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幕末の京都、名場面に会いに行く

2020.11.4
幕末の京都、名場面に会いに行く
大政奉還の発表が再現された大広間!

NHK大河ドラマでも注目を浴びた幕末維新。多くの志士たちが駆け抜けた痕跡をたどりながら動乱の京へと心を馳せる旅を、幕末維新史の達人に案内してもらいましょう。

京都といえば、訪れるところに困らない世界有数の観光都市。神社仏閣やグルメから映画ロケ地&アニメ聖地めぐりまで目的もさまざまだが、ここでは幕末維新期に特化した愉しみ方を提案したい。ナビゲートしてくれるのは、幕末維新を専門とする日本唯一の博物館で学芸課長を務める木村武仁さん。坂本龍馬から入り、西郷隆盛、新選組と研究対象を広げ、メディアでも引っ張りだこの名物学芸員だ。今回は、木村さんおすすめのスポットを訪ねる。

さて幕末といえば、2018年のNHK大河ドラマ『西郷どん』によるムーブメントに乗って、17年に没後150年を迎えた坂本龍馬や大政奉還を成した徳川慶喜、幕府と敵対していた長州藩士の桂小五郎、そして何より京のまちを縦横無尽に駆け抜けた新選組への関心もさらなる高まりを見せている。当時の趣を残したままの建物がそこかしこにあり、彼らが見たであろう風景を眺められ、彼らの痕跡を間近に体感できるとあっては、うっとりどころか胸アツが過ぎるというもの。身体は現在にありながら、心は時空を超えて幕末へとトリップ。ここ京都だからこそかなえられる贅沢な旅へ、いざ。

元離宮二条城
住所|京都市中京区二条城町541
時間|8:45〜16:00(閉城17:00)※9月は8:00〜
休城日|12月29日〜31日
二の丸御殿観覧休止日|1・7・8・12月の毎週火曜、12月26日〜28日、1月1日〜3日
料金|入城料一般600円、中高生350円、小学生200円/二の丸御殿観覧料400円(一般のみ)
Tel|075-841-0096

二条城
江戸時代のはじまりと
終わりを見届けた城

1603(慶長8)年、京都御所の守護と将軍上洛時の宿泊所として徳川家康によって造営された。大政奉還の舞台となったことでも知られ、1994(平成6)年に世界文化遺産に登録された。家康が建てた城に家光の指示の下、絵画・彫刻などが加わり、桃山時代様式の全貌を間近に見ることができる。

『大政奉還』(邨田丹陵作)聖徳記念絵画館所蔵

慶応3年10月12日、慶喜は京都にいた側近に、13日には諸大名の重臣に大政奉還の意志を伝えた。翌14日に朝廷へと上奏文が提出されたことにより、260余年も続いた徳川政権が終焉を迎える。

京都幕末事件簿
わずか6年ほどの年月の間に、驚くほどドラマチックな出来事が続いた幕末維新期。激しくぶつかり合うそれぞれの志が引き起こした事件を、いま一度確認しておこう。

文久2年(1862)
・松平容保が京都守護職に

文久3年(1863)
・229年ぶりに将軍上洛
・家茂が攘夷実行を5月10日とする上奏を行う
・下関事件が起こる
・薩英戦争が起こる
・薩会同盟が成立
・八月十八日の政変が起こる。
・長州藩や攘夷派の公家が京都から一掃

元治元年(1864)
・池田屋事件発生。攘夷派浪士が新選組に襲われる
・禁門の変。長州藩が御所に迫るも、敗退
・第一次長州征伐
・下関戦争

慶応2年(1866)
・薩長同盟成立。京都で西郷隆盛と桂小五郎が会談
・第二次長州征伐。薩摩藩は出兵せず
・将軍・家茂が病没
・徳川慶喜が15代将軍に就任
・孝明天皇崩御

慶応3年(1867)
・明治天皇が践祚(せんそ)
・徳川慶喜が二条城で大政奉還
・近江屋事件。坂本龍馬、中岡慎太郎が暗殺される
・王政復古の大号令が出る。小御所会議が行われる
・徳川慶喜が大坂城へ移る

慶応4年(1868)
・鳥羽・伏見の戦い。戊辰戦争がはじまる

 

幕末の京都、再発見の旅

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text: Ryoko Yamada photo: Katsuo Takashima, Koan Kubota 地図=アルト・ディー・クラフト map: ALTO D CRAFT
Discover Japan TRAVEL 2019年号『プレミアム京都2019』


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