ビオワインとは?山廃とは?意外と知らないお酒の基礎知識
ニッポンの酒がもっと美味しく、もっと楽しくなるような酒用語や酒にまつわる豆知識を集めました。
Q.最近よく聞く低精白って?
A.日本酒の原料である玄米を精白する(米粒の外側のぬかや胚芽部分を削り取って磨き上げる)際、玄米の重量に対して、削り取った部分の割合を精白歩合という(ちなみに精米歩合は、残った白米の割合のこと)。一般的には、磨けば磨くほど、つまり高精白のほうがよい酒ができるといわれる。だが最近は、酒造りの技術の進歩、そして原料米の質の向上から、精白歩合10~20%といった低精白の米を使った酒を手掛ける酒蔵が増えている。
Q.日本ワインと国産ワインは別物!?
A.かつては、国産ブドウを原料に国内で製造されたワインのほかに、輸入した濃縮果汁やバルクワイン(原料ワイン)などの海外原料を使い、国内で製造したワインも国産ワインと呼ばれていた。この状況を受け、よりわかりやすい表示、そして日本ワインの国際的な認知向上を目指して、2018(平成30)年に適用がはじまった国税庁の「果実酒等の製法品質表示基準」では、前者は日本ワイン、後者は国内製造ワインと表示することになった。
Q.なぜ日本ワインは和食に合うの?
A.ワインの味わいを特徴づけるテロワール(ブドウ栽培におけるあらゆる環境の総称)という用語が示すように、ワインは土地の個性を映すもの。そして人々は、背景が同じその土地の料理と合わせてワインを楽しんできた。日本ワインと和食もしかり。中でも甲州は、約1000年の歴史をもつ日本の固有種。柑橘系の香りは白身魚や鶏肉などと好相性。同じく固有種のマスカット・ベーリーAは果実味豊かで、タレを使った料理などと合う。
Q.ヴァン・ナチュールとビオワインの違いは?
A.ヴァン・ナチュールはフランス語で自然派ワインを意味し、ブドウの栽培やワインの醸造において、自然に寄り添う方法で造るワインのこと。一方、ビオワインは日本で生まれた造語で、有機栽培のブドウを使って造るワインを意味することが多い。ただ日本では、酒類に「有機」や「オーガニック」を表示する場合は、国税庁の表示基準を満たす必要があるが、「ビオ」や「ビオワイン」という表示には基準や明確な定義はない。
Q.日本酒の山廃酛のルーツ、知ってる?
A.酛(酒母)は、蒸し米、水、麹に酵母を加えて培養したもので、雑菌の繁殖を抑えるために乳酸菌を加える。天然の乳酸菌を使うものを生酛というが、昔ながらの手法のため時間も手間もかかる。中でも重労働なのが米をすりつぶす山卸の工程。明治時代に山卸を省略する方法が考案され、それを山卸廃止酛、略して山廃酛という。
Q.同じ原料でビールとウイスキーができる
醸造酒と蒸留酒の違いは?
A.醸造酒は、穀類や果実などの原料に酵母を加えて発酵させたもの。蒸留酒は、穀類や果実などの原料を発酵させたものを蒸留して造る。極端にいえば、醸造酒のビール、ワイン、日本酒を蒸留すると、ウイスキー、ブランデー、米焼酎になる。ただ実際には、工程や製法が異なるため、美味しいものができるというわけではない。
Q すべての酒蔵がドメーヌ化する時代も近い!?
A.フランスワイン、特にブルゴーニュワインでよく耳にするドメーヌは、畑を所有し、自ら栽培したブドウを醸造してワインを造る生産者を意味する。日本酒では、契約農家を含めて、原料である米を購入して酒を造るところが多いものの、土地に根ざした酒造りを追求する中で、自社で米をつくるところから取り組む酒蔵も出てきている。
Qジンは一番自由な酒!?
A.ジンは、サトウキビやトウモロコシなどの穀物を原料に造った蒸留酒に、ジュニパーベリー(ネズの実)をはじめとする植物(ボタニカル)を加えて再蒸留するのが基本の造り方。ジュニパーベリーが必須な以外は、ベースとする酒や加えるボタニカルの種類、蒸留方法にも制限はないのが特徴で、日本のクラフトジンではユズや山椒など、和の素材を使ったものもある。
text: Miyu Narita photo: Atsushi Yamahira, Yamato Nakano
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