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宮﨑香蓮、佐賀・唐津の文化と未来に出合う旅へ。
前編|400年の時を超える文化ツーリズム

2022.9.26 PR
宮﨑香蓮、佐賀・唐津の文化と未来に出合う旅へ。<br><small>前編|400年の時を超える文化ツーリズム</small>

土地に根づく歴史を知れば知るほど、膝を打つことばかり。そんな経験がある人は多いのではないだろうか。400年以上前に隆盛を誇った幻の名城・名護屋城、そしてさまざまな交流があったからこそ生まれた、現代に息づく文化。“はじまりの名護屋城”を合言葉に、新たな気づきに出合う旅へ、宮﨑香蓮さんと出掛けてみた。

宮﨑香蓮(みやざき かれん)
1993年、長崎県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。オスカープロモーション所属。TVドラマを中心に活躍中。西九州観光まちづくりAWARDの審査委員を務める。

お茶、うつわ、食…
400年前から進化を続ける、
名護屋の美意識をめぐる。

博物館の常設展示室。名護屋城や城下町の賑わいがひと目でわかるジオラマをはじめ、茶の湯や能といった桃山文化に関連した資料などをわかりやすく展示。左手奥に進むと「黄金の茶室」がある

佐賀・長崎にて、魅力あるまちづくり活動にスポットを当てる「西九州観光まちづくりAWARD」。その審査委員でもある俳優・宮﨑香蓮さんは、AWARDを通じて九州の“文化”や“人”の魅力をあらためて感じたそう。今回、西九州に息づく文化をより深く学ぶため、佐賀・唐津をともにめぐった。

土地の文化に触れる上でなぜ唐津なのか。その理由は400年以上前にさかのぼる。豊臣秀吉の朝鮮出兵に際して、出兵拠点として築かれた名護屋城。1592年の開戦から豊臣秀吉が亡くなるまでのわずか7年だけ栄えた城だが、当時は大坂城に次ぐ規模を誇り、一帯には諸大名の陣屋が150以上、20万人を超える人々が集まっていたとされている。のどかな港町の風景が広がる現在の様子からは想像し難いが、当時は日本有数の大都市として茶会や能が盛んに催され、さまざまな文化が花ひらいたのは言うまでもない。その中でも代表的なものが茶の湯と焼物文化だ。

宮﨑さんと最初に訪れたのは、今春、佐賀県立名護屋城博物館で一般公開された「黄金の茶室」。はじめて目にした宮﨑さんは「すべて金一色で驚きました。当時この空間がどのようなシーンで使われていたのかを想像すると、見方も変わりますね」と当時の情景に想いを馳せる。館内の展示物から学びを得て、歴史をより深く知った上で「黄金の茶室」を見られるのも同博物館の大きな魅力だ。

続いて、茶人・千利休が大成した侘び茶に触れるため、宮﨑さんは、約430年の歴史をもつ唐津焼の名窯「中里太郎右衛門陶房」に足を延ばした。14代太郎右衛門さんに工房を直々に案内いただいた後、特別に自宅の茶室にも招いていただいた。17世紀につくられた茶盌(ちゃわん)で茶のもてなしを受け、「約400年前の茶盌でいただき、歴史を感じるとても貴重な体験でした」と宮﨑さん。つくり手たちと心通わすひとときもまた、脈々と伝統が受け継がれてきたこの地ならではの文化体験といえるだろう。

そのほか、唐津焼や有田焼などの焼物をモダナイズしたブランド「HIZEN5」、当時の史料を基に現代の味でアレンジした「天下料理」など、確かな歴史と連綿と紡がれてきた伝統があったからこそ生まれた新たな取り組みにも触れた宮﨑さん。「唐津はさまざまな文化が生まれた場所。知れば知るほどおもしろい文化都市だと感じました」

佐賀県立名護屋城博物館

館内にある豊臣秀吉の「黄金の茶室」は、博多の豪商・神屋宗湛の日記を基に忠実に再現。撮影OKのほか、茶室内で茶を楽しむ体験イベントも実施
博物館は城跡のすぐそばで、天守台まで歩いて行ける。天守台からは玄界灘や呼子周辺を一望。再現CGを見ながら城跡を散策できる「バーチャル名護屋城」も好評。タブレットは博物館で無料貸し出し

文禄・慶長の役の出兵基地である特別史跡「名護屋城跡並びに陣跡」の調査成果や豊臣秀吉ゆかりの調度品など、名護屋城にまつわる資料を展示している。2022年9月16日〜11月6日は、黄金の茶室復元記念特別企画展「肥前名護屋、煌めく」を開催。

住所|佐賀県唐津市鎮西町名護屋1931-3
Tel|0955-82-4905
開館時間|9:00〜17:00
入館料|無料(※特別企画展は有料)
休館日|月曜(祝日の場合は翌日休)
https://saga-museum.jp/nagoya

唐津城

秀吉の家臣で、肥前国唐津藩初代藩主・寺沢広高が築いた城。現在の天守は1966年に完成したもので、唐津のシンボルとなっている。虹の松原を鶴の翼に見立て、舞鶴城とも呼ばれる。

住所|佐賀県唐津市東城内8-1
Tel|0955-72-5697
開館時間|9:00〜17:00(入館は16:40まで)
入館料|大人500円、中小生250円
休館日|12月29〜31日

中里太郎右衛門陶房

宮﨑さんがお茶をいただいたうつわは、市ノ瀬高麗神窯(17世紀)の奥高麗茶盌 銘「かすがい」。柄杓でかけられた波紋様の長石釉、金漆と3個の銀製の鎹(かすがい)が生み出す佇まいが美しい
茶室でおもてなしを受ける宮﨑さん

約430年続く唐津焼の名窯。作品を購入できる展示室をはじめ、2020年3月には、古唐津や歴代の太郎右衛門の代表作品を展示する御茶盌窯記念館を開館。「焼物を見るだけでなく、唐津焼の歴史や文化も感じていただけたら」と14代太郎右衛門さん。

住所|佐賀県唐津市町田3-6-29
Tel|0955-72-8171
開館時間|陳列館9:00〜17:30、御茶盌窯記念館10:00〜17:00(入館は16:30まで)
入館料|400円(御茶盌窯記念館)
休館日|水曜、第1・3・5木曜(祝日の場合は翌日休)
www.nakazato-tarouemon.com

ホテル大望閣

眺望のよい客室はもちろん、「天下料理」に注目したい。黄金の茶室公開に合わせて市内や玄海町の16店ではじまった特別企画で、大望閣では豊臣秀吉が好んだ赤味噌に佐賀牛を掛け合わせた逸品を味わうことができる。

住所|佐賀県唐津市鎮西町名護屋1399 Tel|0955-82-1711
料金|1泊2食付1万9800円〜(税・サ込)
IN|15:00 OUT|10:00
www.taiboukaku.com
※改装のため、2022年10〜12月末まで休館

義久窯

HIZEN5の作品のひとつで、どこか温かみを感じるカラツペン粉引(1万3750円)。ペンの柄は義久窯が先輩陶芸家と手掛けた唐津焼

石井義久さんの窯。海外に渡航した後、唐津焼「殿山窯」に弟子入り。4年前に開窯し、陶土から採取する伝統的な唐津焼を一貫。HIZEN5に加わるなど、新たな挑戦にも積極的。

住所|佐賀県唐津市相知町佐里1960
Tel|080-6592-7682
営業時間|10:00〜17:00
定休日|不定休
工房見学|可(要事前問い合わせ)

JONAI SQUARE

佐賀を中心に近隣地域でつくられた品々を集めたセレクトショップ。佐賀県内5市町の焼物をアクセサリー、文具にしたブランド・HIZEN5の商品も販売している。

住所|佐賀県佐賀市城内1-6-10 サガテレビ1F
Tel|0952-23-9113
営業時間|SHOP/9:00〜19:00、土・日曜、祝日10:30〜18:00、CAFÉ/10:30〜18:00(食事メニューは11:30〜)
https://jonai-square.jp

access
車/西九州自動車道唐津IC、国道382号などを通り、呼子方面へ。佐賀県立名護屋城博物館まで約40分。九州佐賀国際空港からは厳木多久有料道路を利用し、約1時間40分

 


佐賀県知事×宮﨑香蓮 特別対談!
 
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text: Tsutomu Isayama photo: Norihito Suzuki
2022年10月号「旅で、ととのう。」

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