ジャパニーズクラフトジン ROKU〈六〉
ひと口で、旬に包まれる。
国内外で注目を集めているジャパニーズクラフトジン「ROKU」――。その魅力をトップバーテンダーの鹿山博康さんにうかがった。
鹿山博康(かやま・ひろやす)さん
1983年、埼玉県生まれ。2013年に「Bar BenFiddich」を開店。自然を愛し、畑をもつ農家バーテンダーであり、独自のクリエイションは「酒類業界に影響を与えた世界の100人」に選出されるなど世界から注目を集めている
季節を慈しむ文化が、
『ROKU』には宿っています
近年、多様化が進むクラフトジンの中で、日本人ならではの丁寧な酒づくりを生かしたジャパニーズクラフトジンが数多く誕生している。その中で、国内外で支持を集めているのが、「ROKU」だ。
「ジンは、スピリッツの中で最も土地のテロワールを表現できる不動の存在。ROKUには日本の魅力が凝縮されています」と話すのは、東京・新宿の薬草酒専門バー「Bar BenFiddich」のオーナーバーテンダー・鹿山博康さん。鹿山さんは、地元の埼玉県比企郡のファームで自ら栽培した多彩なハーブや果物を使用し、独自のカクテルや薬草酒を生み出しているファーマーバーテンダー”だ。その唯一無二の世界観は、「The World’s 50 Best Bars」、「Asia’s 50 Best Bars」といった世界的なバーランキングに選ばれ続けている。
「Farm to glass(農場からグラスへ)」をコンセプトに、何よりも素材と旬にこだわり、自身のシグネチャーカクテルにも使用するほどジンに造脂の深い鹿山さんが、ROKUの印象をこう語る。
「最初に飲んだとき、まず桜由来の芳香がふわっとやさしく包む華やかな香りが印象的でした。口当たりはスムースで、和の素材が見事なバランスで調和した上品な味わいは、ROKUならではだと思います」
その素材は、ジュニパーベリーをはじめとした、ジンの味わいを形成するトラディショナルな8種類のボタニカルをベースに、メインとなるのは春の桜花・桜葉、夏の煎茶と玉露、秋の山椒、冬のユズの6種類。日本の四季が育んだ和素材を厳選し、それぞれの魅力を最大限に引き出すため、ボタニカルごとの特長に合わせて原料酒をつくり分けている。そして日本人ならではの繊細な感性でブレンドし、生み出しているのは重層的かつ豊かな香味だ。
サントリーが1世紀以上にわたり積み重ねてきた酒づくりの技術、そして受け継がれてきた「いつか、日本人がつくった酒が世界中で愛される日を」というつくり手の想いを宿したROKU。そこに表現された四季の”旬”に、鹿山さんが共鳴する。
「一年のサイクルで同じ畑を見ていると、葉が色づいて、つぼみがつき花が咲く植物の成長と循環に四季の移ろいを実感します。ゲストバーテンダーとして海外に招聘(しょうへい)される際にも思いますが、春夏秋冬の美しさと、そこから生まれる繊細な感性は日本にしかないもの。私も旬の味を届けることを大切にしているので、ROKUにも同じスピリットを感じます」
その日本ならではの美意識はボトルデザインもしかり。「お酒は嗜好品ですから、美味しさを想起させる視覚的要素も重要です。そういったことも含めて、ROKUは日本の文化を再発見させてくれるジンだと思います」。
優美な味わいだけではなく、旬を慈しむ文化まで堪能できる体験を愉しんでほしい。
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Bar BenFiddich
住所|東京都新宿区西新宿1-13-7 大和家ビル9F
Tel|03-6258-0309(予約は前日から受付)
営業時間|18:00~翌1:00
定休日|日・月曜
ストップ! 20歳未満飲酒・飲酒運転
サントリー|www.suntory.co.jp/wnb/rokugin
サントリー ジャパニーズクラフトジン:ROKU〈六〉700ml/4400円(税込)、200ml/1320円(税込)
text: Ryosuke Fujitani photo: Norihito Suzuki
Discover Japan 2024年1月号「ニッポンの酒 最前線 2024」