FOOD

日本のジンカルチャーを牽引する
三浦武明さんがセレクト

地域性が楽しめるクラフトジン6本

2022.1.28
<small>日本のジンカルチャーを牽引する<br>三浦武明さんがセレクト</small><br>地域性が楽しめるクラフトジン6本

クラフトジンは、なぜ地域性が楽しめる酒なのか。日本におけるクラフトジンの第一人者・三浦武明さんに、クラフトジンの魅力が存分に味わえる、飲んでおきたい銘柄を教えてもらいました。

三浦武明(みうら・たけあき)さん
フライングサーカス代表。「ジンフェスティバル東京」を主宰するなど日本のジンカルチャーを牽引。2022年には自ら手掛けるジンブランド「Distiller M」がリリース予定。
www.distiller-m.com

地域と人を結び
地方創生につながる酒

日本には焼酎と日本酒を合わせて2700以上もの酒蔵がある。伝統的な蔵が自分たちの酒や技術を生かしたクラフトジンに加え、最近では新規参入する蒸留所も増えている。「それぞれの地域ならではの素材を閉じ込めたクラフトジンは、飲んだときの香りからその土地の風景が浮かんでくるような魅力があります」と三浦さんは言う。素材はユズなどの柑橘類、和製ハーブの山椒やショウガ、特産品、伝統食材からその土地に咲く花や森の植物まで実にさまざま。「僕は『ご当地ジン』と呼んでいるんですが、クラフトジンが地域性を楽しめるお酒というのはまさに地元の味だから。造り手さんたちもそこに価値や可能性があると気づいていて、土地のものを生かした香りの設計をしています」。

土地のものを生かすのはクラフトジンの世界的な流れ。「TOKYO FAMILY RESTAURANT」で世界の料理と800種類以上のジンを提供する三浦さんは、今回飲むべき世界のクラフトジンもセレクトしてくれた。「酒造メーカーや醸造場が、ノウハウを生かして市場に参入するのも世界共通の傾向です。ジンは現在世界で最もたくさんの国と地域でつくられる蒸溜酒になっていて、我が町のクラフトジンを造ろうというムーブメントが現在進行形で起きています。造り手の挑戦を飲み手が一緒になってワクワクしながら楽しみ、応援できるのがクラフトジンの最大の魅力かもしれません」。

2021年からは三浦さん自身も造り手の一人として新たな挑戦をはじめている。三浦さんが目指しているのはご当地ジンの次の「ニッチなジン」の世界。そのために、自ら設立した蒸溜所には香りの成分をより細かく抽出するための特別な技術を取り入れた。「自前の蒸留所で実験的な取り組みも行うことで、ジンの可能性をさらに広げたい。僕たちだからできる偏愛的なクラフトジンに挑戦していくつもりです」。その土地の食文化や伝統、風土、造り手の人柄など、あらゆるものにタッチできるクラフトジン。ご当地から発信される熱い気持ちに触れながら、至極の一杯を味わってみては。

地域性が感じられる究極の6本!

(写真右から順に)OSUZU GIN、SAKURAO GIN HAMAGOU 2021、北海道 積丹ジン「KIBOU-きぼう」、BARR HILL GIN(アメリカ)、POLI MARCONI 46(イタリア)、GIN MARE(スペイン)

OSUZU GIN
「百年の孤独」の酒蔵が芋焼酎の「山ねこ」をベースに蒸留。芋焼酎に山椒や金柑、日向夏の香りをのせた爽やかさとキレが特徴

価格|4290円(700㎖)
原材料|ジュニパーベリー、山椒、柑橘類など
アルコール度数|45%
問い合わせ|尾鈴山蒸留所
Tel|0983-39-1177
https://osuzuyama.co.jp

SAKURAO GIN HAMAGOU 2021
蔵元の近くの宮島に咲く、ハマゴウの花の清涼感ある香りを閉じ込めたクラフトジン。売上の一部は宮島の環境保全に利用されている

価格|2860円(700㎖)
原材料|ジュニパーベリー、ハマゴウ、ローズマリー、不知火、ラベンダー、緑茶、スペアミントなど
アルコール度数|47%
問い合わせ|SAKURAO DISTILLERY
Tel|0829-32-2111
www.sakuraodistillery.com

北海道 積丹ジン「KIBOU-きぼう」
町おこしで生まれたジン。積丹半島に自生するボタニカルから30種類を絞って自社栽培し使用しており、現地の景色が浮かぶよう

価格|5940円(500㎖)
原材料|アカエゾマツ、ハーブ、
エゾヤマモモ、エゾミカンなど
アルコール度数|45度
問い合わせ|積丹スピリット
Tel|0135-48-5105
https://shakotan-spirit.co.jp

BARR HILL GIN(アメリカ)
バーモント州の養蜂農家が自分たちのハチミツを知ってもらうために造っているもので、トップバーテンダーにもファンが多い

価格|3575円(750㎖)
原材料|ジュニパーベリー、生ハチミツなど
アルコール度数|45度

POLI MARCONI 46(イタリア)
グラッパを蒸留する際のブドウの搾りかすに、モンタナ松などを加えて造られている。グラッパの香りの後に森の香りが続く

価格|6000円(750㎖)
原材料|ジュニパーベリー、ブドウ(モスカート種)、
モンタナ松、ハイマツ、ミント、カルダモン、コリアンダーなど
アルコール度数|46度

GIN MARE(スペイン)
オリーブやバジルなど、地中海の香りを閉じ込めてクラフトジンの方向性を決定づけたとされている。スペイン料理との相性も抜群

価格|6380円(700m㎖)
原材料|ジュニパーベリー、スペイン産オリーブ(アルベキーナ種)、スイートバジル、ローズマリー、タイム、オレンジ、レモンなど
アルコール度数|42.7度

<Shop data>
TOKYO FAMILY RESTAURANT
住所|東京都渋谷区東1-3-1 カミニート20 3F
Tel|03-3797-3355
※現在休業中、段階的に営業開始予定
www.flyingcircus.jp/tokyofamilyrestaurant
最新情報はInstagram

text: Yayoi Tatsu photo: Asami Endo
Discover Japan 2022年1月号「酒旅と冬旅へ。」

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