世界文化遺産の構成資産と関連資産を知る
縄文遺跡カタログ【Part 1】
「北海道・北東北の縄文遺跡群」は縄文時代の風土やその地に根ざした文化、縄文人の暮らしぶりをまざまざと物語ります。それぞれの遺跡は一体何がすごいのか?世界文化遺産に登録された17の構成資産とふたつの関連資産から、今回は縄文時代前期の構成資産5つを紹介します。
大平山元遺跡(青森県・外ヶ浜町)
土器の出現が縄文時代のはじまりを示す
旧石器時代の特徴をもつ石器群とともに出土した土器は1万5000年以上前のもので、現時点で北東アジア最古級のもの。重くて壊れやすいため、遊動生活に適さない土器の出土は、定住生活への適応の開始を示す。
史跡指定|2013(平成25)年3月27日
史跡年代|1万3000BCE
所在地|青森県東津軽郡外ヶ浜町字蟹田大平山元
公開時間|随時
料金|無料
アクセス|電車/JR大平駅から徒歩約10分、JR北海道新幹線奥津軽いまべつ駅から車で約20分、JR東北新幹線新青森駅から車で約55分
ガイダンス施設|外ヶ浜町大山ふるさと資料館(Tel:0174-22-2577)※遺跡から徒歩約5分
垣ノ島遺跡(北海道・函館市)
集落の機能分化の先駆けを示す
居住域と墓地からなり、日常と非日常の空間が分離したことを示す。竪穴建物からは漁具が出土し、漁労が活発に行われていたことを示す。墓域からは17点もの足形付土版が出土し、独特な墓制がうかがえる。
史跡指定|2011(平成23)年2月7日
史跡年代|7000BCE〜1000BCE
所在地|北海道函館市臼尻町
公開時間|4月〜10月 9:00〜17:00、11〜3月 9:00〜16:00
料金|無料
アクセス|電車/JR函館駅から車で約50分または函館バスで約80分後徒歩で約5分 飛行機/函館空港から車で約40分
ガイダンス施設|函館市縄文文化交流センター(Tel:0138-25-2030)※遺跡隣接
北黄金貝塚(北海道・伊達市)
道南の内浦湾岸に位置する大規模貝塚を伴う集落跡
貝塚からは人の墓も見つかり、送り場としての役割を担っていたことを示す。低地にある水場の遺構からも石皿などが大量に出土し、廃棄に伴う送りの祭祀が行われていたと考えられる。
史跡指定|1987(昭和62)年12月25日
史跡年代|5000BCE〜2500BCE
所在地|北海道伊達市北黄金町
公開時間|9:00〜17:00
料金|無料
アクセス|電車/JR黄金駅から車で約2分または道南バスで約5分、JR室蘭本線伊達紋別駅から車で約20分または道南バスで約20分
ガイダンス施設|北黄金貝塚情報センター(Tel:0142-24-2122)※貝塚隣接
田小屋野貝塚(青森県・つがる市)
日本海側にある数少ない貝塚のひとつ
貝塚を伴う集落跡。土器や石器のほか、貝殻を中心に魚骨や海獣骨などの食べかす、骨角器なども出土。また、つくりかけのベンケイガイ製の腕輪が多数出土し、集落内で制作が行われていたと考えられる。
史跡指定|1944(昭和19)年6月26日
史跡年代|4000BCE〜2000BCE
所在地|青森県つがる市木造館岡田小屋野
公開時間|随時
料金|無料
アクセス|電車/JR木造駅から車で約20分、JR五能線五所川原駅からバスで約35分
ガイダンス施設|つがる市縄文住居展示資料館(カルコ)(Tel:0173-42-6490)※遺跡から車で約20分
二ツ森貝塚(青森県・七戸町)
青森県最大級の貝塚を伴う集落跡
大きさ約35万㎡に及ぶ大規模遺跡。貝塚の下層には海水性の貝、上層には汽水性のヤマトシジミが堆積し、気候変動に伴う海進や海退、環境変化に適応した暮らしぶりを示す。鹿角製櫛をはじめ骨角器も多数出土。
史跡指定|1998(平成10)年1月16日
史跡年代|3500BCE〜2000BCE
所在地|青森県上北郡七戸町字貝塚家ノ前地内
公開時間|9:00〜日没 ※冬季閉鎖(12月〜4月中旬)
料金|無料
アクセス|電車/JR東北新幹線七戸十和田駅から車で約15分または青い森鉄道上北町駅から車で約10分
ガイダンス施設|二ツ森貝塚館(Tel:0176-68-2612)※遺跡から車で約1分
text: Miyu Narita photo: JOMON ARCHIVES
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」