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いま日本で人気急上昇中!
5つのQ&Aで知る
クラフトジンの基礎知識

2022.1.28
<small>いま日本で人気急上昇中!</small><br>5つのQ&Aで知る<br>クラフトジンの基礎知識

近年、クラフトビールの次によく耳にするようになったクラフトジン。そもそもクラフトジンとはどんな酒なのか? 原料や製法、定義など、知っておくべき5つの基礎知識を、日本におけるクラフトジンの第一人者・三浦武明さんの解説で詳しく紹介します。

三浦武明(みうら・たけあき)さん
フライングサーカス代表。「ジンフェスティバル東京」を主宰するなど日本のジンカルチャーを牽引。2022年には自ら手掛けるジンブランド「Distiller M」がリリース予定。
www.distiller-m.com

Q. 原料のジュニパーベリーって何?
A. ジンの香りの元となる スパイスです!

ジンは針葉樹の球果であるジュニパーベリーという季語を入れて詠む俳句のようなもの。ジュニパーベリーを使用していればどんな素材を加えてもOK。ジンはジュニパーベリーを通して世界の新しいプラットフォームになり得るお酒です。

Q. ジンはどうやって造られる酒ですか?
A. 基本は蒸留して造ります

ベースの酒にボタニカルの香りを加えて造られます。ベースにボタニカルの香りを付加するだけでも構いませんが、基本的にはボタニカルを加えてから蒸留します。ジンはあまり味がしないといわれますが、むしろ蒸留によってアクや雑味を抜きながら香りをのせているのです。

<ジンの蒸留の流れ>

ベースにするお酒は多種多様!
香気成分の抽出に適したアルコール度数60%前後に加水したニュートラルスピリッツが一般的だが、クラフトジンではグラッパやカルバドス、焼酎などさまざまな酒が使用される

ボタニカルを24時間程度浸漬させる
浸漬法(スティーピング方式):蒸留器にベーススピリッツとボタニカルを投入し、24時間程度浸漬してから蒸留することで、ボタニカルの香りの成分が溶け出した留液を得る

蒸気にボタニカルを付加させる
バスケット法(ヴェイパー方式):蒸留の際に発生する蒸気の通り道にボタニカルを詰めたバスケットを設置することで、蒸気に香りの成分を付加させ留液を得る

Q. ジン造りで一番重要なのは?
A. 香りづけの設計が肝心です

ジンは「飲む香水」とも呼ばれ、香水と同じように香りを段階的につけることが重要です。グラスを近づけ最初に感じるトップノート、口に含んだときのミドルノート、飲み込んだ後に鼻腔から抜ける余韻などさまざまで、個性が楽しめるのもジンの魅力です。

トップノート:レモンなどの柑橘類
ミドルノート:樹木などの植物の香り
ベースノート:焼酎やほかスピリッツ

Q. ジンには種類や規定はありますか?
A. 現在は主にEU規定で決められている
カテゴリーにのっとって造られています

ジンはジュニパーベリーを主体に香り付けして再蒸留した酒。日本の酒税法上はスピリッツに分類され、ウォッカ、ラム、テキーラと並ぶ世界4大スピリッツのひとつです。

1. ジュニパーベリーの香りを主とする
2. 瓶詰めアルコール度数は37.5%以上
3. 3つのカテゴリー分けをする

<ジンの3つのカテゴリー>

GIN(ジン)
・農作物由来のエタノールにジュニパーベリーのフレーバーを付加したもの
・天然香料もしくは人工香料などを使用可
(蒸留による抽出の必要はない=単純な混合でもOK)

DISTILLED GIN(蒸溜ジン)
・農作物由来のエタノールを使用、ジュニパーベリーやその他のボタニカルを伝統的なジン用蒸留器にて再蒸溜したもの
・天然香料もしくは人工香料にて香味を付加したスピリッツを別途添加してもよい

LONDON GIN(ロンドン・ジン)
・農作物由来の高品質エタノールを使用し、伝統的な蒸留器にて天然のボタニカルのみを使用して再蒸留したもの。
・留液の最低アルコール度数は70%。
・瓶詰めの際、少量の糖分の添加はOK。
(着色料は添加不可)
※ロンドンという地名がついているが、原産地の規定ではない。

Q. これから注目のボタニカルは?
A. その土地の記憶を
よみがえらせてくれる素材です

三浦さんが「TOKYO FAMILY RESTAURANT」内に設立した蒸溜所には、香りづけの設計を行うための新しい技術が取り入れられている

香りは人間の記憶と直接的に結び付いているので、どこかで嗅いだ香りなら一瞬で記憶をよみがえらせることができます。その土地の食材をはじめ森や海の香りなど、口にしたときにグラスの向こうへ旅した気分になれるような素材は、ジンの魅力をさらに広げていくでしょう。

いま、世界と戦う
クラフトジンが増えています!

世界中で注目度の高いジンは、和酒のエキスパートたちにも影響を与えている。鹿児島県志布志市に拠点をもつ焼酎蔵・若潮酒造が創業50周年を機に挑戦したのは、麹と4種の芋焼酎を原料としたジン。焼酎造りの知見を生かし、日本でも珍しい木樽蒸溜器を開発するなど、世界のスピリッツ界でも類を見ないジンの可能性を追求している。

424GIN
価格|5500円(720㎖)
問い合わせ|若潮酒造

text: Yayoi Tatsu photo: Asami Endo
Discover Japan 2022年1月号「酒旅と冬旅へ。」

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