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梶井基次郎の小説『檸檬』の舞台が復活!京都で立ち寄りたい“アップサイクル”なスポット

2015.10.1

いま、京都に注目のスポットが続々とオープンしている。「最先端」とは逆を行く、伝統的なイメージの強い京都だが、1200年以上積み重ねてきた街の歴史と、そこに新たに重ねられていく「今」のデザインが融合した、他の地域では出せない新空間が生まれている。

これから京都に向かうなら、ぜったい外せない!京都の新スポットを4つご紹介。どれもカフェスペースを併設しているから、街の散策先にもぴったりだ。

1.“本棚の上に檸檬”小説に描かれた風景が復活【京都BAL 丸善 京都本店】

10年前に惜しまれつつ閉店した、河原町通蛸薬師の「丸善」。梶井基次郎の小説『檸檬』の舞台としても描かれた、1872年から続く京都を代表する書店だった(オープン当初は三条通麩屋町)。閉店間際には名残を惜しむ原作ファンがかけつけ、小説の中で主人公が
行ったとおりに、本の上にレモンを置いていった、という話はいまやちょっとした伝説となっている。

その名店が、10年の時を経て今年8月、ついに復活!和書、洋書合わせて約100万冊の蔵書に加え、文具やカフェにも力を入れた店内は総面積1000坪。そして、売場の一角には、ひっそりとレモン置き場が用意されていたり、閉店時に話題となった、本の上にレモンを乗せた絵柄のスタンプもニューデザインで登場するなど、ファンの心をくすぐる仕掛けがいっぱい。併設のカフェでは丸善創業者の早矢仕有的(はやしゆうてき)にちなんだハヤシライス、小説にちなんだ檸檬ケーキなど、スペシャルメニューも味わえる。

○京都BAL
http://www.bal-bldg.com/

2.新たなリサイクルのカタチを発信する町屋づくりのショップ【PASS THE BATON KYOTO GION】

〝ニューリサイクル〞をコンセプトにしたセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」は、以前は愛用していたが、使わなくなってしまったアイテムを個人から集め、モノにまつわるストーリーを添えて販売する人気のショップ。東京・丸の内店、表参道店に続き、ついに京都・祇園に3号店がオープンした。

築120年を超える町屋をリデザインしたショップの店内は、大きな梁、欄間や障子といった日本建築の細部が生かされており、古きよきモノを次世代へ伝えるPASS THE BATONの世界観とリンク。床の間をショーウインドに見立てたり、お座敷にはヴィンテージの着物をディスプレイするなど、その空間だけでも見どころがいっぱいだ。その空間に、和食器からパンプスまで、大切に使われてきたリサイクル品たちが並ぶ。さらに、陣織の「細尾」や京金網の「金網つじ」など、京都の伝統工芸を継承する老舗とコラボレーションした店舗限定の1点モノのプロダクトも。一息つきたくなったら、併設する飲食スペース「お茶と酒 たすき」で、一杯ずつ丁寧に点てられた抹茶や、富士山の天然水を使ったかき氷を。20時からは、お茶をベースにしたオリジナルカクテルなどを出してくれるバーにチェンジ。夜の祇園をたしなんでみては。

○PASS THE BATON KYOTO GION
http://www.pass-the-baton.com

3.京都らしい工芸品が見つかるショップは、お寺の中に【D&DEPERTMENT KYOTO by京都造形芸術大学】

「D&DEPARTMENTKYOTO by京都造形芸術大学」は、なんとお寺の中にあるショップ。京都の伝統工芸品やアートワークを取り揃えながら、京都造形芸術大学と連携して、ギャラリーにイベントに、と、地域住民とのコミュニケーションデザインも行っていく。京都作家やブランドばかりでなく、学生たちが自ら蚤の市で買い付けしたユーズドアイテムも多数展開。ラジオ体操に朝のお勤め。お昼時には参拝へ、そして夕方には散歩……と近隣住民の憩いの場所であった佛光寺の中で、若い感性による、新たなデザイン気づきに触れられる、まったく新しいスポットだ。
定食や甘味が味わえるカフェスペースもあるので、ゆったりと京都の日常を楽しみたい。

○D&DEPARTMENT KYOTO by 京都造形芸術大学
http://www.d-department.com/

 

4.これからの京都の芸術、学びはここから生まれる!?【rondokreanto】

京都市の北東、銀閣寺、大文字山の少し北。京都大学をはじめとする大学や、住宅に混じっての料理店、カフェ、ギャラリー、ブックショップなど、独特のカルチャーをつくる北白川。そこに誕生したギャラリー・カフェ「ロンドクレアント」は民族学者・比較文明学者の梅棹忠夫(1920~2010)の旧邸をリノベーションしている。
学生、学者、ジャーナリスト、作家といった人たちと自宅で飲み交わし、議論を楽しんだという梅棹の“梅棹サロン”は、多くの若い人材が旅立っていった。生まれ変わったギャラリーは、展示室とカフェからなる。純粋な京町屋ではない、当時の流行だった西洋モダニズム様式で建てられた住宅。絵画、彫刻、工芸、学術研究の発表はもちろん、旅の報告会、茶会、パフォーミング、音楽の場など、多様な使い方が可能なrondokreantoは、きっと、訪れるたびにあなたの脳に新たな風と学びの楽しさと心地よさをくれるはず。

○rondokreanto
http://rondokreanto.com/

 

伝統が生きる街並み、そこに日々隣り合わせで住まう人々と、受け継がれ、また新たな価値を吹き込まれるもの。一番古くて、一番新しい街、京都だからこそ生まれた新スポットを訪れれば、いままで知らなかったこの街の顔が見えてくる。

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