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渋谷パルコ《小西光裕 ミニ個展》
彫刻のような造形美が光る、真鍮×ステンレスのカトラリー

2025.7.3
渋谷パルコ《小西光裕 ミニ個展》<br> 彫刻のような造形美が光る、真鍮×ステンレスのカトラリー

真鍮とステンレスの組み合わせが印象的な小西光裕さんのカトラリー。食事の際、ワンランク上のカトラリーを並べると、食卓が華やぎリッチな印象になる。東京・渋谷パルコにて2025年7月5日(土)~7月13日(日)にかけて、《小西光裕 ミニ個展》を開催。日常からハレの日まで、あらゆるシーンで活躍する、その魅力に迫ります。

※個展初日は整理券が必要です。詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)、または公式オンラインショップをご確認ください。

Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を7月8日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)

小西光裕(こにしみつひろ)
1981年、兵庫県宍粟市生まれ。沖縄県立芸術大学大学院修了。2019年に「物|事 田疇(もの|こと でんちゅう)」を開廊。

細部に宿るデザインが光る

細部まで計算されたフォルムはアート作品さながら。手にすっとフィットする心地よい使用感で、使うたびに気分が上がる

作家にはふたつのタイプがいる。即興的に感覚で創作する人と、緻密な設計図の下にものづくりを進める人。小西光裕さんは後者。ドローイングを繰り返し、納得のいくデザインを見出した上で試作に入り、ようやくひとつのカトラリーが生まれる──。

家族の気配が感じられる仕事場
開放感のある仕事場。2階には大きな机があり、ドローイングや紙での試作時に使用。「家と仕事場が中庭でつながっていて、家族の過ごし方がなんとなく気配でわかる感じが好きなんです」

ものづくりに興味のあった小西さんは、縁あって沖縄の芸術大学に進学。彫刻を専攻したのだが、当初は素材選びに悩んだ。

「沖縄は自然のパワーが強過ぎて、石や木などの天然素材と自分が、うまく調和しなかったんです。その点、金属は無機物でちょうどいい距離感を保つことができたので、素材として起用することにしました」と、小西さんは当時を語る。

自分を制限しないことが大切
作業中でも、アイデアが思いついたらすぐメモを取ったり、関係のないドローイングをしたり、立ったまま読書したり。仕事と遊びのバランスを意識することが、効率よく作業するコツ

大学院を修了後、そのまま助手として学校で働いていたときに、沖縄のうつわ店からカトラリーの依頼を受ける。彫刻ひと筋だった小西さんはためらいつつも、試しに一本つくってみたところ予想以上に評判がよく、徐々に知り合いの輪も広がっていった。

「なんか、いいなって思ったんです。スプーンやフォークは気軽に使ってもらえて、たくさんの人に喜んでもらえる。同じテーブルウェアでもうつわの場合は料理がのってようやく完成するものですが、カトラリーはそれひとつで完結するところも気に入ったポイントのひとつです」

こうして彫刻からジャンルを転向し、作家としてデビュー。現在は故郷・兵庫を拠点に、真鍮とステンレスを組み合わせた金属カトラリーを制作している。

口に当たる部分はステンレスを使用。表面に広がる凸凹の槌目模様がアクセント。使うほどに経年変化が楽しめるのも魅力だ

口に当たる部分や刃の部分はステンレスを使用。鍛造で成形するため、表面にはハンマーでたたき上げる際にできた槌目模様が広がる。一方、柄の部分はフラットに加工した真鍮を採用。異素材・異加工のコンビネーションが斬新で、ハンドメイドでありながら、洗練された印象を受ける。

「カトラリーは机の上の彫刻だと思っています。鍛造ならではの素朴さを残しつつ、シャープな佇まいも意識しています。そのギリギリを狙うのが難しくもあり、楽しくもあるんです」

 流れるような美しいカーブやエッジの立ったフォルムは、小西さんのセンスと技術の賜物。手にすっと馴染み、食卓に花を添える。

 

ドローイングを繰り返して生まれるかたち

鍛造ならではの温もりを感じさせつつ、エッジの立ったラインがモダンな印象を与える。和洋中、さまざまな料理に活躍。

あえて溶接の工程を重ねる

一枚の金属板を一気に加工(へら絞り)するのが一般的だが、本体と底のふたつの部位をわざわざ溶接し、味のある雰囲気を表現。

和の道具を洋で表現

和菓子を食べる際に使う黒文字(楊枝)から着想を得てつくったナイフ。流れるようなデザインに、食べる所作まで美しくなりそう。

和にも洋にも合わせたい
《小西光裕》のカトラリー
作品ラインアップ

価格|4180円 サイズ|W150×D29×H10㎜ 重量|20g

Tea spoon
定番のティースプーンだが、口に当たる部分と持ち手の境目に、切り込み風の装飾をつけて遊び心をプラス。シンプルでありながら、こだわりが詰まった一本。

価格|5060円 サイズ|W180×D12×H4㎜ 重量|34g

Dessert knife
何度もドローイングし、美しさと使いやすさの絶妙なバランスを追求したナイフ。刃の上部につけたゆるやかなカーブがアクセント。指を添えた際のフィット感も◎。

価格|5390円 サイズ|W205×D22×H20㎜ 重量|37g

Dinner fork
「あまりにもシンプルだと味気ないから」と、くぼみ(腹)に開けたふたつの穴がデザインのポイントになっている。パスタからサラダまで、あらゆる洋食に活躍。

価格|4950円 サイズ|W130×D7×H2㎜ 重量|14g

Wagashi knife
知り合いの茶屋から「和のしつらえにも合うカトラリーが欲しい」との依頼を受けて制作したナイフ。和菓子はもちろん、カヌレなどの洋菓子にもよく合う。

価格|6380円 サイズ|W135×D42×H22㎜ 重量|54g

Coffee measure
職人が自分専用につくった“無骨なメジャー”をイメージした一品。本体と底をわざわざ溶接するなど、制作にはかなりの手間がかかっている。コーヒーブレイクに。

価格|6270円 サイズ|W175×D63×H24㎜ 重量|87g

Serve spoon SL
取り分け用のスプーン。細長い形状のものが多い中、あえてコロンと丸いかたちに仕上げた。穴開きタイプなので、適度に汁切りもできて便利。大皿料理に添えたい。

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個展作品の一部がオンラインで買える!

公式オンラインショップ

小西光裕 ミニ個展(うつわ謙心)
会期|2025年7月5日(土)~13日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※初日に整理券配布予定。
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。 
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。

text: Misa Hasebe photo: Shiho Akiyama
2025年8月号「道をめぐる冒険。」

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