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広島県の新生オリーブ島をめぐる
《江田島オリーブ体験記》

2023.3.21 PR
<small>広島県の新生オリーブ島をめぐる</small><br>《江田島オリーブ体験記》

広島県の江田島が、オリーブの島として注目を集めている。味わい、現場を見学し、体験しながらそのルーツを探る。

江田島ってどんな島?

交通アクセス|車/広島市内から約1時間40分、フェリー/広島港宇品旅客ターミナルから江田島町切串まで約30分、沖美町三高まで約40分 
人口|2万1488人 
面積|100.72 ㎞2
平均気温|17.1℃ 
年間降水量|1962㎜ 
主な特産物|オリーブ、牡蠣、キュウリなど

恵まれた気候を生かし
休耕地をオリーブ畑に

山本倶楽部(江田島オリーブファクトリー)では20種類以上のオリーブを栽培。常緑高木のオリーブは、夏には白い小花が咲き、秋には徐々に膨らんだ緑の果実がやがて紫色に熟すので、季節の移ろいを感じることができる

広島県南部、瀬戸内海の広島湾に浮かぶ江田島は、江田島市に属する島のひとつ。呉市内から橋を渡って行くことができるアクセスのよさで、レジャーの島として親しまれ、古くから牡蠣の養殖や柑橘栽培などの産業もある。しかし、高齢化と人口減少により、休耕地や耕作放棄地が増えつつあった。こうした課題を、江田島ならではの方法で解決しようと動き出したのが約12年前。江田島市と地域企業・住民が連携して、江田島をオリーブの島にするための活動をはじめたのだ。まず江田島市がオリーブの苗を安価で市民に販売。各々収穫したオリーブの実は地域企業が買い取るほかに、市の搾油機で自家製オリーブオイルを手軽につくれるようになった。

なぜほかの作物ではなくオリーブなのか。近年の健康志向により国産オリーブオイルのニーズが高い上、柑橘に比べて作業が少ないオリーブのほうが高齢者にとっても栽培しやすい。何より江田島の温暖な気候がオリーブの栽培環境に適しているのだ。そうした利点と官民一体型の取り組みにより江田島のオリーブ栽培は瞬く間に発展。2011年以降、栽培されたオリーブの樹は1万7000本以上と増加しており、今後も徐々に島をオリーブ色に染めていく。

市内にはオリーブ島を象徴するシンボルツリーも!

海沿いの公園に植わった樹齢350年のオリーブ。品種はレチンで、幹は圧巻の太さ。江田島市民からの指定寄付によりスペインからやってきた
大柿町大君・樹齢350年オリーブ
住所|広島県江田島市大柿町大君862-7
江田島の中央部、遠浅の入り江を眺めるロケーションに樹齢400年のオリーブの古樹がある。2つに分かれた幹と扇を広げたような樹姿が美しい
江田島町江南・樹齢400年オリーブ
住所|広島県江田島市江田島町江南1-2014-11

オリーブを通して生まれた
温かな新・交流文化拠点

広島市内からは呉市を経由し、音戸大橋、早瀬大橋を渡って江田島に入る。まずは江田島産オリーブを知るために、江田島オリーブファクトリーへ。運営会社の山本倶楽部は、島内に約2000本のオリーブの成木を栽培しているが、自社だけではなく島ぐるみでオリーブを広げたい、と江田島市とともにオリーブ栽培に力を入れている。島内で収穫された江田島産オリーブの多くは江田島オリーブファクトリーに集まり、施設内の加工場でオリーブオイルに加工される。加工場はショップから見えるようになっており、秋の収穫シーズンになると、オイルの搾油などの加工現場が見学できる。出来上がった商品をショップで購入したり、併設のレストランで味を試してみたり。店の前にはオリーブの木が並んでいるので、江田島オリーブの栽培から加工までの流れを、見て、触れて、味わって体験できる貴重な場所になっている。

一方、個人の活動も活発で、江田島市のオリーブの島プロジェクトをきっかけに起業した移住者・峰尾亮平さんへ会いに海を見下ろすオリーブ畑へ向かった。6年前に江田島市の地域おこし協力隊として神奈川県から移住し、オリーブ栽培の技術指導員をしていた峰尾さんは、ここからの景色を見て、「この場所をオリーブ畑にしたい」と起業を決めた。土地の所有者に交渉し、休耕地を根気強く耕して、オリーブの苗を植えていき、それから3年が経ってようやく実が成熟、本格的に収穫を迎えたのが2021年の秋だという。

自社の加工場で搾油したオリーブオイルは、収穫の時期を変えることで3種類の味わいが楽しめる。こうした、ほかにはあまり見られない商品展開は、オリーブオイル鑑定士ならでは。さらに江田島産オリーブの魅力を知ってほしいと、今後はオイルのテイスティング講座や、オリーブ茶づくり体験といったワークショップも開催予定。オリーブを通して、江田島がさらにおもしろくなりそうだ。

この日の宿は、広島湾を望む江田島荘へ。客室内の和紙のような壁紙は、国内でも珍しい紙布という特殊な壁紙で、江田島内の企業で生産しているという。天気のよい日はテラスで寛いだり、ラウンジでお茶を飲んだり、ライブラリーで絵手紙を書いてみたりとゆっくり江田島の島時間を体感する。

天然温泉の浴場でふとシャンプーを見ると、それはオリーブオイルを使った江田島荘オリジナルのものだった。「地域の魅力を通して、お客さまをおもてなししたい」と話してくれた副総支配人の顔が浮かぶ。オリーブ体験を通して、それらを支える人たちの温かさが伝わった旅となった。

安芸の島の実/江田島オリーブファクトリー
見て触って、五感で味わう江田島のオリーブ

まずは広島産オリーブをかけ比べ!
食事をオーダーすると、オリーブオイルに広島産の素材を漬け込んだフレーバーオイルがかけ放題。レモン、ハッサクのほか、唐がらしを漬け込んだペペロンと激辛の4種類。ショップでも購入できる

オリーブ畑を望むレストラン、加工場、ショップを併設した、全国でも珍しいオリーブの6次化複合施設。自社のオリーブ畑で栽培から収穫、選果、搾油まで一貫製造することで生まれるフレッシュで高品質な江田島産オリーブオイルは、世界の数々のコンテストで最高ランクを受賞。ショップではオイルや新漬けなど自社商品のほかに江田島を中心とした地域産品も販売している。

ショップでは江田島を代表するオリーブオイル、安芸の島の実 江田島搾り(3800円/100㎖)も販売。秋には、収穫したオリーブの実を併設の工場で搾る様子も見学できる

住所|広島県江田島市大柿町大君862-3
Tel|0823-57-5656
営業時間|11:00~16:00(L.O.15:00)、土・日曜、祝日~18:00(L.O.17:00)
定休日|月曜(祝日の場合は翌日休)
www.hiroshima-olive.jp/?mode=f6

峰尾農園/瀬戸内いとなみ舎
オリーブオイル鑑定士に江田島のオリーブを学ぶ

「この景色を見て、ここにオリーブ畑をつくりたいと思った」と話す峰尾農園の峰尾亮平さん。宮島を望むオリーブ畑は、かつては耕作放棄地だった
熟す前の青いオリーブ果実を独自の方法で漬け込んだオリーブ新漬けは、しっかりとした旨みがありハーブの香りが利いていて、白ワインに合いそう

江田島でオリーブの栽培技術指導員として活躍してきたオリーブオイル鑑定士が、自社農園で栽培したオリーブを使い、オイルや新漬を製造。現在はオンラインストアで販売しているが、オリーブオイルのテイスティングのほか、季節に応じた体験ができるツアー型のワークショップがスタート。畑の開墾から製造まで携わってきた園主に江田島ならではのオリーブの魅力を教わろう。

オリーブの使い方講座に参加!
オリーブをまるごと体験できるツアーがこの春から始動。季節ごとに植樹やクラフト体験、オイルのテイスティング講座のほか、オリーブオイルを使ったランチも。秋には収穫や搾油体験ができる
左から)オリーブオイル ストロング、オリーブオイル ミディアム、オリーブオイル マイルド

オリーブオイル ストロング/3500円(100㎖)
10月初旬に収穫した果実を搾ったオイル。深い苦みと辛みがあり、一番個性が強い

オリーブオイル ミディアム/2900円(100㎖)
10月中旬に収穫したオイル。青々とした香りの後にピリリとした辛みが追いかけてくる

オリーブオイル マイルド/2900円(100㎖)
10月下旬〜11月頭に収穫したオイルは若草のような香り。のどの奥に辛みの余韻が残る

住所|広島県江田島市能美町中町3769-1
Tel|090-1790-9904
https://itonamisha.thebase.in

 

ツアー詳細はこちら!

 

江田島荘
宿泊は全室オーシャンビュー 島の魅力が詰まった宿へ

どの部屋も大きな窓から海が見えるよう椅子を配置。窓の向こうに広島湾に浮かぶ牡蠣いかだが見えるのも、牡蠣養殖が盛んな江田島ならではの風景
天然温泉「えたじま温泉」は、宿泊客専用の貸切風呂(50分2200円)のほか、日帰り温泉利用もできる(平日1100円、土・日曜、祝日1300円)

寛ぎをテーマに、館内の壁には江田島内のファクトリーでつくった紙布(しふ)を使い、柔らかな空間を演出。客室内では3種類のアロマオイルから好きな香りを楽しみ、テラスでは足湯や、ハーブ園で収穫したハーブでお茶を飲むことができる。また館内ミニライブラリーでは、広島のメーカーのインク133色を使って絵手紙を書くことも。自分だけの過ごし方を見つけよう。

肌にもよいオリーブオイルをふんだんに使った江田島荘オリジナルのアメニティでお肌つるつる。館内で購入も可能(各1430円/200㎖)
江田島産食材のディナーに舌鼓を打つ!
江田島は、海の幸と山の幸に恵まれた環境。目の前の海で捕れた本日の魚や、島内の柑橘、イノシシなどのジビエ、広島産サーロインステーキといった地元食材をふんだんに使った料理が並ぶ

読了ライン

住所|広島県江田島市能美町中町4718
Tel|0823-27-7755
客室数|32室
料金|1泊2食付2万2000円~
https://etajimasou.jp

text: Akiko Yamashita photo: Shintaro Miyawaki 協力=広島県観光連盟
Discover Japan 2023年4月号「すごいローカル見つけた!」

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