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旅と暮らしの間、長門湯本温泉へ。
観光客や移住者を魅了する理由とは?
後編|旬のイベント、名宿、温泉街の進化にせまる!

2025.9.19
旅と暮らしの間、長門湯本温泉へ。<br>観光客や移住者を魅了する理由とは?<br><small>後編|旬のイベント、名宿、温泉街の進化にせまる!</small>

日本海もほど近い、山口の長門湯本温泉。地域の誇りである温泉「恩湯おんとう」を中心とした暮らしが息づく街が、観光客も移住者も魅了する理由とは――。恩湯を中心に「旅と暮らしの間」を往来できる、このまちの答えを探してきた。今回は、観光と暮らしの両面で持つ魅力にせまる!

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旬が連続するまち。
秋から春先まで、長門を愉しむイベントは続く。

長門湯本温泉では毎年、街のそぞろ歩きを提案するイベントが行われている。川沿いの樹々が赤く染まる秋には、萩焼文化を伝える陶芸家や作家の作品が集う「うつわの秋」、ライトアップされた川沿いで名酒を愉しむ「ごろ寝BAR」、そして冬期は、灯籠の光が川面を彩る「音信川うたあかり」など、街全体でもてなしてくれる。

〈うつわの秋 2025〉

期間|10月3日~11月3日
時間|会場により異なる
https://fukawahagi.jp/utsuwanoaki2025
※メイン会場「恩湯」では期間限定の特別展示を開催(10月3日~14日)

 

〈ごろ寝BAR 2025〉

期間|10月25日~11月30日(予定)
時間|ライトアップは日没~22:00 
場所|紅葉の階段エリア

 

〈音信川うたあかり2026〉

期間|2026年1月16日~3月8日(予定)
時間|日没~22:00
https://utaakari.yumotoonsen.com

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名宿尽くしで迷ってしまう。

宿の選択肢も多彩で「玉仙閣」、「大谷山荘」、「界 長門」など名宿が揃う。特筆すべきは各宿の連泊客へ向けて、SOIL Nagatoyumotoが用意する特別ディナーを組み込むという、宿間連携の旅行プランを展開する仕組み。連泊に魅力を加え、宿泊客が恩湯に浸かる機会も増やしたいという宿側の考えが、いかにも長門湯本温泉らしい。

〈玉仙閣〉

長門市・油谷に流れ着いたという楊貴妃伝説にあやかり、彼女の風呂を再現した温泉や食事が楽しめる宿。地元に根づく伝統を大切にしながらも、街の再生に呼応するように宿も進化を遂げている。

玉仙閣
住所|山口県長門市深川湯本1234
Tel|0837-25-3731
客室数|24室
料金|1泊2食付1万5000円~(税別・サ込)
カード|AMEX、DC、DINERS、JCB、UC、VISAほか
IN|15:00 OUT|10:00
夕食|会席料理
朝食|和食
施設|大浴場、男女露天風呂、個室宴会場、メインダイニング楓、個室型食事処など
www.gyokusenkaku.com

 

〈大谷山荘 別邸音信〉

8000㎡の敷地に四季の美しさを醸す庭園と、源泉かけ流しの露天風呂を備えた7種18の客室を設ける。湯治モダンをコンセプトに、近代建築と和の伝統的な建築様式を融合させた温泉リゾート。

大谷山荘 別邸音信
住所|山口県長門市深川湯本2208
Tel|0837-25-3377
客室数|18室
料金|1泊2食付4万4300円~(税・サ込)
カード|AMEX、DC、DINERS、JCB、UC、VISAほか
IN|14:00 OUT|11:00
夕食|和食会席または鉄板焼(レストラン)  朝食|和食または洋食(レストラン)
施設|大浴場、岩盤浴、レストラン、バー、ライブラリー、茶室、ショップ、エステサロン、ジム、庭園など(大谷山荘の施設も利用可) https://otozure.jp

 

〈界 長門〉

星野リゾートの温泉旅館。建物は江戸時代の御茶屋屋敷をイメージ。徳地和紙や萩焼など地元の工芸品を愛でる「ご当地部屋」など、源泉かけ流しの温泉だけではない滞在の楽しみが見つかる。

界 長門
住所|山口県長門市深川湯本2229-1
Tel|050-3134-8092(界予約センター)
客室数|40室
料金|1泊2食付3万2000円~(税・サ込)
カード|AMEX、DC、DINERS、JCB、UC、VISAほか
IN|15:00 OUT|12:00
夕食|会席料理(食事処) 朝食|和食(食事処)
施設|大浴場、トラベルライブラリー、湯上がり処、ショップ、あけぼのカフェ(テイクアウト専門)など
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kainagato

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住みたいまちの正解は
長門湯本温泉にあり。

この温泉街の再生・進化を支えるのは地元民だけではない。全国から移住し、この街に根を下ろした人も重要な担い手だ。クラフトビール醸造所「365+1 BEER」を営むのは、主人が長門湯本温泉のまちづくりコンサルを担当したことがきっかけで移住を決めた有賀夫妻。恩湯を「街の心臓」と表現し、湯上がりのそぞろ歩きをビール片手に楽しんでほしいという。音信川沿いにある「THE BAR NAGATO」のバーテンダー・黒田大介さんは、大阪でバーを営んでいたが「街のサイズ感、人のつながり、すべてがちょうどいい」と移住した理由を語る。2025年に姫路から移住したのは、生活道具とギャラリーの店「蒲田商店」を営む土田由里さん。移住条件の「子どもがしっかりあいさつできる距離感の街」にも当てはまり、近隣住民から「子どもは街で育てるもの」と声を掛けてもらったことも心強かったと振り返る。

 

〈365+1 BEER〉
恩湯上がりと街歩きに欠かせない、
長門の“地酒”

有賀敬直さん、彩香さん夫妻

365日の日常と、旅で訪れる+1日の特別をつなぐビールを目指し、幅広いスタイルで長門を感じるビールを醸造。「長門に住むおじいちゃんにも好きになってもらえるビール」であることを大切にする、長門の新たな地酒だ。醸造所の横に併設されたタップルームで恩湯上がりの一杯を楽しむのも、長門湯本温泉の正しい歩き方のひとつ。

津田農園のブラックベリーを使った「MAD TSUDA GOSE」とHAZY IPA「山・川・ヘイジー」

365+1 BEER
住所|山口県長門市深川湯本1247-2
Tel|なし
営業時間|金曜15:00~19:00、土曜13:00~19:00
(変更の可能性あり。Instagram|@sanrokuroku_beerを要確認)
定休日|不定休

 

〈THE BAR NAGATO〉
音信川を眺めながら、季節のカクテルに酔う

70年以上前は分校だった建物を活用し、四季折々の景色を肴にとっておきの一杯を提供。山口産のフレッシュジュースを使った季節のカクテルに、黒田さんのセンスが光る。長門産クラフトジン「青舞」を使ったカクテルも、ここで飲む価値あり。

天井の梁に土壁といった趣が、建物の歴史を感じさせる。オーセンティックでありながらも気軽に入れる開放感が地域住民にも愛されている

THE BAR NAGATO
住所|山口県長門市深川湯本1325-1 だいご長屋2F
Tel|なし
営業時間|18:00~24:00
定休日|月曜

 

〈蒲田商店〉
2025年11月オープン予定の新たなそぞろ歩きスポット

恩湯広場に誕生した文化発信の場「まちの番台」で開催したポップアップを取材

生活道具とギャラリーの店が姫路から移転。長門湯本での正式オープンは2025年11月を予定しているが、いままで通り長谷園の土鍋や高田耕造商店のたわしなど使い勝手のいい道具や作家物を扱っていくそう。そぞろ歩きの新たな立ち寄りスポットに。

「恩湯は娘も大好きな場所」と土田由里さん

蒲田商店
住所|山口県長門市深川湯本1260-1 ※2025年11月オープン予定
Instagram|@kamada.shouten

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“泉育”で次世代を育む
恩湯の取り組みも!

日本の入浴文化を教える「こども湯道教室」を恩湯でも開催。恩湯の歴史を学び、街の文化をつなぎながら感謝の心や思いやりの心を育む取り組みだ。長門の新生児に恩湯のクラフト温泉を配布する産湯プロジェクトも始動

長門湯本温泉はいまもなお、恩湯を中心に街と人、人と人との絆を深めている。恩湯の新たな取り組みとして子ども向けの泉育授業などがはじまり、観光と暮らしの両面で文化を次世代へとつないでいる。今秋は長門湯本温泉に足を運び、湯と街と人の魅力にどっぷり浸かってみてはいかがだろうか。行きたいまちが住みたいまちであることを、肌で実感できるだろう。

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長門湯本温泉について
もっと知りたい方はこちら

 
≫公式サイト

 

旅と暮らしの間、長門湯本温泉へ。
前編|「SOIL Nagatoyumoto」とは?
後編|旬のイベントや名宿、温泉街の進化

text: Nobuhiko Mabuchi photo: Yasuhiko Roppongi

2025年10月号「行きたいまち、住みたいまち。/九州」

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