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渋谷パルコ《青木良太 個展》
削ぎ落された機能美で魅了するうつわ

2024.11.29
渋谷パルコ《青木良太 個展》<br>削ぎ落された機能美で魅了するうつわ

想像を遥かに超える作品で人々を魅了する青木良太さん。2024年11月30日(土)~12月15日(日)にかけて、東京・渋谷パルコのDiscover Japan Lab.にて開催される「青木良太 個展」のテーマは「原点回帰」。削ぎ落とされた機能美を堪能しよう。

青木良太 (あおき りょうた)
1978年、富山県生まれ。金や銀など、従来の陶芸では使われない素材を積極的に取り入れ、未知の作品を創造し続ける。国内外の個展のほか、陶芸による現代アートフェスにも参加。若い陶芸家を支える活動にも尽力。

発想の転換で
21世紀の伝統をつくる

「約400年前、茶人の古田織部はいびつで新奇な茶碗を考案し、それはその後、織部焼として日本に定着しました。同じように、私も世の中にないものを生み出したい、21世紀の伝統をつくりたいと本気で思っているんですよ」

真剣なまなざしで話す青木良太さんは、有言実行の陶芸家である。

金平糖など小粒の菓子を入れる茶道具「振出」をタブレット菓子入れにアレンジした「フリ出し」。吉田カバンとコラボレーションした「POTER フリ出しケース」に入れて持ち運ぼう

金、銀、プラチナ。釉薬として使うには非常識ともいえる原料を巧みに操り、絢爛豪華なうつわへと昇華。漆器や金属器と見間違うほど艶やかでシャープな佇まいは、青木さんの代名詞ともいえる。二十数年前に発表して以来、これらのうつわはいまなお国内外で高い評価を得ている。近年、類似品が世に出回るようになっている状況に鑑みれば、まさに彼が、新たなうつわのジャンルを創出したと言っても過言ではない

彫師・美漸(びぜん)氏とのコラボレーションが実現。美漸氏が絵付けを施したチムチムゴッドはまさにアート。個展で本物を見てほしい

また最近は、さまざまな分野のつくり手たちとコラボレーションするなど、あぐらをかくことなく、貪欲に陶芸の可能性を開拓し続けている。勇往邁進する青木さんが今回の個展で発表するのは、デビューしたての頃につくった、シンプルで奥の深いうつわだ。

「『Bol Argent』と『Assiette Blanche』。ふたつのシリーズはともに私が26歳の頃の代表作です。研修生としてスイスに招待されまして、そのときに考案しました。きっかけは、滞在中に触れた現地の食文化です。日本の場合、うつわは手に持って食べるのがマナーですが、ヨーロッパで手にしていいのはグラスだけ。つまりうつわはテーブルに置いたまま使うので、重くても問題ありません。当時の私にはそれが新鮮に映ったのです」

「Bol Argent」
日常使いしやすい、しっとりと輝くシルバー

「自分が欲しいものをつくっています」と青木さん。このシリーズもしかり。ずっしりとした重厚感が圧倒的な存在感を放つ。厚みをもたせつつ、スプーンですくいやすいように、内部にカーブを施している。さりげない気遣いもカッコいい

1. Bol Argent S
価格|4万6200円
サイズ|Φ90×H64㎜
重量|315g

2. Bol Argent M
価格|6万6000円
サイズ|Φ103×H80㎜
重量|535g

3. Bol Argent L
価格|18万7000円
サイズ|Φ190×H74㎜
重量|1760g

「Bol Argent」のBolはフランス語でボウルの意味。その名の通り、重厚なうつわの内側がボウルのようにゆるくカーブしている。

「スプーンですくうのにちょうどいい形状を目指しました。手でうつわを持たなくても食べやすいんですよ。縁の部分は丸みをもたせて欠けにくくしています。お気に入りは長く使いたいですからね」

ずっしり頼もしい佇まいに、しっとりとした質感がよく合う。エッジの立ったシルバー釉のカラーバランスも絶妙だ。

「Assiette Blanche 白磁」
なめらかな質感とマットな白色が、余白を愉しませる

磁器土に釉薬を練り込んでつくることで磁器とは異なる、すべすべとした心地よい質感に仕上がる。また、わざと厚みをもたせて、保温性・保冷性を高めている。そのため温かい料理から冷たいデザートまでOK。一流ホテルでも使われている名品

1.  Assiette Blanche 5
価格|6600円
サイズ|Φ155×H20㎜
重量|275g

2. Assiette Blanche 7
価格|1万3200円
サイズ|Φ245×H28㎜
重量|545g

3. Assiette Blanche 8
価格|1万5400円
サイズ|Φ245×H28㎜
重量|800g

一方「Assiette Blanche」は、赤ちゃんの肌のようなすべすべとした手触り。こちらにも厚みをもたせているが、それには理由がある。

「保温性や保冷性が増すんです。そのため、たとえば温かい料理なら冷めにくく、最後まで美味しく食べられます。磁器土を使っているので強度がありますし、色移りもしにくい。実はすごく考えられているんです(笑)」

「女王様のボナペティプレート」
鮮やかで艶やかな赤色で、テーブルが華やぐ

パッと目を引く鮮やかな赤色。美しい釉薬もさることながら、かたちも秀逸。一見シンプルなプレートに見えるが、高台から縁にかけて、指一本入る程度の高さをもたせている。そのため配膳しやすく、片づけも楽。使いやすいからつい手に取ってしまう

女王様のボナペティプレート
価格|20万9000円
サイズ|Φ270×H25㎜
重量|775g

個展では「Assiette Blanche」の進化系ともいえる「ボナペティプレート」なども展示。いつもの煌びやかな作品とは異なる、ミニマムなうつわの数々。青木さんの違った一面を見に訪れてはいかが?

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個展作品の一部がオンラインで買える!

公式オンラインショップ
 

青木良太 個展
会期|11月30日(土)~12月15日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。

text: Misa Hasebe photo: Yuko Okoso
2024年12月号「米と魚」

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