太宰府デザインめぐり
建築・デザイン・アートの聖地へ
いまこそ行きたい福岡・太宰府の旅⑤
アートや建築、デザインに注目して訪ねてみたい太宰府のおもしろい施設やショップを紹介。最後は、太宰府天満宮や宝満宮竈門神社とあわせて巡ってみよう。
太宰府は建築・デザイン天国です!
太宰府市の顔ともいえる太宰府天満宮がアートや建築、デザインにフォーカスした取り組みをしていることもあってか、太宰府の街中にもそんな視点で見て回るとおもしろい施設、ショップが点在。中でも代表的なのは、九州国立博物館だろう。江戸東京博物館や島根県立美術館など多くの名建築をこの世に残した故・菊竹清訓が設計し、周囲の山並みに溶け込むようなゆるやかな曲線を描いた大屋根がシンボリック。中に入ると3層吹き抜けの開放的な大空間が広がり、柱がほとんどないつくりに驚かされる。さすが、ユーゴスラヴィア・ビエンナーレにて「今世紀を創った世界建築家100人」にも選ばれた名建築家による建物だ。
そしてもうひとつ、世界的な建築家が手掛けたことで広く知られているのがスターバックス 太宰府天満宮表参道店。建築家・隈研吾さんが設計した空間は、「太宰府天満宮の歴史ある雰囲気を壊さないデザイン」をイメージ。釘を一切使わずに木材を組み合わせたユニークな空間はフォトジェニックで、多くの観光客で賑わうスポットになっている。こんな名建築が半径200m以内にある街はそうそうないだろう。
アートやデザインという視点なら、BATHHOUSE 太宰府もおすすめしたい。もともとファッション業界に長く身を置いた郷古隆洋さんが営むヴィンテージ雑貨、工芸品を販売するセレクトショップで、東京と名古屋にも店舗がある。東京で生まれ育った郷古さんが太宰府にも居を構えたのは奥さんが太宰府出身だったこと、そして第一子が生まれたタイミングでというシンプルな理由。ただ、郷古さんは「何度か足を運んでいましたが、住んでみないとわからない魅力がたくさんあります。実は、太宰府天満宮は地元ではものすごく身近な存在。地元住民にとっては庭というイメージではないでしょうか」と話す。さらに境内にアート作品が点在していることにも触れ、「発想や企画がおもしろいですよね。気軽に世界的なアーティストたちの作品が見られる地域はなかなかありません」と続ける。そんな街の雰囲気に惹かれてか、ここ最近できた複合施設には、本質に重きをおいたブーランジェ、寿司職人、カフェオーナーが自然と集まった。仮殿を参拝できるこれから約3年間、太宰府の街はもっと変わっていくかもしれない。
読了ライン
“太宰府デザイン”の歴史は、いつからはじまったのか?
903(延喜3)年
「太宰府天満宮」創祀
1873年
「第1回 太宰府博覧会」開催
1893年
鎮西博物館設置之件 上申・設置許可
(日清戦争勃発により計画が凍結、頓挫)
1996年
文化庁が新国立博物館の設置候補地を太宰府に決定
2005年10月
「九州国立博物館」オープン
2006年4月
「太宰府天満宮アートプログラム」実施開始
2011年12月
「スターバックス コーヒー 太宰府天満宮表参道店」オープン
2012年12月
「宝満宮竈門神社 社務所立て替えプロジェクト」竣工
2013年9月
「太宰府天満宮 観光案内所」リニューアルオープン
2023年2月
「NISHIKIMACHI」オープン
福岡・大分への旅に活用したい
デスティネーションキャンペーンが来年開催!
国内最大規模の観光キャンペーン「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」。食・温泉・アート・自然など、「至福」「大吉」をテーマに福岡・大分の鮮度あふれる旅を提案する。
期間|2024年4〜6月
九州国立博物館
住所|福岡県太宰府市石坂4-7-2
Tel|050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間|9:30〜17:00(入館〜16:30)、特別展開催中の金・土曜は〜20:00(入館〜19:30)
休館日|月曜(祝日・振替休日の場合は翌日休)、年末
www.kyuhaku.jp
BATHHOUSE 太宰府
住所|福岡県太宰府市宰府2-7-6 ALBICOCCA
Tel|092-555-9688
営業時間|11:00〜18:00(火・水曜はアポイント制)
定休日|木曜、ほか不定休あり
www.swimsuit-department.com
NISHIKIMACHI
住所|福岡県太宰府市宰府2-7-5
「Loop a Bread」
Tel|092-408-6034
営業時間|8:00〜17:00 ※売切次第終了
定休日|月・火曜
「tōn」
営業時間|9:00〜18:00(ランチは11:30〜L.O.15:00)
定休日|不定休
「鮨ひら乃」
Tel|092-555-6821(要予約)
営業時間|12:00〜15:00(最終入店13:00)、18:00〜21:00(最終入店19:00)
定休日|水曜
text: Tsutomu Isayama photo: Hiroshi Mizusaki 取材協力=九州観光機構
Discover Japan 2023年8月号「夏の聖地めぐり。」