《沼田智也 個展》
古典文様にユーモアを交えたうつわ
パンダ、タコ、UFO…。うつわ作家・沼田智也さんの作品には、愛嬌たっぷりのモチーフが多用されている。2023年10月7日(土)〜10月22日(日)にかけて、東京・渋谷パルコのDiscover Japan Lab. では「沼田智也 個展」を開催。その細かな描写や大胆な色遣いを、ぜひ食卓で堪能してほしい。
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沼田智也(ぬまた ともや)さん
1979年、茨城県高萩市生まれ。2003年に京都嵯峨美術短期大学専攻科日本画コース卒業。デザイン会社勤務を経て、’04年より陶芸家・田中いさおさんに師事。’12年に愛知県立窯業高等技術専門校卒業後、郷里で作陶に励む。
「うつわはキャンバス。陶土の個性を見極め、対話をしながら描いていく」
「僕はいつも猪突猛進なんです」
冗談混じりに話す沼田智也さんのこれまでの歩みは、実に複雑だ。絵を描くことが好きで美術短大に入学。日本画を専攻した後、メディアアート科に編入。卒業後は、東京のデザイン会社に入社した。
「ボトルキャップのフィギュア製造のため、中国に2カ月間赴任したりと、楽しい経験ができました。ただ、キャップの大半は、すぐ飽きられて捨てられてしまう。そういったものを大量につくることに疑問を抱くようになって」
帰国後、幼馴染から、彼が弟子入りしている陶芸家のところへ遊びに来ないかと誘われ、軽い気持ちで訪れたのが転機となった。
「陶芸家の田中いさおさんの工房でした。窯焚きの手伝いが楽しくて。土を練って成形して、窯で焼いてうつわにし、最終的に人々の暮らしの一部となる。陶芸家の仕事は嘘がないように思えて、このとき進むべき道が見えましたね」
田中さんの下で修業した後、地元・茨城で独立。ただ陶芸だけで食べていくには、ほど遠かった。
「当時は、作家性の高いものにこだわっていたのですが、普段使いの食器もよいと思うようになって。日本画の知識もあったので、古典文様の染付に方向転換しました。つくった作品を陶器市に出展したところ、ギャラリーの方に目を留めていただき、ようやく陶芸家として本格デビューすることができたんです」
沼田さんのうつわは、シリーズごとに風合いが異なる。数種の陶土を混ぜているのだが、状況によって焼き上がりが変わるからだ。
「焼き上がった後からは、ひたすらうつわとの対話です。僕にとってうつわはキャンバスなので、質感や気分に合わせて、フリーハンドで描いていきます。ただ、あまり真面目過ぎる作風は僕のキャラではないため、時には遊び心も加えています」
沼田さんにどんな使い方をしてほしいかたずねると、「ユーモラスな絵柄に最初は躊躇するかもしれませんが、自分の感性を試す気持ちで、日常でどんどん使ってほしいです」とひと言。使うたびにクスッと笑える瞬間も楽しみたい。
読了ライン
《沼田智也 個展》
作品ラインアップ
沼田智也 個展
会期|2023年10月7日(土)〜10月22日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00〜21:00
定休日|不定休
※最新情報は公式Instagram(@discoverjapan_lab)などで随時紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
※掲載商品は一部であり、店頭にはさまざまなうつわが並びます。
text: Misa Hasebe photo: Norihito Suzuki
2023年11月号「京都」