大自然と歴史・文化が残る奄美大島【後編】
《世界自然遺産をめぐる旅》
2021年7月26日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が新たに世界自然遺産に登録されました。各エリアの見どころや評価されたポイントを「生物多様性」をキーワードに紹介していきます。
奄美大島の旅のヒント
奄美大島に行くなら、海はもちろん自然を感じられるネイチャースポットで過ごす時間も十分に確保したい。
こんな植物がある!
サキシマスオウノキをはじめ奄美大島を北限とする亜熱帯植物、また南限とする北方系植物とが混在し、実に1300を超える多種多様な植物が生育。ヒカゲヘゴ、イジュといった高木から、稀少なシダのアマミデンダ、島の成り立ちを伝えるグスクカンアオイなどのカンアオイの仲間、ラン科のアマミエビネといった固有種までを見られる。山々が新緑の萌黄色に染まる2月頃から一年を通してさまざまな花に彩られる。
こんないきものがいる!
奄美大島に生息する在来陸生ほ乳類は13種、固有種は8種。アマミノクロウサギやアマミトゲネズミなど稀少な絶滅危惧種も生息。バードウォッチングのメッカとしても知られ、日本産鳥類633種のうち約半数の315種が見られる。固有種のルリカケスやアマミヤマシギ、見た目も鳴き声も美しいリュウキュウアカショウビンなどが見られる。両生類はイボイモリやオットンガエルなど固有種の割合が90%と高い。
奄美大島への理解が深まる代表的な見どころ
野鳥ファン必見の森林公園
奄美固有の植物や野鳥、昆虫などを観察しながら散策できる国立公園。自然を生かした広い園内には遊歩道が整備され、バードウォッチングの聖地として、季節を問わず多くの野鳥ファンが訪れる。
奄美自然観察の森
住所|鹿児島県大島郡龍郷町円1193
Tel|0997-54-1329
開園時間|9:00〜16:00
休園日|なし
奄美でマングローブ林を楽しむなら!
奄美大島でマングローブについて知るならこちらへ。熟練のガイドとともにカヌーでマングローブ林へと漕ぎ出して、すぐ近くで奄美大島ならではの生態系を学べる。園内には、広場や展望台などの施設も!
黒潮の森マングローブパーク
住所|鹿児島県奄美市住用町石原478
Tel|0997-56-3355
開園時間|9:30〜18:00(入園は〜17:30)
休園日|なし
奄美群島の島ごとの特徴や生態系を紹介
アマミノクロウサギをはじめとする稀少な野生生物を、剥製や調査研究資料などとともに解説。季節ごとに更新される観察情報も人気。
奄美野生生物保護センター
住所|鹿児島県大島郡大和村思勝551
Tel|0997-55-8620
開館時間|9:30〜16:30
休館日|月曜(祝日の場合は翌日休)
奄美観光のゲートウェイ
奄美空港から車で5分。奄美の自然や文化、歴史を紹介する展示ホールと、奄美の自然を描き続けた画家・田中一村の美術館からなる。
鹿児島県奄美パーク
住所|鹿児島県奄美市笠利町節田1834
Tel|0997-55-2333
開館時間|9:00〜18:00(7・8月は〜19:00)
休園日|第1・3水曜(祝日の場合は翌日休)
奄美群島唯一の総合博物館
奄美の自然環境といきもの、育まれてきた歴史や文化などを幅広く展示。いきものの飼育展示や布織り機などの体験コーナーも!
奄美市立奄美博物館
住所|鹿児島県奄美市名瀬長浜町517
Tel|0997-54-1210
開館時間|9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日|第3月曜
奄美大島のネイチャーツアー
奄美大島の自然を楽しむなら、奄美群島エコツーリズム推進協議会の認定エコツアーガイドが案内するツアーに参加しよう。特に金作原原生林へは自然環境保護のため認定エコツアーガイドの同伴が必須。知識をもった認定エコツアーガイドの案内により、美しい景色を堪能するだけでなく、さまざまな気づきを得られ、奄美の魅力をいっそう楽しめる。https://amamiguide.jimdofree.com
食べる&泊まる
奄美の郷土料理・鶏飯の元祖
昭和21年創業の鶏飯専門店。鶏肉、卵、シイタケなどの具材とネギや陳皮といった薬味をのせ、鶏を丸ごと煮込んだ濃厚スープをかけていただく(1100円)。人気店で予約不可ゆえ、余裕をもって来店をするのがおすすめ。
鶏飯元祖/みなとや
住所|鹿児島県奄美市笠利町外金久81
Tel|0997-63-0023
営業時間|11:30〜スープがなくなり次第終了
定休日|不定休
心身を浄化するネイチャークレンズホテル
奄美空港から車で2時間、最南端の瀬戸内町に位置するリゾートホテル。目の前のヤドリ浜でマリンアクティビティができるのはもちろん、海を見ながらのヨガやトリートメントが充実。
THE SCENE
住所|鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇刈970
Tel|0997-72-0111(7:00〜22:00)
料金|1泊2食付3万3000円〜(税・サ込)
奄美の伝統的建築と集落文化を次世代に伝える
ヒキモン構造、高床など奄美の伝統的な工法を使った古民家の宿。キッチンも完備した一棟貸しのスタイルで、集落の中で暮らすように滞在できる。宿によっては目の前が海の施設も。
伝泊 古民家
住所|施設によって異なる
料金|1泊素泊まり5500円〜(税・サ込)
https://den-paku.com
奄美大島までのアクセス
飛行機
羽田空港・成田空港から奄美空港まで約2時間15分〜2時間40分、
伊丹空港から奄美空港まで約1時間45分、
鹿児島空港から奄美空港まで約1時間など
船
鹿児島新港から名瀬港まで約11時間、
那覇港から名瀬港まで約13時間30分など
text: Akiko Yamamoto photo: Yoshihito Ozawa
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」