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「やんばる」とはどのエリア?
沖縄本島北部の世界に誇る
“自然環境”と文化が息づく地域

2025.8.16
「やんばる」とはどのエリア?<br>沖縄本島北部の世界に誇る<br>“自然環境”と文化が息づく地域

琉球列島最大の島・沖縄本島の北部にある「やんばる」。世界自然遺産に登録されており、世界的にも貴重な森林や美しい海、そして独自の文化が育まれる魅力的なエリアだ。2025年7月に大規模テーマパークが開業するなど、いま注目を集める。豊かな自然や健康長寿の食文化、手仕事など、やんばるの魅力に迫る。

「やんばる」はどのエリア?

「やんばる」は広く沖縄本島北部を示す言葉。明確な範囲は決まっていないが、一般的には名護市以北のエリアを指すことが多い。最北部の3村・国頭くにがみ村、大宜味おおぎみ村、東村(やんばる3村)には、亜熱帯照葉樹林が広がっており、一部は国立公園に指定、そして世界自然遺産にも登録されている。

〈やんばる3村 基本DATA〉
面積|340.23㎢(うち173.52㎢が国立公園)
人口|7800人(国頭村4512人、大宜味村2987人、東村301人)
気候|亜熱帯海洋性気候

沖縄本来の
生物多様性が残る“奇跡の森”

「国頭村森林公園」の光景。黒潮や台風などの影響で雨量が多く、温暖な気候となるため豊かな森が形成される。亜熱帯地域に森林があるのは世界的にも珍しい。スダジイなどのブナ科植物やヒカゲヘゴなどで構成される極相林が広がる

「やんばる」を漢字で表すと「山原」。これは「山々が連なり、森の広がる地域」を意味する言葉だ。やんばる地域の森林率は80%以上にもなり、この森が生物や人々の暮らしをつくってきた。

やんばるの森の最大の特徴は生物多様性の高さだ。やんばる3村の面積は国土の0.1%以下にもかかわらず、日本に生息する鳥類の約半分、在来のカエルの約4分の1もの種数が確認されている。

また琉球列島は、大陸や日本本土とつながったり離れたりを繰り返してきた歴史をもつことから、ヤンバルクイナをはじめとする固有種も数多く生息。生物学的にまとまりのある、沖縄本来の森林の姿が保存されているといえる。

人々の暮らしにもやんばるの森は欠かせない。島の中南部には山がなく、琉球王国時代から近年まで建築資材や薪、炭の生産・供給地としての役割を担っていた。

そして自然素材を生かした、伝統的な手仕事も。たとえば、バショウ科の植物である糸芭蕉の繊維を糸にしてつくる織物・芭蕉布ばしょうふや、月桃や竹などを使った籠や箒といった暮らしの道具づくりはいまも受け継がれる。

そして健康長寿の村として知られた大宜味村へは、その長寿の秘密を求めて海外から多くのゲストが訪れている。

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《黙々100年塾 蔓草庵》で
やんばるの伝統工芸に出会う

 
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長寿の村の伝統食を愉しむ
やんばる《笑味の店》

 
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取材協力: やんばる自然保護官事務所 text: Discover Japan photo: Yukiko Shiraki
2025年7月号「海旅と沖縄」

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