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自然と一体化
岩手県《花巻南温泉峡》
|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選③

2024.3.6
自然と一体化<br>岩手県《花巻南温泉峡》<br><small>|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選③</small>

保湿やアンチエイジングの効能がある美肌をつくる温泉、胃腸や免疫力など体内に効く温泉……。温泉研究歴40年以上の大先生が、人気温泉地から秘湯まで、東西の名湯をセレクト。
 
今回は豊沢川沿いの開放感抜群の景色に癒される岩手県・花巻温泉峡を紹介。

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川のせせらぎに癒されるノスタルジックな温泉

豊沢川の流れに沿ってつくられた湯治屋名物の混浴露天風呂「大沢の湯」

岩手・花巻市郊外の豊沢川沿いには、個性的な一軒宿、七湯が点在し、花巻南温泉峡と呼ばれている。東北でも特に岩手は湯治の名残が色濃い地域だが、中でも人気なのは大沢温泉と鉛温泉「藤三旅館」だろう。今回は大沢温泉を推薦するが、ぜひ鉛温泉にも足を運んでほしい。
 
大沢は南部藩主が湯治療養をした名湯である。新館の「山水閣」と自炊部の「湯治屋」、それに南部藩主が利用した対岸の「菊水舘」に分かれているが、こちらは現在、宿泊できない。自炊部の建物は江戸末期に建てられたもので、燻し銀の長い廊下に障子戸が並ぶ光景は、まさしく「これぞ、ノスタルジックな“日本の湯治場”」である。自炊部といっても味、ボリュームともに好評の「お食事処やはぎ」があるし、売店もあるので、心配はご無用。

湯治屋には童話作家・宮沢賢治が幼少の頃からぞっこんだった、河畔の開放的な混浴大露天風呂「大沢の湯」(女性専用時間あり)がある。アルカリ性単純温泉で、女性にも大好評で、かすかに香り立つ硫化水素の匂いがたまらない。細胞のさびを取る還元力にも優れた湯である。昔から胃腸病、婦人病、神経痛などに特効が知られている。もちろん美肌にも。風情ある内風呂の「薬師の湯」、それに女性用露天風呂「かわべの湯」も人気だ。
 
寝具の持ち込みOKというのも、日本の「古き佳き時代」を思い起こさせてくれる、本物の湯治場である。

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お食事処やはぎでは、十割そば(写真上)やひっつみ定食(写真下)など、豊富なメニューが揃う

 

福島県《高湯温泉》
 
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湯治屋
住所|岩手県花巻市湯口字大沢181
Tel|0198-25-2315
料金|1泊素泊まり3260円〜(税・サ込)、日帰り入浴大人700円、子ども400円
IN|15:00
OUT|10:00
キッチン〇(共同炊事場)/ランドリー〇/Wi-Fi〇
 
<温泉data>
泉質|アルカリ性単純温泉
湧出温度|約51.3℃
かけ流し|〇

text: Tadanori Matsuda
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」

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