《石山離宮 五足のくつ》
着物の美しさをアップサイクルした、
サステナブルな旅ポーチ(アメニティケース)
熊本県天草市の雲仙天草国立公園内、東シナ海を望む山の上に位置する旅館「石山離宮 五足のくつ」は、開業20周年を記念して、「旅がもっと楽しくなる!」をテーマにプラスチック資源循環促進法の取り組みの一つとして、福岡の染織工房とコラボレーションし、オリジナルグッズ『旅ポーチ』を販売中。
今年の4月から「プラスチック資源循環促進法」が施行されたことをきっかけに「旅ポーチ」を作ろうと考えたそうだ。ごみの削減とリサイクル強化を目指す、この法律では、旅館で使う歯ブラシやシェーバーなども対象となった。義務化されたのは年間5トン以上の事業者が対象だったが、石山離宮 五足のくつも取り組みとして『旅ポーチ』をオリジナルで制作、販売することにした。
これからは、旅館の備え付けのアメニティではなく、宿泊者自身がアメニティ類を持参して旅に出かけることが増えてくるだろう。その際にデザイン性&機能性に優れたアメニティポーチがあれば、荷造りはもちろん、旅館の洗面台にポーチを広げた時もきっと楽しくなる。
コロナ禍でなかなかお出かけしづらい日々が続いたこともあり、「旅ポーチ」をきっかけに、楽しいエシカルな旅につながれば良いなという思いも込められている。
福岡の染織工房「414textile」に協力してもらい、ポーチの生地は、リサイクル着物&洋服を再利用した「裂織(さきおり)生地」を使用。「裂織」とは日本のもったいない精神から生まれた役目を終えた着物を裂き、糸にして製織するテキスタイル。
裂き糸にして製織することで、それまでの生地としての色柄が、また違った柄や色を生み出す。また、大切にしてきた着物は糸にしても柔らかく、触ると心地良さも感じる。
素材だけではなく、機能性も重視した。ポーチの内側は防水性の高いナイロン生地を使用し、歯ブラシやヘアブラシなども入れられるゴムを付け、小物が落ちないようにマジックテープも付けた。ポケットもファスナー入りとなしの2か所。こまごまとした化粧品も薬類も入れられる。たくさんのモノを入れられるよう紐でまとめるデザインを採用した。
石山離宮 五足のくつ 支配人・中川亜紀さんからのメッセージ
布というものが経糸と緯糸の組み合わて作られたものであるということ
団塊ジュニアである私は、機械化され作られた商品に囲まれて育ち、それら素材の成り立ちを知らずに、着目もせずに当たり前のものとして過ごしてきました。洋服は既成のものを着ることが通常で、布や素材そのもののその成り立ちについて考えたことがありませんでした。
今回、高機という昔ながらの織機で旅ポーチを作ってもらうことになり、トントンと経糸と緯糸を組み合わせて織りあげられ、一枚の生地になっていく工程を見ることができました。布というものは、経糸と緯糸を組み合わせることで完成するのだということを実感として学びました。
旅ポーチはアメニティケースではありますが、日本の製織文化、そして「もったいない精神」から生まれたものです。良かったら、手に取ってご覧いただきたいと思います。
石山離宮 五足のくつ
東シナ海を見下ろす山にある、全室離れ&露天風呂付の温泉旅館。1万坪の敷地にわずか15棟の離れ。コンセプトは「九州でもない、日本でもない、アジアの中の天草」。エキゾチックで妖艶、天草らしさを追求した独特の空間は、「天草へ行く理由を作った旅館」として評価され、全国からのリピーターも多い。https://rikyu5.jp/
414textile(ヨンイチヨンテキスタイル)
高機(たかばた)と呼ばれる、日本の昔ながらの手織機でトントンと織ったテキスタイルを1点ものの紬の着物やコート、または小物などにして提案するテキスタイルブランド。414textilefが染めて織るのは、「紬」というオシャレきもの。草木で糸を染め、高機で手織する「紬」のきものは、空気を含み、ふわっと軽い。草木染めは、自然界の不純物を含むからこそ、複雑で味わい深い色に染まるもの。草木染めの色の美しさを日々の生活の中で実感してほしいとの思いから、きもの以外にもコートや小物など、手織りのテキスタイルをさまざまな形で提案している。また、手織りや草木染めのアイテムをより身近に感じ、愛着を持ってもらえればと、草木染めワークショップや手織り体験も太宰府工房で行う。https://www.414textile.com/
昔ながらの手織機「高機」でトントンと手織りをした生地は手作りならではの温かみがある。物を使い切る、そして再利用するー旅のワクワク感もいっぱい詰め込んでエシカルな旅を楽しんでいただけたらと誕生した、五足のくつと414textileがコラボレーションした「旅ポーチ」とともに、旅をしてみはいかが。