竹富島の写真はこう撮るのが正解!
旅写真に定評がある福井麻衣子さんに、そのときの空気や匂いまで感じられる写真の撮影ポイントを教わった。舞台は沖縄・竹富島。「星のや竹富島」を拠点に、ゆるり島旅を満喫。
写真家・福井麻衣子さん
大阪府出身。写真家・内池秀人氏に師事し、独立して上京。現在は雑誌、広告を中心に、カメラ誌や書籍への執筆、展示などさまざまに活動。きらりと光る瞬間をとらえた写真が人気。著書に『写真構図のルールブック』(マイナビ)など多数
沖縄の原風景が残る島
竹富島は、石垣島から船で約10分の位置にある周囲約9・2㎞の小さな島だ。サンゴ礁が隆起してできたため、山がなく、川もない。島には3つの集落があり、サンゴの石垣に囲まれた琉球赤瓦の家々の間をサンゴの白砂が敷かれた小路が続く。沖縄の原風景が残るこの島に「星のや竹富島」ができたのは7年前。以来、島人たちに協力してもらいながら、建築や風習、祭り、食などさまざまな竹富島の伝統文化を旅人につないできた。島のおばあに三線やミンサー織りを教わったり、秋は種子取祭に参加したりといくつものプログラムを通して、旅人は島そのものをより身近に感じることができる。
竹富島を丸ごと楽しんだ、2泊3日の滞在アルバム
【Day1】
竹富島の小さな港に降り立ち、迎えの車で星のや竹富島に到着すると、そこは4つ目の集落のようだった。南国の植物が元気に育ち、年月を経た石垣の奥に赤瓦の平屋の家(客室)がある。窓を開けると南風がなんとも心地いい。ひと息ついたらラウンジで命草茶をいただく。長く医者がいなかった竹富島には、家ごとに伝えられる薬草のお茶があるそうだ。そしてダイニングで味わえる「琉球ヌーヴェル」は、星のや竹富島滞在の大きな楽しみのひとつ。南国の魚介、芋、敷地内で育てる野菜やハーブなど、沖縄特有の食材をフレンチの手法で昇華させた一皿ひと皿に感動する。ほろ酔いの上気分で外に出れば、いつの間にか満天の星が広がっていた。
【Day2】
朝は、太陽が昇ったばかりのアイヤル浜にて、スタッフに導かれながらの深呼吸。朝一番の新鮮な空気が身体に満ちる。朝食は琉球料理の重箱にしようか、ゆし豆腐粥か、ブイヤベースも美味しそうだ。食後は海に散歩に出るもよし、水牛車に乗って集落をめぐるもよし。集落やビーチまで送迎してくれるので、気ままな時間をすごしてもいい。星のや竹富島のラウンジでの草木染め体験や、プールサイドでのんびりもおすすめ。「珊瑚美ら滞在」プランで体験できるサンゴや海藻を取り入れたスパは至福の時間だ。ゆっくりと流れる島時間に身をゆだねれば、五感が生き生きとしていることに気づく。
【Day3】
さて、旅先ではスマホで料理を撮る機会が多いが、福井さんいわく、一番のコツは皿から距離を取って「ズームを使う」こと。そもそもスマホのレンズは広角なので、寄って撮れば皿の前が大きくなったり、照明の下では自分の影が入ることもあるからだ。また、日中なら窓際の明るい場所で、影が手前に落ちる半逆光の状態で撮ると美味しそうに写る。頭上に照明があれば、ナプキンなどでその光を遮るだけで料理の表情がぐっと変わる。ほかにも被写体ごとに撮影のコツがあるので上記を参考に。
旅から戻り写真を整理していると、あのときの感じがよみがえり、竹富島がいっそういとおしくなる……。
【DATA】
星のや竹富島
住所:沖縄県八重山郡竹富町竹富
Tel:0570-073-066(星のや総合予約)
料金:1室1泊7万5000円〜(税・サ別)。2泊より受付
https://hoshinoya.com
文=増本幸恵/写真=福井麻衣子
※本記事は、2019/7/5に発売されたDiscover Japan8月号『120%夏旅。』の一部を抜粋して掲載しております。