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秋季特別展 足立美術館コレクション
「おすすめ日本画名品選」
紅葉を描いた近代日本画の中でも屈指の人気作が登場

2021.11.4
秋季特別展 足立美術館コレクション<br>「おすすめ日本画名品選」<br><small>紅葉を描いた近代日本画の中でも屈指の人気作が登場</small>
紅葉の盛りを迎えた、足立美術館の主庭「枯山水庭(かれさんすいてい)」

足立美術館は、11月中旬〜12月上旬にかけて、日本庭園ランキングで18年連続で1位に選出されている日本庭園が紅葉の見頃。秋が深まるにつれ、庭園各所に配された木々、そして借景の山々が次々と紅葉し、足立美術館の日本庭園は一年で最も華やかな季節を迎える。

さらに今年は、展示室で近代日本画の巨匠が紅葉を描いた傑作2点を展示。横山大観の全作品中で最も絢爛豪華な作品と評される「紅葉」と、群青の水面を真紅の紅葉が覆う川端龍子の「愛染(あいぜん)」。どちらも足立美術館が所蔵する日本画コレクションの中でも屈指の人気を誇る作品。

窓枠を額縁とし、庭園を絵画に見立てた「生の額絵」。窓から望む 「枯山水庭」では、松の緑と砂の白に紅葉が彩りを添えている

足立美術館の日本庭園は、昭和43年(1968)に館の創設者・足立全康(あだちぜんこう)(1899~1990)が造園に着手したもの。当初は著名な造園家に設計を依頼したものの、全康は理想の日本庭園を追い求め、自ら庭師たちを指揮して手を加え続けた。そして約15年の歳月をかけて、借景の山々と繋がっていく現在の庭園の基本形を完成した。

現在の庭園は枯山水庭(かれさんすいてい)、苔庭(こけにわ)、坪庭(つぼにわ)、池庭(いけにわ)、白砂青松庭(はくさせいしょうてい)、亀鶴(きかく)の滝などで構成され、借景の山々を含めると、総面積が約16万5000平方メートル(約5万坪)に及ぶ。各庭園は四季折々に多彩な表情を見せるが、中でも木々が紅葉する秋は最も華やかになる季節。

晩秋の「苔庭」

足立美術館の日本庭園は海外からの評価も高く、アメリカの日本庭園専門誌『数寄屋リビングマガジン/ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング(Sukiya Living Magazine: The Journal of Japanese Gardening)』が毎年発表する日本庭園ランキングで18年連続の1位に選ばれているほか、フランスの旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン(Michelin Green GuideJapon)』でも日本庭園が最高評価の三つ星として掲載されている。

足立美術館で見られる
「紅葉の名画」

「紅葉」(左隻)
「紅葉」(右隻)
昭和6年(1931) 紙本彩色・屛風(六曲一双) 各163.3×361.0cm 足立美術館蔵

横山 大観(よこやま・たいかん)/「紅葉」1931 足立美術館蔵
画面の大部分を彩る群青の上にプラチナ泥の漣(さざなみ)を加えて水流を表し、そこに真紅に燃える紅葉を配すことで秋の清冽な自然を描き出している。名実ともに画壇を牽引する存在であった大観(1868~1958)の円熟期を代表する作品。

昭和9年(1934) 絹本彩色・屛風(二曲一隻)168.2×168.5cm 足立美術館蔵

川端 龍子(かわばた・りゅうこ)/「愛染(あいぜん)」1934 安達美術館蔵
仏教で男女の愛欲を意味する「愛染」をつがいの鴛鴦(おしどり)で表した、龍子(1885~1966)の人気作。水面に大きく弧を描く雄に対し、雌は小さく弧を描いて応えている。龍子は群青の水面に浮かぶ真紅の紅葉の上に、交わらない二つの金色の弧線を描くことで、本作の主題を的確に表現した。

秋季特別展 足立美術館コレクション「おすすめ日本画名品選」
会期|〜2021年 11月30日(火)
会場|足立美術館本館 大展示室・横山大観特別展示室
休館日|年中無休

足立美術館
住所|島根県安来市古川町320
Tel|0854-28-7111
開館時間|4月~9月 9:00~17:30、10月~3月 9:00~17:00 ※新館の最終入場は閉館15分前
休館日|年中無休 ※新館のみ展示替えのため休館日あり
料金|大人2300円、大学生1800円、高校生1000円、小中学生500円、2年間パスポート6000円 ※土曜日は小中高生無料(要学生証提示)
https://www.adachi-museum.or.jp/

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