山田遊さん推薦
何度も手を洗いたくなるハンドソープ
本誌でもおなじみの各業界で活躍する著名人に、おうち時間の過ごし方やアイデアを聞く《DJ的・おうち時間の充実計画》。コロナ騒動で生活の細部に意識が向き、重要な習慣として定着した「手洗い」。バイヤーの山田遊さんにおすすめのアイテムを紹介してもらった。
山田 遊(やまだ・ゆう)
1976年、東京都生まれ。南青山のIDÉE SHOPのバイヤーを経て、2007年、methodを立ち上げ、フリーランスのバイヤーとして活動を開始。店づくりを中心に、モノにまつわるさまざまな仕事を行う。主な著書に『デザインとセンスで売れる ショップ成功のメソッド』がある
最も重要な日課となった「うがい」と「手洗い」
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、政府や東京都からの自粛要請、また、緊急事態宣言の発令に伴って、都内では休業する店が増えてきた。そして、確実に街からは人々の行き交う姿も失われつつある。こんな東京の風景を見るのは、9年前に起こった東日本大震災の発生直後以来だ。
見慣れているはずなのに、まったく別の場所にいるような、久々に抱くこのなんともいえない違和感。そして普段の姿からかけ離れてしまったせいか、ある種の新鮮さが混ざり合った不思議な感覚を、いま再び思い返しながら、ここのところ毎日、一変した街の景色を眺めつつ、日課の散歩を続けている。
3月初旬、会社で在宅勤務化を決めてから、早や1カ月以上が経った。それまでの、仕事に追われ、打ち合わせや移動を続ける僕の生活は一変し、家の中で過ごす時間が、最近では大幅に増えた。日中はテレビもつけず、インターネットやSNSに流れる情報をなるべく見ないようにして仕事をして過ごしていると、時間は淡々と流れていく。
作業もはかどるし、そもそも抱えていた仕事のほぼすべてが延期や中止、また、店や施設も休業となり、いますぐにすべきことだってあまりない。まるで、どこか遠くの、小さな街で暮らしているような気分にさえなってくる。東京にいることが信じられないくらい静かな日々だ。
もともとは時間のない中で、いかに素早く仕事を終わらせるか、ということばかりに集中し、次々と作業をこなしていくことが、どうも芯から身に染みついてしまったようで、一転、世界がこんな状況になると、今度は時間をもて余すようになる。当初はそんなときをゆったり楽しんではいたものの、10日も過ぎると、次第に不安が頭をもたげてくる。
いつまで続くのか、皆目見当もつかないこの先行きの不透明さを憂い、仕事や会社、そして生活を、今後維持できるのかどうかを危惧し、日々の活動の不自由さと、それがもたらす寂しさを嘆く。気分転換にどこか遠くへ行ってしまいたいのはやまやまだが、けれどもいまの世の中は、それもままならない様子でもある。
漫然と何もせずにいると不安になるからこそ、日課を決め、規則正しい生活を送るようにする。仕事以外では、散歩と適度な運動を兼ね、マスクを必ずつけて最低限の外出。読書をする。テイクアウトやデリバリー以外の外食が減り、自炊が増え、掃除や洗濯などの家事も空いた時間にてきぱきこなす。
感染症予防に大事な、十分な睡眠と入浴。免疫力を高めるために、乳酸菌をはじめとしたサプリも毎朝とる。ただ、僕はもちろん、多くの人々にとっても、最も重要な日課として加わったのは、おそらくこまめで丁寧な「うがい」と「手洗い」ではないだろうか?
正直なところ、ここまで意識して一日に何回も手洗いをするのは、生まれてはじめての経験だ。しかし、数カ月の間、丹念に回数を重ねていけば、自然、質を求めるようになる。家の中ではもちろん、外でも洗うので、違いがよりわかってくる。タオルやハンカチもそうだが、水温とハンドソープは特に重要だ。
いろいろと使う中でたどり着いた、いまの僕のお気に入りは、「Cul de Sac JAPON」の「HIBA WOOD HAND SOAP」。天然の青森ヒバに含まれる、ヒノキチオールやβ-ドラブリンという成分を含んだ、抗菌作用の高いハンドソープは、手を洗うたびにヒバの木の香りが、何だか気分まで爽やかにしてくれる。また、何度洗っても手がしっとりと保湿されるのも、とてもうれしい。
きっと、この新型コロナウイルスの感染が収束した後も、この突然起こった生活の大きな変化についての記憶とともに、手洗いとうがいは、きっと多くの人々の中でも重要な習慣として残り続けていくことだろう。そして僕は、職業としてだけではなく、一人の生活者として、人々の何気ない生活に潜む事柄や行為の質を、これからも追い求め続けていくだろう。
Cul de Sac JAPON 「HIBA WOOD HAND SOAP 」
青森の木材店が実家の店主が立ち上げた青森ヒバプロダクツ・ブランド。青森ヒバの成分を含んだ抗菌力の高い液体石鹸は、フレッシュな香りと、細やかな泡立ち
価格|2640円(300㎖)
http://culdesac.jp
入浴と睡眠も見直したいアナタに……
ヤングビーナス薬品工業 「湯躍 月白」
「江戸時代から伝わる、別府の湯の花の成分をじっくりと抽出、精製することで、療養泉の濃度の約1000倍もの温泉成分が含まれる湯の花エキスを配合した薬用入浴剤。浴槽を傷め、特有の臭いを放つ硫黄は取り除かれており、無香料に加えて、3種類の香りの展開も。自宅のお風呂で、本格的な温泉湯治を毎日楽しんでいます」
価格|2970円(1500g) ※ほか、容量展開あり
https://yuyaku.shop/merchandises
THE PUBLIC ORGANIC 「ポリスティック精油ピローミスト」
「日々蓄積されるストレスにより、日本人の5人に1人が抱えているといわれる睡眠の悩み。睡眠治療と精油研究の専門家とともに、心と身体の状態を整えるオーガニックの精油を独自にブレンドして開発した、さまざまな眠りの悩みに応えるピローミスト。最近、よく眠れなくてとふと漏らした際にいただき、以来、愛用し続けています」
価格|3080円(60㎖)
https://shop.colours.co.jp
執筆=2020年4月10日
text=Yu Yamada photo=Kazuya Hayashi
2020年6月号 特集「おうち時間。」