいを引き立てる

福井県農業試験場で開発され、1956年にデビュー。1979年に作付面積が日本一になって以来、日本を代表する米として、常にトップを走り続けている。

全国各地で栽培されている中で、福島県の会津地方は、日照時間が長く一日の寒暖差が大きい環境かつ、粘土質の土壌と清らかな水に恵まれた米の名産地。この地での米づくりは「会津米品質向上対策事業」の中で、一等級比率の向上に取り組んでいる。会津産コシヒカリは平成以降、日本穀物検定協会の米食味ランキングで20回以上、最高位の特A評価を受け、新潟県魚沼産と双璧をなすコシヒカリの名産地として名を馳せている。

茨城《カミアカリ》
サクサクした食感!?稀少な玄米食専用米

粒に張りがあって胚芽が大きい

〈誕生年〉
2008年

〈小池さんのおすすめポイント〉
「とても玄米とは思えないサクサクした食感は唯一無二。外国の方はナッツのような食感という意味で『ナッティー』と表現しているそうです。えぐみが弱く、甘みが強いので玄米が苦手な人にも勧められます」

〈相性のよい料理〉
スパイシーなおかず
スパイシーなおかずに負けない風味の強さがある。炊く際には6時間程度水に漬けるのが食感を楽しむコツ

1998年、コシヒカリの突然変異種として静岡県藤枝市の田んぼで発見された〝奇跡の米〟。有機農法で栽培していたコシヒカリの中に胚芽部分が通常の3~4倍のひと粒があり、10年かけて育種、2008年に新品種として登録された。その名は、発見者の松下明弘氏の名前から一文字取って名づけられ、現在、全国で7軒の農家だけが栽培している非常に貴重な品種。

精米すると胚芽がなくなることから玄米として食べることが宿命づけられている。「巨大胚芽なので、同じ玄米でもビタミンB1やB2、B6、ビタミンEなどがより豊富で、ヘルシー志向の方におすすめです」

 

※米の栽培地域は、農林水産省「各都道府県において主に栽培されている品種リスト」(2023年3月)より。

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おすすめお米銘柄10選【後編】
 
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text: Discover Japan
Discover Japan 2024年12月号「米と魚」

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