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広島県広島市 御菓子所 高木の
「干支菓 辰の春」
《福田里香の民芸お菓子巡礼》

2023.12.28
広島県広島市 御菓子所 高木の<br>「干支菓 辰の春」<br><small>《福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は広島県広島市にある和菓子の老舗・高木が年末年始から年初にかけて期間限定で販売する干支の辰(龍)にちなんだ縁起物のお饅頭「干支菓」の「辰の春(たつのはる)」を紹介します。

福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。13年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

「干支菓」はあんもかわいくておめでたい色
※販売期間:〜1月上旬(売切次第終了)

新年を寿ぐおめでたい民芸お菓子をご紹介します。広島の老舗菓子舗「御菓子所 高木」が毎年年末から年初にかけて「干支菓」と銘した、干支にちなんだ縁起のいいお饅頭を発売しているのをご存じですか?

2024年は十二支の辰年ですから「干支菓 辰の春」を期間限定販売です。真白の皮には彩雲を悠々と昇る辰の焼印が施され、縁起のよさに思わず笑みがあふれます。彩雲は禅宗では「慶雲五彩を生ず」といわれていて、瑞兆を表す言葉です。さらにお饅頭の中身は桃色の白あん。黒文字で切り分けたときに再度ほほ笑んでしまいます。甘さ控えめで上品な味わいはどなたに贈っても喜ばれる逸品です。

染色家・柚木沙弥郎作。「迎春」の文字と辰が描かれ、年号が入った掛け紙。5個入1458円。

掛け紙や個包装の装画は御菓子所 高木と縁が深く昔からパッケージを手掛けてきた、御年101歳の柚木沙弥郎さんの作。柚木さんは画材を選ばない卓越した画才の持ち主ですが、キャリアの最初期には民藝運動家で染色家の芹沢銈介に型染め技法を師事しています。「干支菓」の掛け紙には、その技法が惜しみなく発揮されています。

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御菓子所 高木
住所|広島県広島市中区十日市町1-4-26
Tel|082-231-2121
営業時間|9:00〜18:00
定休日|元日
www.okashidokoro-takaki.com

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
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