建築家・藤本壮介の
〈木の建築 代表作品〉 6選
｜藤本建築と木の関係を振り返ろう！
北海道の森で遊んだ身体感覚がベースにある藤本さん。気づけば、雑多なものが共存する「森的なる場所」を建築でつくってきた。それは「多様」を受け止めることができる場でもある。木や森の存在を落とし込んできた藤本さんの手掛ける代表的な建築作品6選をご紹介！
藤本壮介（ふじもと そうすけ）
1971年、北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。現在は東京、パリ、深圳に設計事務所を構え、個人住宅から巨大複合施設まで、世界各地でプロジェクトを展開。2031年には宮城・仙台にて、音楽ホールと東日本大震災のメモリアル拠点との複合施設の竣工を予定している。
01｜T house（2005年）
木の柔らかさを演出した住宅
ワンルームを基本とし、家の中心から放射状に延びる壁が多様な空間を生む。壁はアートを飾る場でもあり、その作品は見る位置により異なる印象を与える。部屋同士が隣り合い、家族それぞれの居場所がありながら、同時にすべての場の気配を感じることができる。
T house
住所｜群馬県前橋市
設計｜藤本壮介建築設計事務所
施工｜安松託建
敷地面積｜144.47㎡
建築面積｜90.82㎡
延床面積｜90.82㎡
構造｜木造
用途｜専用住宅
02｜Final Wooden House（2008年）
木の存在感を生かした林業拠点
木造建築としての原初的な空間を追求したバンガロー。柱、壁、床、家具などすべてが35㎝角の杉材を積み重ねて構成される。その段差が椅子やテーブルになるなど、ものと空間の境界があいまいになることで、そこにいる人がその場の機能を決められる。
Final Wooden House
住所｜熊本県
設計｜藤本壮介建築設計事務所
施工｜田中組
建築面積｜15.13㎡
延床面積｜22.63㎡
構造｜木造
用途｜宿泊施設
03｜陸前高田みんなの家（2012年）
被災地の新たなランドマーク
藤本さんをはじめ4人の建築家の共同設計。津波に浸かり、立ち枯れてしまった杉の丸太19本を柱にした木造2階建ての建築。最上部のテラスからは陸前高田の町が復興していく様子を見渡せる。地域住民やこの地を訪れる人々に広く開かれたシンボルとなっている。
陸前高田みんなの家
住所｜岩手県陸前高田市
設計｜伊東豊雄建築設計事務所、乾久美子建築設計事務所、平田晃久建築設計事務所、藤本壮介建築設計事務所
施工｜シェルター
敷地面積｜901.71㎡
建築面積｜30.18㎡
延床面積｜29.96㎡
構造｜木造
用途｜集会場
04｜House of Music Hungary（2021年）
周囲の環境との調和を大切にした
ハンガリーの公園にある音楽複合施設。穴が開いた屋根を貫通して木が伸びており、周辺環境との調和を大切にしている。
House of Music Hungary
住所｜ハンガリー・ブダペスト
設計｜藤本壮介建築設計事務所、M-TEAMPANNON Architects（ローカルアーキテクト）
施工｜MAGYAR ÉPÍTŐ
敷地面積｜1万608㎡
建築面積｜2685.39㎡（内部）、4765.91㎡（屋根含む）
延床面積｜9000㎡
構造｜鉄筋コンクリート造、鉄骨造
用途｜音楽ホール、博物館ほか
05｜ニコラ・ルイナール・パビリオン（2024年）
ワイン造りの自然の循環を体現
フランスのシャンパーニュメゾンのウェルカムセンター。ボトルの丸みとシャンパンの泡からインスピレーションを得た有機的なデザイン。地域の採石場で採れる白い石の壁、木造屋根など自然素材を用い、地熱利用や雨水の回収といった持続可能性の面でも話題に。
ニコラ・ルイナール・パビリオン
住所｜フランス・ランス
設計｜藤本壮介建築設計事務所
建築面積｜700㎡
延床面積｜1400㎡
構造｜木造、組積造
用途｜ウェルカムセンター
06｜大阪・関西万博 大屋根リング（2025年）
世界の多様性を受け入れる万博の象徴
一周約2㎞の世界最大の木造建築。各国のパビリオンを包み込むことで、多様な人々がここで共存してつながる。
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大阪・関西万博 大屋根リング
住所｜大阪府大阪市此花区夢洲
基本設計・実施設計・工事監理｜藤本壮介
基本設計｜東畑・梓設計共同企業体
実施設計・施工・監理｜（北東工区）大林組・大鉄工業・TSUCHIYA共同企業体・安井建築設計事務所／（南東工区）清水・東急・村本・青木あすなろ共同企業体／（西工区）竹中工務店・南海辰村建設・竹中土木共同企業体・昭和設計
建築面積｜6万1035.55㎡
延床面積｜6万6900.02㎡
構造｜木造、一部鉄骨造
用途｜歩廊
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text: Yukie Masumoto
2025年9月号「木と生きる2025」
