TRAVEL

「野遊び」がSDGsや地域の活性化につながる!?
新プロジェクト「ノアソビSDGs」とは

2022.3.28 PR
<small>「野遊び」がSDGsや地域の活性化につながる!?</small><br> 新プロジェクト「ノアソビSDGs」とは

北海道の十勝地方にある芽室町(めむろちょう)、秋田県の大館(おおだて)市、三重県のいなべ市の3エリアは、「ノアソビSDGs」にいち早く参画し、野遊びを楽しむツアーをつくるなど、先進的にプロジェクトを進めている。今回は、ノアソビSDGs協議会の副理事長であり、スノーピーク地方創生コンサルティングの会長を務める後藤健市さんに、そのコンセプトや各エリアの取り組みについてうかがった。

「ノアソビSDGs」とは?
「野遊び」とは、豊かな自然と四季を身近な存在として親しんできた日本独自の文化であり、心の安らぎや充足感、ストレスの解消などを自然環境の中で得る営み。その野遊びを通してSDGsや地方創生の実現を目指すのが「ノアソビSDGs協議会」だ。“ノアソビ”のカナ表記には、“モッタイナイ”のように、日本から生まれた概念がグローバル化し世界の合言葉になるように、という意味が込められている。

後藤健市(ごとう けんいち)さん
北海道帯広市生まれ。一般社団法人ノアソビSDGs協議会副理事長。スノーピーク地方創生コンサルティング会長(~2022年3月。4月~地方創生担当顧問)。デスティネーション十勝代表取締役社長。社会福祉事業とともに、地域と連携しながら場所の価値を生かしたまちづくりの活動を行う。

サステナブルな社会のヒントが
日本文化「野遊び」にあった!

自然を舞台に豊かな時間を過ごすための仕掛けである「野遊び」。山や川、海といった自然豊かな日本では、古くから人々が花見や月見、紅葉狩りなど、自然を愛でて楽しむ感性を持ち合わせてきた。現在、都市に暮らす人々がキャンプやアウトドアで大自然をより強く求めるのも、そういった感性や自然の中で遊びを楽しむ本能が備わっているからだろう。野遊びには、ストレスを発散し、心と身体のバランスを取り戻す効果がありそうだ。

「ノアソビSDGs協議会」副理事長の後藤健市さんは、「こういった景観や風景を“わざわざ感”で楽しむのが日本の和の文化『野遊び』であり、それが結果的にSDGsの取り組みに大きく貢献する」と語る。

「アクティビティはもちろん、地域の歴史、文化、風土を料理で表現するローカルガストロノミーでの食体験など、その土地に足を運んで自然環境を楽しむのが野遊びです。自然環境に身を置いて自然を愛でることは、自分にとってプラスになるだけでなく、自然環境を維持するSDGsのためにも重要な要素となります。SDGsには明確なゴールがありますが、“やらなければならない”という気持ちではなく、自分が好きで楽しい野遊びでSDGsに貢献できる。楽しいからこそ持続可能になり、SDGsが自分ごとになっていきます」

「ノアソビSDGs協議会」ではこういった野遊びを通して、地方自治体のSDGsの取り組みや、地域の価値を再認識し、観光事業につなげるためのサポートを行っている。日本には各地にそれぞれ豊かな自然環境があるにもかかわらず、地域自体がその価値を認識していないケースも多い。後藤さんは、「地元の人がそれに気づき、そこにあるものの価値を理解することから地方創生がはじまる」と話す。

「地元の人はよく『ここには何もない』と言います。でも『何もない』のではなく、『余計なものは何もない』のが地方の魅力だと伝えています。豊かな自然は圧倒的な資源です。都市もローカル側もどちらも豊かな環境として整っているのが日本の素晴らしさであり、地域がプライドをもって地方創生に取り組むことが、再生だけではない進化・成長につながると考えています。日本がものづくり大国であることはグローバルレベルで認知されていますが、場所も同様で、わざわざ足を運ぶ価値のある場所がたくさんあります。いまあるもので場所の価値を上げ、世界に日本の地域の魅力を伝えるのが“ノアソビ”というキーワードです」

火を囲んで語り合う、外で食事する。大自然の中では、そういった何げない時間が何よりの贅沢
遊びというキーワードの前では、誰もが笑顔になる。大自然が相手のノアソビなら、なおさらだ
大館市田代岳の9合目に突然広がる湿原。2時間ほどの登山で、120を超える池塘(ちとう)が点在する幻想的な風景に出合う

目指すのは広域連携の創出!
ノアソビSDGsで地域を世界一に

現在、このノアソビSDGsの取り組みに参画している地方自治体は、北海道芽室町と秋田県大館市、三重県いなべ市の3エリア。後藤さんが場所文化デザイナーとして各地で講演をしていたことなどをきっかけにつながりのあった地域だ。

協議会では、各地で自治体・地域の生産者・企業をつなげ、地域一丸となって事業を進めるサポートを行うのはもちろん、地域と地域をつなげる広域連携にも力を入れている。各地の取り組みにおける情報や成功事例を共有したり、都市部でイベントを行ったり、またはメディアと連携する―などによって日本全体で野遊びの価値を高める活動を進めている。

「地域創生を考えたとき、私はグローバルマーケットの視点をもつこと、『この場所の価値を世界一にするぞ』という意識が大切だと伝えています。国内だけを見て日本一にと考えると、観光人口だけでなく定住人口においても人の奪い合いになってしまいます。その点、世界からわざわざ来てもらうことを考えると、いろいろな地域が連携することがお互いのメリットになります。海外では2週間や1カ月といった長期滞在の旅が一般的ですが、日本なら、ノアソビをしながら周遊して楽しむ極上の旅を提案できます。そのためには、奪い合いではなく“磨き合い”でつながれる地域の関係性が必要です」

各地域ではオリジナリティのあるノアソビ事業に取り組むことで場所の価値を高め、協議会が地域を連携して磨き合いを促す。そういった積み重ねの先に、後藤さんが描く「真に世界に通用するノアソビSDGsリゾート」に成長した日本の未来が見える。

プロジェクトに向け、白熱するワークショップの様子。ノアソビSDGs協議会では、事業者が進化し成長していくサポートも行う

北海道芽室町
地域の資源をつなぎ、グローバルリゾート化!

抜群のロケーションの「めむろ新嵐山スカイパーク」。町民全体で名産を使ったコース料理を地元産の酒とともに楽しむイベントを実施

アイヌ語のメム・オロ(泉から流れる川)に由来する芽室町。十勝平野と日高山脈が360度のパノラマで見渡せる新嵐山スカイパークを拠点に、グランピングや乗馬やトレッキング、サイクリングといったプログラムが揃う。展望台から見える朝日は、言葉を忘れるほどだという。また、スイートコーン生産量日本一など全国屈指の農業王国である強みを生かし、町民全体で屋外レストランでの特別な食体験や農業体験などのプログラムも充実。香り高い手摘みのホップをビールに浮かべる“追いホップ”体験など、土地と人が生み出した魅惑的な取り組みを実現した。

 

≫記事を読む
 

秋田県大館市
五色湖を中心に、世界遺産をフィールドワーク!

秋田県大館市にある五色湖エリア。野遊びの拠点とするべく、グランピングができる宿泊施設を整備中
※画像は整備イメージです

世界自然遺産の白神山地系・田代岳の玄関口である五色湖エリア。登山やトレッキング、渓流釣りなどができる人気のスポットで、四季折々の姿を見せ、手つかずの自然を堪能できる。また、世界的にも広く知られる「秋田犬」との交流、伝統的工芸品である大館曲げわっぱづくり、きりたんぽや比内地鶏の食体験といった体験型プログラムを用意し、大館でしか体験できないオーダーメイドの旅を計画中。

 

≫記事を読む
 

三重県いなべ市
鈴鹿山脈の豊かな懐を、アウトドアの五番街に!

4000本以上の梅が咲く、いなべ市農業公園(梅林公園)越しに見る鈴鹿山脈

「SDGs未来都市」に選定された三重県最北端にあるいなべ市。藤原岳や竜ヶ岳といった登山家に人気の山々をはじめ、美しい大自然が魅力で全国からアウトドアファンが集まる。西日本屈指の人気を誇る「青川峡キャンピングパーク」などキャンプ場も充実しており、ノアソビには事欠かないエリア。そういった豊かな自然と、地元産の米をかまどで炊いたご飯や食材が食べられる古民家での食体験、茶摘み体験など、土地のさまざまな魅力を組み合わせたツアープログラムを制作している。

 

≫記事を読む
 

まもなくレジャーシーズン。働き方同様、バケーションやアクティビティといった旅のスタイルも多様化しているが、参画する3地域を訪れ、ノアソビを通して楽しくSDGsに取り組める旅もいいだろう。目の前に広がるアウトドアの景色が、これまでとは少し違って見えるかもしれない。

問|ノアソビSDGs協議会
https://noasobi-sdgs.com/

   

text: Akiko Yamamoto

RECOMMEND

READ MORE