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風景写真家 山梨勝弘が撮影する絶景
今年こそ見たい日本の紅葉ベスト5|西日本編

2020.9.27
風景写真家 山梨勝弘が撮影する絶景<br><small>今年こそ見たい日本の紅葉ベスト5|西日本編</small>

東西に細長く、高度の大小が豊かな日本列島。時期をたがえて、各地で紅葉の見頃を迎えます。各分野で活躍する写真家が撮影した、鮮やかな紅葉の風景を4回にわたって紹介する《今年こそ見たい日本の紅葉ベスト5》。第2回目は、風景写真家・山梨勝弘さんが撮影した西日本の絶景です。

写真家
山梨 勝弘(やまなし・かつひろ)
絵葉書出版社にて4年間、観光地を撮影。その後、経験を生かしてキャンピングカーで全国を行脚、自然風景を撮り続ける。撮影の合間に浸かる湯、旅先で出合う旨い酒と肴を愛する

変化に富んだ渓谷を紅葉が華やかに彩る
鬼の舌震

揖斐川の支流の大馬木川の約2.5㎞にわたるV字渓谷。折り重なるようにして転がる岩が、粗削りな自然の風景をつくり出している。

「写真は上流のほうで、割とおとなしい雰囲気。このあたりの紅葉が最もきれいです。下流は、巨大な岩石がゴロゴロしています」

鬼の舌震には、上流と下流、どちらからでも立ち入ることができ、上流側の下高尾駐車場はバリアフリーの遊歩道が完備されている。また、近くの絲原(いとはら)家庭園の紅葉も美しい。粗削りな自然、つくり込まれた庭園と、異なる環境で紅葉の美を楽しむのも一興だ。

見頃|2020年10月下旬~2020年11月上旬

鬼の舌震
住所|島根県仁多郡奥出雲町
アクセス|松江自動車道高野ICから車で約30分

西日本一の滝と紅葉のコラボレーション
神庭の滝


高さ110m、幅20mの西日本一落差の大きい滝。

「滝の直下まで行けますが、実は少し離れたところからのほうが、滝全体を見られて美しい。色づいた木々の間から見える神庭の滝の姿は感動的です」

滝から10㎞ほどの距離にある「湯原温泉」は、西の横綱といわれるほどの温泉地。中でも、川底の砂を噴き上げて湯が湧いていることから「砂湯(砂噴き湯)」と呼ばれる3つの天然露天風呂は見逃せない。ダム直下にあることから、放流のタイミングに合えば、湯に浸かりながら迫力のダムの放流シーンを楽しめる露天風呂でもある。

見頃|2020年11月上旬~2020年11月中旬

神庭の滝
住所|岡山県真庭市神庭640
入場時間|8:30~17:15
入場料|300円
アクセス|米子自動車道久世IC、湯原ICから車で約25分

湯気が立ち上ぼる雲海を見下ろす
由布岳

幻想的な雲海の下には、有名な由布院温泉が。

雲海の正体は、由布院温泉からの湯気だ。秋口になって気温が低くなってくると、多くの湯気が立ち上がり、雲海が出やすくなるという。

「由布院から阿蘇へと続く道の途中にある、蛇越峠の展望台が絶景ポイント。おすすめは朝。雲海越しに見る日の出の美しさは格別です」

もちろん、由布院温泉にも立ち寄りたい。
「由布院温泉は、田園地帯に点在する温泉地。自然の景観が壊されていないところが魅力です」

由布岳を望みながら湯に浸かる……。そんな最高の贅沢を味わいたい。

見頃|2020年10月中旬〜2020年11月上旬

由布岳
住所|大分県由布市
アクセス|JR由布院駅からやまなみハイウェイを阿蘇方面に車で約15分

朝靄に包まれる幻想的な湖畔
金鱗湖

周囲400mの温泉が湧く池。朝もやに包まれた金鱗湖は幻想的。その朝もやは、由布院温泉からの湯気が元で、気温が上がってしまうと消えてしまう。そのため、早朝から池のほとりを散策する観光客も多い。池の近くには昔ながらの共同浴場、「下ん湯」などの立ち寄り温泉も。

「金鱗湖のすぐ脇にある“Cafe La Ruche”は、早朝(日曜、祝日のみ7:00~)からオープンしていて、テラスでお茶を飲みながら朝もやに包まれた金鱗湖の幻想的な風景を楽しむこともできます。ここは私のお気に入りです」

見頃|2020年11月上旬〜2020年11月中旬

金鱗湖
住所|大分県由布市湯布院町
アクセス|JR由布院駅から徒歩約25分、大分自動車道湯布院ICから車で約10分

闇夜に照らし出される鮮やかな紅葉
奥津渓

奥津温泉から下流に位置する。ライトアップ(2020年10月31日~11月15日 日没~21:00頃)時期には、昼と夜と1日に2度、奥津渓を訪れる人も多い。ここは甌穴(おうけつ)でも有名。甌穴とは、侵食により形成された河原の岩盤に開いた、石臼のような穴のこと。

「奥津渓の近くにある大釣温泉から臼渕の甌穴群までの道程の景観が特に素晴らしい。中でも、途中の橋上から望む景観は絶景です。赤、黄など、色とりどりの紅葉が渓谷を彩ります」

美人の湯として知られる奥津温泉で行われる「足踏み洗濯」(日曜、祝日の8:30~)は名物となっている。

見頃|2020年10月下旬~2020年11月中旬

奥津渓
住所|岡山県苫田郡鏡野町奥津川西
アクセス|中国自動車道院庄ICから車で約25分
※奥津もみじ祭り期間中は交通規制あり

text=Keiko Kusuda photo=Katsuhiro Yamanashi
2017年11月号「この秋、船旅?列車旅?」


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《今年こそ見たい日本の紅葉ベスト5》
1|風景写真家・山梨勝弘が撮影する絶景~東日本編~
2|風景写真家・山梨勝弘が撮影する絶景~西日本編~
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4|温泉カメラマン・杉本圭が撮影する絶景温泉

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