「36ぷらす3」 JR九州の新観光列車でめぐる旅
九州は色で旅する。~vol.4 青編~

2020.10.18 PR
「36ぷらす3」 JR九州の新観光列車でめぐる旅<br>九州は色で旅する。~vol.4 青編~

2020年10月16日からJR九州の新列車「36ぷらす3」の運行が始まります。木曜から月曜までを赤、黒、緑、青、金と色分けし、5つのルートで新しい旅の提案。それぞれに7つ、計35のエピソードを乗せて九州を一周しながら、その魅力を「色」で再発見できる仕掛けです。

Discover Japanでは、色をテーマにした九州旅の連載を2020年7月からスタート。第4回目となる今回は、島全体が御神体である沖ノ島を出発地点にして、「青」をテーマにした旅をご紹介します。

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▼JR九州36ぷらす3
www.jrkyushu-36plus3.jp

あらゆる命と歴史、文化を育む
世代を超えて守り続けたい青

玄界灘の中央に浮かぶ絶海の孤島・沖ノ島は、島全体が御神体。1700年以上前から信仰の対象とされ、その遺跡はほぼ手つかずの状態で守られてきた。一般人が入島禁止の沖ノ島をはるか彼方に望む大島で、人々は海や空など、沖ノ島を見渡す「青」の風景そのものに神の存在を感じ、遥拝してきたのだろう。そんな「青」に思いを馳せ、今回の旅に出発したい。

高宮祭場
古代祭祀の姿をいまに伝える、全国的にも珍しい社殿のない祭場。沖ノ島と並ぶ最も神聖な場所で、ここに宗像三女神が降り立ったと伝わる。毎月1日と15日に月次祭が斎行されている

宗像大社は、沖ノ島の中津宮(なかつみや)に、大島の湍津姫神(たぎつひめのかみ)に、九州本土の辺津宮(へつみや)に市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)と、宗像三女神を祀る。宗像が面する玄界灘は、沖合に三角波が立つ荒々しい海で、元寇など外敵を退けてきたが、この地を治めていた古代豪族・宗像一族は航海術に長け、荒波を乗りこなしていた。天照大神の神勅により宗像に降り立った宗像三女神が海路の安全を守ることで、大陸との交易が盛んになり、宗像は国際貿易都市として栄華を誇り、宗像三女神への信仰も広がっていった。

〈Blue 1〉青い島

宗像大社沖津宮遙拝所
九州本土から船で15分の大島にある。見聞きしたことを口外してはならない「不言様(おいわずさま)」の掟に守られる沖ノ島を遥拝する場所。晴れた日には沖ノ島を望める
宗像大社 辺津宮
宗像大社の総社。1578年に再建された本殿は、流れるようなフォルムの「五間社流造(ごけんしゃながれづくり)」。境内には沖津宮と中津宮の分社も祀られ、三宮すべてに参拝できる

2017年には、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として、「宗像大社」の三宮と「新原(しんばる)・奴山(ぬやま)古墳群」を中心にした8つの資産が、ユネスコの世界遺産に登録。「神社神道の根元にあるのは、自然への畏怖畏敬と、感謝の心です」と宗像大社の権禰宜(ごんねぎ)・長友貞治さん。「神事に使うアカモクやカジメなどの海藻も、海の汚染により、数十年前に比べるとずいぶん少なくなってしまいました。自然の力が回復しなければ、それに宿る神の力もあらわれ難いとも考えられます。なんとかしなければならないという危機感をもっています」。世界遺産の登録に際しては、スピリチュアル、漂着ゴミで汚染された海の現状を発信し、環境保全を訴えるエコロジー、そしてアニミズムの3つのキーワードを軸に説明することで世界に認められる遺産となった。

宗像大社 中津宮
「中津宮」は、御嶽山の山頂にある祭祀遺跡を起源とし、海に面した高台に位置。「牽牛(けんぎゅう)神社」、「織女(しょくじょ)神社」がある七夕伝説発祥の地。縁結びのご利益も
新原・奴山古墳群
沖ノ島の祭祀や大陸との交流を担った宗像一族の墳墓群。当時は海上を行き交う船からも古墳群が見渡せた。海を意識した造りは宗像一族の勢力を感じさせる。5〜6世紀に築かれた

宗像大社
住所|福岡県宗像市田島2331
Tel|0940-62-1311

〈Blue 2〉青を夢見て

昔ながらの釜炊き製法・ケン化法で石けんをつくる「シャボン玉石けん」の本社工場

宗像大社の境内では、海を汚さず生態系も壊さない「シャボン玉石けん」のハンドソープが採用されている。無添加の石けんは、海や川に流れつくと微生物や魚の栄養源になるという。自然環境に配慮したものづくりの姿勢も、多くの人から支持されている。

洗濯用石けん「シャボン玉スノール」や手洗い用など多様な石けんを展開

シャボン玉石けん
住所|福岡県北九州市若松区南二島2-23-1
Tel|093-791-4800

〈Blue 3〉献上の青

海を渡って博多織も発展。鎌倉時代に高僧・聖一国師と宋に渡った博多商人・満田彌三右衛門は、織物の技法を持ち帰り、博多織の起源をつくった。

しなやかで丈夫な絹織物で、約780年の歴史を受け継ぐ伝統的工芸品「博多織」。代表的な献上柄は、江戸時代に福岡藩主・黒田長政公が幕府に献上したことがはじまりだ。その色は、古代中国の五行説と結び付け、「智」と呼ばれる紺色など五色あったと伝えられる
博多織の献上柄は、真言宗では煩悩を打ち砕くとされる法器「独鈷(どっこ)」と花を散布するための「華皿」を図案化

博多織
取材協力|博多織工業組合
住所|福岡県福岡市博多区奈良屋町5-10
Tel|092-409-5162

〈Blue 4〉青は旨い

大分のブランド魚・関あじ関さばにも注目したい。佐賀関が面する豊予海峡の海中には深い海溝があり、瀬戸内海と太平洋の水塊がぶつかり合うなど、潮流が速い場所だ。さらに夏場は、栄養分が豊富な湧昇流が強まり、餌となるプランクトンが増殖。よく食べて太り、よく締まった「関もの」は、食通を唸らせる高級魚として名高い。

「あまべの郷 関あじ関さば館」は、注文を受けてからさばくため鮮度抜群。ともに年中味わえるが、関あじは8〜9月、関さばは冬が特に美味!
料理提供:あまべの郷 関あじ関さば館
太平洋と瀬戸内海を結ぶ豊後水道、「速吸の瀬戸」で一本釣りし、佐賀関で水揚げする「関あじ・関さば」。潮流が速くアスリートのように締まった魚を、傷めないよう手を触れずに見た目で値をつける「面買い」を採用。さっぱりとした味わいで刺身が絶品

関あじ・関さば
取材協力|大分県漁業協同組合 佐賀関支店
住所|大分県大分市大字佐賀関2016-4
Tel|097-575-0511

〈Blue 5〉青の誘惑

小石原焼の窯元で生まれた太田潤さんのガラス工房。沖縄で腕を磨き、再生ガラスを手吹きして作品を生み出す。藍色やスカイブルーなど、青の繊細な濃淡は吸い込まれてしまいそうな美しさ。気泡をあえて残して自然な表情を生かす、陶器のような質感を目指している。

太田潤手吹き硝子工房
住所|福岡県朝倉郡東峰村大字小石原899
Tel|0946-74-2780

〈Blue 6〉鬼伝説と青

1300年前に山岳宗教・六郷満山が開山した神仏習合の地・国東半島。毎年旧正月に、僧侶が鬼の面をつける伝統行事「修正鬼会」が行われる。「国東では、鬼は仏の化身として親しまれています」と話すのは岩戸寺の住職・上田大祐さん。境内で青色の鬼守を発見!

地元では「鬼さん」と呼ばれることも多い国東半島の鬼。災いを払い、身を守ってくれる「鬼守」500円

岩戸寺
住所|大分県国東市国東町岩戸寺1232
Tel|0978-77-0537

〈Blue 7〉青の名作

競秀峰のトンネル「青の洞門」。江戸時代、岩壁の難所を安全に渡れるよう、禅海和尚が30年かけて掘り抜き、いまもノミと鎚の跡が一部残る。この話をもとに、菊池寛は恩讐を超えた人情を描く小説『恩讐の彼方に』を完成させた。

青の洞門
取材協力|耶馬渓風物館
住所|大分県中津市本耶馬渓町曽木2193-1
Tel|0979-52-2002

「青」をめぐる旅では、命を育み、大陸との交流を結び、恵みをもたらす海に、あらためて畏敬の念を感じるはずだ。海の恩恵を受けながら、たくましく生きてきた人々の歩みに触れて、明日への活力ももらえるだろう。

「36ぷらす3」とは?
九州の魅力がぎゅっーと詰まったD&S列車。テーマカラーが異なる5つのルートに九州を楽しむ35のエピソードを詰め込んで乗客を迎えてくれる。

車両数|6両編成
席数|103席(全席グリーン)
施設|ビュッフェ、マルチカーなど
商品概要|食事付きの「ランチプラン」ときっぷのみで気軽に乗れる「グリーン席プラン」の2種類。木曜ランチプランは大人1名2万500円〜
▼詳細はこちら
www.jrkyushu-36plus3.jp/guidance/

Rail Data
木曜|博多▶熊本▶鹿児島中央
金曜|鹿児島中央▶宮崎
土曜|宮崎空港・宮崎▶大分・別府
日曜|大分・別府▶小倉▶博多
月曜|博多▶佐賀▶長崎▶佐賀▶博多

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九州は色で旅する。
1|~赤編~
2|~黒編~
3|~緑編~

4|~青編~

5|~金編~

text=Nozomi Kage photo=Hiromasa Otsuka
Design&illustration by Eiji Mitooka + Don Design Associates
2020年11月号「あたらしい京都の定番か、奈良のはじまりをめぐる旅か。」


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